登録 : 2015.11.30 03:30 修正 : 2015.11.30 06:15

朴政権の縮図がこの裁判

全羅北道地域の35カ市民社会団体が3月17日、全北地方警察庁前で記者会見を開き、「警察が『朴槿恵大統領批判ビラ』と関連しで家宅捜索を行ったのは、表現の自由を抑圧する行為」と批判した=全州/聯合ニュース
 「チョン・ユンフェとのスキャンダルを隠すために公安政局づくりに乗り出したのか?朴槿恵(パク・クネ)に比べたら李明博(イ・ミョンバク)は聖君じゃないか!」

 今年2月16日午後、詩人ピョン・ホンチョル氏(46)とシン氏(34)が、大邱(テグ)市寿城(スソン)区にあるセヌリ党大邱市党の入り口で、こうした内容が書かれたビラ約40枚をばら撒いた。彼らは地面にビラをばら撒いて写真を撮り、ビラを拾って帰った。そしてその写真を自分のフェイスブックなど載せた。ビラを自主回収したことからも分かるように、当初から市民にビラを配るのが目的ではなく、朴槿恵大統領を批判する一種の「パフォーマンス」だったと、彼らは説明した。

 彼らはビラを全て回収したと思っていたが、一部のビラが風に飛ばされた。近くで駐車管理を行っていた人がこのビラを発見し、警察に通報し、大邱寿城警察署が捜査に乗り出した。

3月2日、全羅北道群山小龍洞郵便局の入り口で旅行家パク・ソンス氏(41)がドッグフードを大邱寿城警察署に送る前に、写真と立札を持ってパフォーマンスをしている。写真パク・ソンス氏提供//ハンギョレ新聞社

「チョン ・ユンフェとのスキャンダル隠すために...」ビラ製作
パク・ソンス氏、大統領の名誉毀損容疑で拘束
大邱地裁キム・テギュ判事の職権で 
拘束期間2カ月ずつ2回延長したにもかかわらず 
「集示法違反」で拘束期間また延長 

来月22日の公判を控え 
最後弁論で「奇妙な裁判」と批判 
「70年代の維新政権ならあり得る裁判  
大韓民国の国民であることが恥ずかしい」

 警察はピョン氏にビラを出した人が全羅北道群山(クンサン)に住む環境活動家のパク・ソンス氏(42)であることを突き止めた。パク氏とピョン氏は住む場所は違っていたが、環境運動を通じて知り合ったという。3月12日、警察は、パク氏の自宅とビラを印刷した印刷所、ピョン氏の自宅と妻、オ・ウンジ氏(44)の出版社である「ハンティジェ」などを家宅捜索した。

 パク氏とピョン氏は“過剰捜査”と反発した。寿城警察署から出頭要求書が届くと、パク氏は出頭の代わりにドッグフードを送りつけた。“権力の走狗”という抗議の意味だった。パク氏は群山から大邱に行って、寿城警察署の入り口にドッグフードをばら撒いた。大邱地方警察庁の入り口でドッグフードを持って「民主警察死亡哀悼式とビラ公安弾圧を糾弾する記者会見」を開いた。

 警察の捜査に“ドッグフード”で“抵抗”したパク氏は、4月28日、ソウル瑞草区の検察庁の入口で集会とデモに関する法律(集示法)に違反した疑いで逮捕された。「ビラ公安攻勢の黒幕、大検察庁(最高検察庁)糾弾する記者会見」を行ったパク氏が「犬が尾を振るような公務執行を中断せよ」という抗議の意味で「ワンワンワン」と3回鳴いて見せた。直ちに大検察庁の職員が彼を現行犯で逮捕した。

 パク氏は大検察庁近くの瑞草(ソチョ)警察署で取り調べを受けて釈放されたが、すぐに朴槿恵大統領の名誉毀損の疑いで逮捕された。瑞草警察署前で逮捕令状を持って待っていた寿城警察署の警察官が、パク氏を寿城警察署に連行した。

 裁判所は、4月30日、刑法上の名誉毀損、情報通信網利用促進及び情報保護などに関する法律上の名誉毀損の疑いで、パク氏の逮捕状を発行し、パク氏は5月11日拘束起訴された。ビラをばら撒いたピョン氏とシン氏も共に在宅起訴され、裁判にかけられた。名誉毀損罪は、被害者の意思に反しては処罰できない半意思不罰罪で、捜査機関が被害者の告訴がなくても捜査を始め、加害者を立件したり起訴することができる。しかし、実際には通常、被害者が告訴しなければ、捜査は行わない。朴大統領は、ビラを作ったパク氏を告訴していない。

 5月7日、大邱地方弁護士会(会長イ・ジェドン)は「批判の自由という民主社会の基本的人権が侵害される余地がある」として、パク氏の弁護を無料で引き受けることにした。パク氏の弁護はキム・インスク、イ・スンイク、リュ・ジェモ、キム・ミゾ弁護士が務めた。

 検察は、裁判で「チョン・ユンフェとのスキャンダルを隠すために公安政局作りに乗り出したのか?」(ビラ)、「チョン・ユンフェとのスキャンダルを隠すために醜い行動を止めないな。独裁者の娘、朴槿恵は父親より酷い」(フェイスブック)などの内容が朴槿恵大統領の名誉を毀損したと主張した。これに対してパク氏の弁護団は、「それは大統領の職務遂行に対する批判的な意見の表明に過ぎず、特定の事実の適示ではなく、事実の適示だとしても、名誉毀損には当たらない」と対抗した。

 刑事訴訟法は、被告人の拘束期間を2カ月と定めている。ただし引き続き拘束する必要がある場合は、審級(級が異なる他の裁判所で数回にわたり裁判を受けられる制度)ごとに2カ月単位で2回に限り、拘束期間を延長することができる。1審裁判では、被告人を、最大6カ月間拘束できる。

 裁判を担当した大邱地裁刑事2単独キム・テギュ判事は、パク氏の拘束期間を2回延長した。朴氏は6カ月の間、拘束されたまま裁判を受けた。拘束期間は今月10日まで続いた。

 今月10日で名誉毀損の疑いで拘束期間が終わったが、パク氏はまだ閉じ込められている。“名誉毀損”の裁判が行われる過程で、“集示法違反”の疑いが併合されたからだ。

 検察は、4月28日の大検察庁前の記者会見について集示法違反の疑いをパク氏に適用して、7月16日に追加起訴しており、キム判事は、職権で令状実質審査を行い、先月20日、パク氏の逮捕状を再発行した。これで、パク氏は拘束状態で7カ月目を迎えたまま、裁判を受けている。これに先立ち、キム判事は6月15日「逃亡の恐れがある」として、パク氏が出した保釈請求を棄却した。

 キム判事は6月6日、慶尚北道清道(チョンド)郡角北(カクブク)面三坪(サムピョン)里の送電塔工事現場で警察を暴行した疑い(公務執行妨害)で在宅起訴されたチェ・チャンジン氏(34)に懲役6月を宣告し、法廷拘束した。清道送電塔の建設に反対する市民運動家約20人が似たような容疑で裁判を受けたが、法廷拘束されたのは、チェ氏が唯一だった。控訴審を担当した大邱地裁刑事1部(裁判長イ・ヨンヒ)は先月15日、チェ氏に無罪を宣告した。

 キム・インスク弁護士は「名誉毀損事件で当事者の告訴がないのにもかかわらず、警察が進んで捜査に乗り出し、拘束までされて保釈まで棄却されることを見て、非常に異例のことだと思った。名誉毀損事件で起訴され、拘束状態で7カ月を迎えたまま、1審裁判を受けているのは珍しいことだ」と述べた。

 今月24日午後、大邱地裁で開かれた結審公判で大邱地検パク・スンベ検査は、朴氏に懲役3年を求刑した。ピョン氏とシン氏には、それぞれ懲役1年と懲役10カ月を求刑した。パクに対する宣告公判は来月22日午前10時に開かれる。

 在宅起訴の状態でパク氏と共に裁判を受けているピョン氏は「法廷で見かける度に痩せて行くパク・ソンス氏の姿に、胸が痛んだ。どんなに苦しんでいるのだろうと心配もしたが、法廷で自分の言いたいことを堂々と述べるのを見て、少し驚いた」と話した。

 パク氏は今月24日の最後弁論でこう言った。

 「笑いが出そうになったけど止まりました。 1970年代維新政権ならあり得るような裁判が、2015年の世界経済10位の大国である大韓民国で行われているという事実について、惨めさを感じずにはいられません。(省略)こんなことをするなら、初めから捕まえて即決処刑してしまったらいいのに、なぜ時間を無駄にしながら、このような裁判を進めるのか理解できません。申し訳ないですが、私はここが裁判ではなく、大統領府の閣議を行っている場所のように思えてなりません。

 生まれてからこれまで、数回の裁判を受けてきましたが(※彼は2012年に済州島(ジェジュド)江汀(カンジョン)村海軍基地建設反対デモで特殊公務執行妨害罪の容疑で在宅起訴され、裁判を受けた経験などがある)、これほど信念を感じられない裁判は初めてです。(省略)国の品格が下がるというのは、まさにこのようなことです。ところが、それにとどまらず、私が拘束され、7カ月間も裁判を受けています。ここに立っていることを恐れているわけではありませんが、恥ずかしいです。大韓民国国民ということがとても恥ずかしいです。

 朴槿恵政権は、自分と異なる考えを持つ人なら、(与党)院内代表まで踏みにじり、徹底的に懲罰的な政治をする集団です。これまで7カ月の間、政権の小さな縮図がこの裁判ではないかと思ってきました。判事、孟子は恥を知らないのは、人ではないとしました。是非この裁判が行われた7カ月間の過程を振り返ってみて、考えていただきたいと思います。以上です」

大邱/キム・イルウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-11-29 19:58

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/719574.html訳H.J

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