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[記者手帳]朴大統領の名誉毀損に過剰に反応する検察と警察

登録:2015-05-05 00:27 修正:2015-05-05 07:32
右翼論客として知られるチ・マンウォン氏が運営するシステムクラブに所属するメンバーが先月30日、大邱の慶北大学校北門前で5・18民主化運動は北朝鮮軍の仕業だと主張するプラカードを掲げて署名運動を行った //ハンギョレ新聞社

 先月30日、大邱(テグ)北区山格(サンギョク)洞慶北大学北門の入り口で「5・18の真実を知らせる広報集会」が開かれた。 「5・18の真実を知らせる大慶市民連帯」という団体が警察に集会申告をした。彼らは「5・18光州(クァンジュ)民主化運動には、北朝鮮軍が介入した」と主張した。彼らは通行人にそんな内容のビラを配り署名を求めた。

 5・18光州民主化運動の犠牲者に対する名誉毀損の疑いが多分にあったが、警察はこのビラに対し捜査に乗り出さなかった。名誉毀損罪は捜査機関が被害者の告訴がなくても捜査を始め、加害者を立件するか、起訴できる反意思不罰罪だ。しかし、通常は、被害者の告訴がなければ、捜査しない。この日ばら撒かれたビラに対して5・18光州民主化運動の犠牲者の告訴はなかった。だから、警察がこのビラに対して捜査しなかったのは常識的である。

 一方、朴槿恵(パク・クネ)大統領の批判ビラを作って配布したパク・ソンス氏(41・全羅北道群山)は拘束された。 「5·18光州民主化運動には、北朝鮮軍が介入した」という内容のビラが大邱にばら撒かれた日だった。朴大統領とチョン・ユンフェ氏(60)の名誉を毀損したというのが理由だった。パク氏は朴大統領を批判する内容の一枚のビラを作成したが、大邱寿城(スソン)警察署は「チョン氏とのスキャンダルを覆い隠すために公安政局づくりに出たのか?」という部分に名誉毀損の疑いがあると判断した。

 朴大統領とチョン氏は、ビラを作ったパク氏を告訴したことがない。それでも警察と検察は頼みもされないで捜査に乗り出した。2月16日、ピョン・ホンチョル氏(46・大邱西区)が、セヌリ党大邱市党の前で朴大統領を批判するビラ20枚をばら撒くパフォーマンスを行ってから、自首回収したのが捜査の始まりだった。パク氏とピョン氏の自宅はもちろん、家族が運営する出版社、ビラを送った郵便局まで押収捜索を行った。警察と検察がこのビラに対して捜査に乗り出したこと自体が非常識だ。捜査初期、パク氏とピョン氏に送付した出席要求書に記載されていた疑いが毎回違ったことからも、「どんなことがあっても捕まえる」という意図が窺える。

 拘束されたパク氏は、最終的に起訴され、裁判所で有罪判決を受けるだろう。警察と検察、裁判所がこの事件についても同様の認識を持っているからだ。過剰捜査に反発するパク氏にドッグフードをばら撒かれるなど、辛酸をなめさせられた大邱警察は、当分の間安堵の胸を撫で下ろすだろう。朴大統領批判ビラとドッグフードで騒がしかった大邱も、しばらくは静かになるだろう。

 しかし、この事件は、これからも語り継がれるはずだ。警察がパク氏の著書(『ドゥングリの流浪闘争記』2014年12月刊)とピョン氏の著書(『詩と共和国』2015年3月刊)の販売に大きな貢献をしたという笑い話が、しばらくの間聞こえてくるだろう。法と常識ではなく、権力の顔色を見て捜査する警察と検察という汚名がまた上塗りになるだろう。

キム・イルウ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-05-04 22:04

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/689806.html  訳H.J

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