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成績奨学金なくし経済的に困難な学生支援 高麗大学で甲論乙駁

登録:2016-02-29 08:36 修正:2016-02-29 11:28
ヨム・ジェホ高麗大学長//ハンギョレ新聞社

奨学制度の趣旨活かす

経済的に困難な学生への支援拡大に意味がある
米有名大学も所得基準の支援

中間層の大学生だけ被害

授業料引き下げが根本的な解決策
「貧乏証明書」を出すことに

 高麗大学が今年1学期から成績優秀奨学金を廃止して低所得層支援を強化することに対し、奨学制度の根本趣旨を生かした改革との肯定的な評価と、所得基準が曖昧な中間層の学生の機会を奪う一方的な再編という、相反する意見が出されている。

 高麗大学は今年1学期から毎年27億~28億ウォン(約2兆4千億~2兆5千億円)規模で支給されていた成績奨学金を無くす代わり、所得0~2分位の低所得層の学生の登録金(授業料)を100%減免するなど、経済的に困難な学生に対する支援を増やす「正義奨学金」制度を施行する。校内奨学金予算350億ウォン(約32億円)余りのうち、200億ウォン(約18億円)が正義奨学金に割り当てられ、国内外の体験活動などの教育プログラム支援に100億ウォン(約9億円)、学生自治活動などに35億ウォン(約3億2千万円)が割り当てられた。これは昨年3月に就任したヨム・ジェホ学長の意志を反映したものだ。

 27日、教育部の関係者は、私見を前提に「数値には現れない経済的な困難な学生を探し出すという趣旨であり肯定的にとらえている」、「高等教育の機会を広げるという意味で望ましい改編の方向」と明らかにした。キム・サムホ大学教育研究所研究員も「厳しい時代に人材を育てる趣旨で、成績優秀者に奨学金を与えることに社会的合意が形成されていたが、外国のように所得基準の奨学制度に移行させるべきだ」と話した。

 米国の大学の場合、成績奨学金と低所得層の奨学金を一緒に運営する大学と、低所得層の奨学金だけを運営する大学がある。プリンストン大学、ハーバード大学などアイビーリーグの有名大学は、成績奨学金を支給せず、財政補助(低所得層)の奨学金だけを運営する」という規定を持っている。財政補助奨学金は、学費だけでなく宿泊費、本代などの生活費を総合的に考慮した費用として算定して支給する。米国で成績奨学金は、看護労力の養成、土壌学者、宇宙工学など地域の需要と連携して特定の学問の人材を養成するための用途で支給される場合が多い。一方、日本の大学の場合、平均的に校内奨学金の40%程度を成績奨学金で支給している。

 日本の大学と似た制度を持つ韓国でも、大学の校内奨学金のうち成績奨学金の比率が高い。教育部が大学に知らせた2014年の公示資料によると、全国の4年制大学の低所得層の奨学金支給の割合は28.6%だが、成績奨学金の比率は31.9%だ。大学ごとの差も大きく、一部の大学の成績奨学金の比率は50%を超えるが、低所得層の奨学金は20%をやっと超えた水準だ。

 しかし、限定された校内奨学金を全額、低所得層支援にしていいのかという反論も出されている。ソン・キチャン淑明女子大学教育学科教授は「校内奨学金の財源は登録金だが、曖昧な境遇の中間層の学生がアルバイトをしてでも作り出した登録金が、低所得層支援に利用されることにもなる。国家が負うべき教育福祉の負担を学生が引き受けることになっているのも問題だ」と指摘した。パク・セフン高麗大学総学生会長は「学生たちは直ちに変更された制度に応じて奨学金申請書を作成しなければならないが、選定基準も方法も明確に示されず、学生は自分がどれほど貧しいかを詳しく書く『貧乏証明書』を出さなければならない状況」と指摘し、「奨学金の拡充と登録金引き下げが根本的な解決策だが、限られたパイをどう分けるのかを巡り争っている実情は残念だ」と話した。

オム・ジウォン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-28 22:04

https://www.hani.co.kr/arti/society/schooling/732501.html 訳Y.B

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