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高まるテロ防止法の懸念に政府与党「交渉はない」

登録:2016-02-28 22:38 修正:2016-02-29 06:59
野党のフィリバスターに対する非難に没頭 
事実上の「交渉拒否」宣言 
テロ防止法職権上程に反対する野党議員のフィリバスター(無制限演説)が6日間続く28日午後、国会本会議場前でこれを糾弾するセヌリ党議員のリレー1人デモ場がガランとしている=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

「サイバーテロ防止法も処理」 
国会正常化の出口防ぐ 
「与党には前向きな態度が必要」との指摘も

 野党がテロ防止法の「毒素条項」の削除を求め「フィリバスター」(無制限の討論)を始めてから6日目を迎えたが、与党は「一点一画」も修正できないという態度を貫いており、28日に「交渉拒否方針」を宣言した。セヌリ党は、野党のテロ防止法補完要求を「自爆政治」、「総選挙用工作」と非難した上で、北朝鮮のサイバーテロの可能性を提起し、「サイバーテロ防止法案」との“一括処理”まで要求している。折衷案が用意されれば合意して処理する意思を明らかにしている野党の態度とは対比をなしている。

 セヌリ党のウォン・ユチョル院内代表、キム・ジョンフン政策委議長、チョ・ウォンジン院内首席副代表は同日午後、国会で特別記者会見を開き、テロ防止法を直ちに処理することを求めた。ウォン・ユチョル院内代表は、「国会本会議場が、野党によるフィリバスターの悪用で、総選挙のための選挙遊説に転落している、非常に残念な状況が続いている」とし「野党が(テロ防止法の処理を)拒否し、フィリバスターを続けると、民生の破綻、選挙の延期など、すべての責任は野党が負わなければならないだろう」と述べた。ウォン院内代表は、野党のフィリバスターを 「偽りの妄言の場」、「議会が偽りの亡霊に踊らされた100時間」に例えるなど、露骨に非難した。また、「北朝鮮が私たち(韓国)の空港や韓国電力公社、韓国水資源公社など、主な施設に関する情報を収集している情況が続々と明らかになっている」とし「地下鉄のショッピングモールなど、多重利用施設、国家基幹網が対象になると、その結果は悲惨なものになるだろう」と述べた。ウォン院内代表は「北朝鮮は核実験後に必ずサイバー挑発を敢行してきた。サイバーテロが絶えず行われているだけに、関連法案も早急に処理すべきだ」として、サイバーテロ防止法の処理まで要求した。現在、国会情報委員会に上程されているサイバーテロ防止法案は、民間のインターネット全体を国家情報院が常時管理監督できる上に、カカオトークなどの情報通信網ソフトウェアの脆弱性の報告を義務付けているため、市民社会団体が強く反対している。

 大統領府と与党内部では「時間は自分たちの味方」という余裕も感じられる。国会法上、フィリバスターが終了した直後に採決を行うことができる上に、フィリバスターが続いたとしても、次の会期には必ず採決するようになっているからだ。ウォン院内代表は「テロ防止法は3カ月間の交渉で『共に民主党』の要求を反映した」とし「私たちは、法案と関連し、いかなる交渉に応じるつもりはない」と強調した。

 大統領府と与党は昨年11月、フランスのパリテロ以降、テロ防止法制定を訴えてきた。朴槿恵(パククネ)大統領は、「韓国がテロを防止するために、基本的な法体系すら備えていないということを、イスラム国(IS)も知ってしまった」(2015年12月8日の閣議)と述べるなど、外国のテロを取り上げて法案処理を強調てきたが、今年に入ってからは、北朝鮮の核実験とミサイル発射などを強調し、テロ防止法の制定を推し進めてきた。

 市民社会団体は、テロ防止法で強化される国家情報院の権限が、結局、国内政治に利用されるのではないかという疑念を抱いている。韓神大学のユン・ピョンジュン教授は、「国家情報院の国内政治への介入や査察(調査)、工作の前歴などは、否定できない国家情報院の『原罪』であり、ファクト(事実)」としながらも、「ただし、北朝鮮の脅威も現存する危険であるだけに、2つの事実をめぐり、与野党が交渉を通じて解決しなければならない」と助言した。龍仁大学のチェ・チャンリョル教授も「今、野党はテロ防止法に反対しているのではなく、権限の濫用の余地があると指摘している」とした上で、「国家情報院がテロ防止法を直ちに悪用するということではなく、0.1%でも乱用の可能性があるなら、これを防がなければならず、法案を慎重に作らなければならない。与党の前向きな態度が切実だ」と指摘した。

チェ・ヒェジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-28 19:18

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/732482.html 訳H.J

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