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[社説]テロ防止法の職権上程撤回し再交渉すべき

登録:2016-02-25 23:12 修正:2016-02-26 06:38
金武星代表(中央)などセヌリ党指導部が25日、国会本会議場前広間で「テロ防止法も作れない国会」と書いたプラカードを持ち野党のフィリバスターを批判している。26日、選挙区画定案処理も不透明になりフィリバスター政局が長引き可能性もある=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 テロ防止法案の国会本会議表決を阻むための野党議員の「フィリバスター」(無制限演説)が続けられている。野党議員たちが、長くは10時間以上テロ防止法案反対の演説をして与党の一方的な表決処理を阻止した。反対討論をする議員が列をなしていて、このままでは何日でも続く状況だ。

 フィリバスターは国会法が規定した合法的議事進行遅延行為だ。朴槿恵(パククネ)大統領が非難するような「いかなる国にもあり得ない、開いた口の塞がらない現象」ではなく、多数党の横暴を阻むために米国など多くの国で施行されてきた議会民主主義の本然の装置だ。 韓国でも制憲国会の時から認められてきたのを維新政権下の1973年に廃止し、2012年にようやく復活させたものだ。 今回のフィリバスターも、巨大与党のテロ防止法案強行処理を阻まざるを得ない野党の苦肉の策と言える。大統領とセヌリ党はフィリバスターを非難するのではなく、対話と妥協で野党の同意を得る方法を探すべきだ。そうせずに単独処理を強行することこそ、民主主義を破壊する行為だ。

 テロ防止法が国民の安全を守るために必要な法ならば、いま敢えて与党単独処理に固執すべきではない。国民の安全保護は他の何よりも、与野党が知恵と意思を集めなければならない事案だ。それを野党は退けて与党独断で処理しようとするなら、「別の意図」を疑わざるを得ない。 テロ防止法に対する野党の憂慮も、法制定そのものより過去の過ちを償うことができていない国家情報院に過度な権限を与える法案内容にあると言えよう。野党の批判する「毒素条項」を除くなら、法案の合意可決が不可能な事でもないはずだ。国家情報院が恣意的にテロ危険人物と見なせば、令状なしに金融情報や個人情報を収集することができるようにした条項、国民の電子メールや文字メッセージなどを容易にのぞき見ることができるようにした条項などが、人権侵害の代表的な毒素条項に当たる。

 今からでもまともな論議をしようとするなら、職権上程を先ず撤回すべきである。今回の職権上程は始めから要件を満たすことができていなかった。 今が「戦時や事変またはこれに準する国家非常事態」であると見る根拠もない上に、そう感じるだけの雰囲気もさらさらない。無理やり非常事態だと主張したからといって職権上程が正当化されはしない。職権上程と強行採決の代わりに対話と妥協が復元されることを期待する。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-24 19:41

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/731954.html  訳A.K

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