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テロ防止法により国家情報院の不法傍受は必至

登録:2016-02-25 01:17 修正:2016-02-25 06:49
国家情報院を信じられない理由
「共に民主党」のウン・スミ議員が24日午前、国会本会議場で無制限の討論を行う間、金武星セヌリ党代表(左から2番目)が所属議員らと話している=イ・ジョンウ先任記者//ハンギョレ新聞社

組織的不法行為に内部監察さえ行わず…自浄意志見られず 
国家情報院長の承諾なしには家宅捜索もできず…検察捜査、制度的に不可能

 テロ防止法の最大の問題は、不法行為に対する国会など外部の監視と牽制があるどころか、事実上検察も手を出せない国家情報院に、さらに強大な権限が集中してしまう点にある。この法律が通過すると、国家情報院(国情院)は令状なしで金融・通信の履歴などを収集できるだけではなく、関連業者に個人の機密情報を要求できるようになる。

 与党は対テロ人権保護管1人を指名することで、国情院の不法行為を監視できると主張しているが、国情院に対するこれまでの検察捜査を振り返ると、その主張には説得力がない。 2013年の大統領選挙関連の世論操作(コメント)事件と2014年のユ・ウソン氏に対するスパイ証拠ねつ造事件、昨年の民間人へのハッキング疑惑などで、国情院は組織的な妨害で検察の捜査を無力化した。

 まず、国情院に対する家宅捜索は、実質的に実効性がない。検察は、2013年と2014年に相次いで国情院を家宅捜索したが、すべて国情院長の承諾のもとで行われた。刑事訴訟法(111条)は、職務上の秘密に関するところは、官公署の承諾なしには押収できないように規定している。家宅捜索が行われるとしても、重要な証拠を確保するのは容易ではない。国情院が出しても大丈夫だと判断する証拠だけが確保される場合が多い。検察の資料請求にも非協力的だ。不法ハッキングプログラムを使用した疑惑を捜査している検察は、国情院に関連する資料を要請したが、資料の提出を拒否されたり、遅れて届いたという。国情院のコメント事件の捜査も、検察は捜査対象の対北朝鮮心理戦団のスタッフ配置表さえも入手できなかった。

 国情院職員の陳述を確保することも難しい。国情院職員法には、「捜査機関が職員に対して捜査を開始した場合と、捜査を終えた場合は、直ちに院長にその事実と結果を通知しなければならない」と定められている。捜査内容を実質的に事前に知らせなければならない仕組みだ。国情院職員を召喚したり、逮捕したとしても、内外の捜査妨害が続く。 2013年、国情院のコメント事件に対する捜査チームは、大統領選挙をめぐる世論操作に関与した国情院職員3人を逮捕した。しかし、検察指揮部は当時、国情院の強力な抗議を受け、逮捕された国情院職員をすぐに釈放するように捜査チームに指示した。また国情院職員の逮捕を主導した当時のユン・ソクヨル捜査チーム長をただちに職務から排除した。

 外部の監視と監督が困難な状況で、自浄に向けた内部の努力もない。コメント事件当時、国情院は、独自の監察さえ進めなかった。ある検察幹部は、「国情院のような閉鎖的な組織では、内部監察機能が非常に重要である。しかし国情院の監察室は、国家情報院の世論操作事件などでしっかりとした監察を行わなかったと聞いている。上部に報告もしており、国情院が組織的に行った行為を自ら監察しにくいためと思われる。このように組織的な不法行為を監察から除外すると、国家情報院が自浄能力を発揮するのは難しい」と話した。国情院法制管を務めたイ・ソクボム弁護士は「テロ防止法は、これまで数回に渡り対共捜査に失敗した国家情報院が、テロを口実に自分の権限を増やそうとすることに他ならない。テロが疑われる場合は、国家情報院が検察と警察に情報を渡し、捜査機関が捜査を行えばいい。情報機関の捜査権の強化は、国内査察など政治的に活用されるのではという疑念を抱かせる」と述べた。

チョン・ファンボン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-24 19:25

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/731939.html 訳H.J

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