韓国政府が開城工業団地稼動の全面中断決定を下したことについて、北朝鮮が11日、開城工業団地内の資産を全面凍結し、南側関係者の追放で対抗したことで、開城工業団地入居企業は、大きな衝撃に包まれた。
ソウル汝矣島(ヨイド)の中小企業中央会にある開城工業団地企業協会の事務所で会ったチャンシン金属代表のパク・チャンス氏(70)は、「もう全てが終わったかのように、非常に悲痛な心境だ」と話した。開城工業団地で6年間ステンレス食器を作る工場を運営しているパク氏は「これまで政府からの投資の承認を受けたのが140万ドルなのに、資産凍結措置でお金をすべて取られることになった」と力なく語った。パク氏はまた、「150人の北朝鮮労働者に『北朝鮮で作るものには、あなたたちのプライドがかかっているから、きれいに作らなければ』と冗談を言ったりして、話が通じるようになったと思ったのに、それらを一瞬にして断ち切られて、どうすればいいのかわからない」と語り、言葉を詰まらせた。
「北朝鮮の税関員が突然
荷物を積んだ車両は止めて、バックさせて」
「公団周辺には、完全軍装した兵士たちが」
「公団死亡宣告...もう終わり」と落胆
北朝鮮が資産凍結と関係者追放期限をわずか40分残して南側にこの事実を通知した日、入居企業関係者たちが目まぐるしかった開城工業団地の雰囲気を伝えた。旧正月(2月8日)の連休に開城工場で当直をして、この日の午後5時30分に出境することになっていたある企業の従業員は、「北朝鮮の出入国管理所の前に、当初出境する予定だった車両50台が待機していたが、北朝鮮の税関員が貨物を載せたトラック約20台と荷物を積んだ乗用車20台など、46台を急にバックさせて出境を止めた」と伝えた。この従業員は「荷物を載せていないトラック2台は南側に出られたので、その車に乗せてもらって一緒にきた」と話した。この会社の場合、幸いに昼に11トンのトラック1台が開城に入り、完成品と高価な材料を中心に載せて帰ったという。彼は「普段は、北朝鮮の出入国管理所周辺に約10人の兵士たちがいたが、この日は40〜50人ほど配置されていた」と言った。また、午前中に入境したが、午後2時30分頃出境したアパレルメーカーの従業員は、「公団周辺の鉄条網の外で兵士たちが行き来することを見たことはあるが、バックパックを担って完全軍装をした兵士たちは、今日初めて見た」と述べた。
北朝鮮の突然の資産凍結方針は、企業にとっては青天の霹靂のような出来事だ。インフラはともかく、原副資材や完成品、小規模生産設備を運搬できるように、これまで入居企業は、政府側に撤収期限を少しでも延ばすことを求めてきたが、北朝鮮の突然の通知で、身一つで公団を後にした場合がほとんどだからだ。
開城工団企業協会はこの日、緊急理事会を開き、「政府の開城工業団地中断決定で、開城工業団地には死亡宣告が下された。不当な決定を行った政府に、その責任にふさわしい後続対策と補償を要求する」としながら、緊急対策委員会の構成を議決した。彼らは今月12日、中小企業中央会2階大会議室で緊急総会を開く予定だ。
韓国語原文入力: 2016-02-11 21:34