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[ニュース分析]核実験を知らされなかった中国に北朝鮮を説得できるか

登録:2016-02-03 23:20 修正:2016-02-04 07:31
中国6カ国協議首席代表の武大偉・外交部朝鮮半島事務特別代表=資料写真//ハンギョレ新聞社

中国が止めても発射する 
武大偉訪北直後に発射計画を発表 
北朝鮮の発射「既定事実化」戦略 
韓国内外の専門家の多数が「強行」展望

 6カ国協議の議長である中国の朝鮮半島事務特別代表である武大偉氏が2日午後、平壌(ピョンヤン)を電撃訪問したが、時を同じくして北朝鮮が4回目の核実験に続きロケットをまもなく発射するだろうという観測が強まった。 北朝鮮のロケット発射を引き止め、朝鮮半島情勢の緊張を緩和する対話と交渉の余地を模索するための訪北と見られる。 中国政府は1月28日、外交部報道官の定例ブリーフィングを通じて「関連各国は過激な措置(行動)を取らず緊張局面の悪循環を避けなければならない」と注文した。 ところが、2日深夜から3日未明にかけて北朝鮮が国連の専門機構である国際海事機構(IMO)等に「地球観測衛星光明星」の発射計画を通知した事実が確認された。 北朝鮮の4回目の核実験にともなう国連安全保障理事会の対北朝鮮制裁決議案議論が、韓米日と中ロの間の異見により結論を出せずいいる渦中のことだ。

 そのタイミングが尋常ではない。 中国は北朝鮮の衛星発射計画を延期または取り消しにできるだろうか? 北朝鮮の核・ミサイル問題に関する経験が豊富な元高位職要人や韓中両国の専門家の間では、北朝鮮が衛星(ロケット)発射を強行する可能性が高いという展望が優勢だ。 もちろん北朝鮮が中国との協議を経て発射計画を電撃的に取り消すこともありうるという展望もあるだろう。

「延期・取り消し」には交渉の余地
核実験後に韓米日中ロの間に対立構図
北朝鮮、後ろ盾の中ロの立場は無視できない
中国の「交渉カード」に成否がかかる

 「韓半島平和フォーラム」のチョン・セヒョン常任代表(元統一部長官)は3日「中国政府が武大偉特別代表を平壌に送り(ロケット)発射を止めさせようとしていると判断した北朝鮮が『発射既定事実化戦略』を取ったと見る」と話した。 この問題に精通した対北朝鮮外交消息筋は「中国政府が武大偉の訪問時まで北朝鮮の正確な発射計画の通報を受けなかったと承知している」と話した。 北京大学国際関係学院の賈慶国院長はハンギョレとの通話で「北朝鮮は金正恩(キムジョンウン)政権の国内支持率を高め安全保障を高める狙いで衛星を発射する可能性が高いと判断する」と話した。 また人民大学の時殷弘教授は「武代表が平壌に到着した数時間後に北朝鮮のロケット発射計画が知らされた。 武代表はもちろん中国政府も非常に腹立たしいだろう」とし「武代表の訪北には何の成果もなさそうだ」と話した。

 別の分析もある。 韓国政府の元高官は「北朝鮮の選択には常に両王手の側面がある」として「北朝鮮と中国の協議結果により北朝鮮の発射計画が“交渉カード”として使われる余地もある」と指摘した。 このような判断の根拠は、北朝鮮の4回目の核実験の後に朝鮮半島の情勢変化と武代表の訪北に先んじた北朝鮮、米国、中国、ロシアの複雑な外交の動きだ。 まず北朝鮮の6カ国協議次席代表であるチェ・ソンヒ外務省副局長が1月28日に中国を、パク・ミョングク外務省副相が同日ロシアを訪問した。 武代表は1月28~29日に北京で米国の6カ国協議首席代表であるソン・キム国務省対北朝鮮政策特別代表と協議した。 この元高官は「北朝鮮、中国、ロシアの間に北朝鮮の衛星発射計画と関連した協議があり、武代表がこのような協議の後に平壌に行ったと見なければならない」と話した。 さらに北朝鮮の4回目の核実験の後に米国を中心にした韓国、米国、日本の3国による対北朝鮮圧迫と対中国牽制が露骨化し、「韓米日対中ロ」の対立構図が明確になっている状況での発射強行が、中国やロシアの立場を苦しくさせる点を北朝鮮側も無視はできないだろうという指摘もある。

 問題は武代表が北朝鮮が発射計画を取り消すほどの“交渉カード”を持って行ったかにある。 元高官は「武代表が米国の協議案や中国政府自身が用意した“プレゼント”を持って行ったとすれば、北朝鮮の発射計画取り消しを引き出すこともありうるだろう」と話した。 しかし、この元高官は「米国政府が協議案を出した可能性は現実的にはほとんどない」として「中国政府が北朝鮮を説得できる“プレゼント”を準備したかは武代表が帰って来るまで分からない」と付け加えた。 武代表は4日に北京に戻る予定だ。

イ・ジェフン記者、北京/ソン・ヨンチョル特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/729201.html 韓国語原文入力:2016-02-03 19:24
訳J.S(1981字)

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