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5月党大会控え内部結束狙う北朝鮮 安保理制裁無用論に向けた“戦略的計算”

登録:2016-02-03 22:38 修正:2016-02-04 08:12
ロケット発射計画、北朝鮮の狙いは...
金正恩・労働党第1書記が核実験命令に署名する様子を朝鮮中央テレビが6日報じた=朝鮮中央テレビからキャプチャー//ハンギョレ新聞社

核実験後、ロケット発射...以前と“逆” 
故金正日総書記の誕生日記念した「国内向けイベント」 
「制裁受けるなら一度に」と判断した可能性も

 「地球観測衛星光明星」を発射するという北朝鮮の動きが、過去と異なる様子を見せている。これまで北朝鮮は予告談話と国際機関への通知を経て、ロケットを発射した後、これに対し国連安全保障理事会(安保理)制裁が下されると、核実験を行う手順を踏んできた。

 ところが、今回は先月6日、4度目の核実験が先に行われた。核実験の際も、過去とは異なり、中国や米国などに事前に通知しなかったとされている。ロケット打ち上げ計画を発表する談話はもちろん、朝鮮中央通信などの報道もなかった。国際海事機関(IMO)などに「地球観測衛星」を8〜25日に発射すると通知しただけだ。4度目の核実験に対する国連安保理の制裁議論が進む中、ロケット発射計画が発表されたのも異例のことだ。

 (これについては)北朝鮮の緻密な戦略的選択があると考えるのが大方の評価だ。多くの専門家が、5月の第7回労働党大会を控え、民心結集をめざし国内向けに発射を進めるだろうという見通しを示している。ソウル大学統一平和研究院のチャン・ヨンソク研究教授は「安保理制裁がまだ出ておらず、武大偉・中国6カ国協議首席代表が訪問した状況で、ロケット発射計画を発表したことから、外交的考慮よりも内部要因がより重要視されたものと見られる」と述べた。北京大学の金景一教授は「金正恩(キムジョンウン)政権の権力基盤安定という政治的目的のために、第7回党大会を控えて水爆と衛星打ち上げという2つの成果を誇示しようとする国内向けイベントと思われる」と説明した。

 「人工衛星」の打ち上げという名分を掲げるのも、国内向けだからこそという分析だ。北朝鮮大学院大学のキム・ドンヨプ研究教授は、「国連制裁の後に発射を先送りすると、兵器ということを認めることになる。平和的宇宙開発という名分を生かそうとする選択だと思われる」と述べた。

 4度目の核実験に対する国連安全保障理事会の制裁を考慮した緻密な計算によるものという見方も多かった。核実験後、弾道ミサイル技術の確保が欠かせないこともあり、安保理制裁を2回に分けて受けるよりは、1回で済ませたほうがいいと判断し、ロケット発射を現時点で発表したということだ。

 国際社会の北朝鮮に対する対応方向に影響を与えるためと説明する専門家もいる。朝鮮半島平和フォーラムのチョン・セヒョン常任代表は「(ロケット発射以降)制裁無用論が強まるだろう」とし「中国も手を焼く状況であれば、中国は米国に北朝鮮との平和協定を強く勧告せざるを得なくなるだろう」と予想した。人民大学の時殷弘教授は、「(衛星打ち上げが行われれば、)中国と米国の対北朝鮮制裁をめぐる対立はさらに深まり、これから長期間、制裁決議が出ない可能性が高い」という見通しを示した。

キム・ジンチョル記者、北京/ソン・ヨンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-02-03 19:23

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/729200.html 訳H.J

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