北朝鮮が人工衛星を搭載した長距離ロケットを発射すると関係する国際機構に2日通知したのは、新しい挑発行為だ。先月6日の電撃的な核実験以降、北朝鮮に対する制裁を論議している国際社会に正面から対抗するという手のつけられない行為でもある。北朝鮮は事態をさらに悪化させるのが明らかな長距離ロケットの挑発行為を直ちに中断するのが当然である。
北朝鮮は「平和的宇宙開発は国際法により公認された主権国家の合法的権利」と主張している。2日の通知文でも「国家宇宙開発計画により地球観測衛星・光明星を8~25日に打ち上げる」としている。しかし人工衛星発射体である長距離ロケットは技術的な面から大陸間弾道ミサイル(ICBM)とほぼ同じだ。核兵器を積んだ弾頭を大気圏に再進入させる技術などを補えばアメリカなどを狙った戦略兵器にできる。国連安保理の対北朝鮮決議案が弾道ミサイルの技術を使うあらゆる発射体の使用を禁止したのもこのような理由からだ。
現在の状況で人工衛星発射計画を発表したことは北朝鮮政権の無謀さを見せつけている。北朝鮮の孤立はさらに高まり、国際社会の制裁論議はいっそう力を増すだろう。北朝鮮の政権がこれに気づきながらもロケット発射に乗り出すのは、内部の結束という政治的効果を重視するためであろう。5月の労働党第七回大会を成功裏に開催することが主な目標である。しかし国際社会を敵に回す内部結束は北朝鮮政権にも結局毒になるだけだ。孤立深化は最近の金正恩(キムジョンウン)第1書記がことあるごとに強調する「人民生活改善」とも両立できない。
関連国は北朝鮮のロケット発射を見守るだけではいけない。特に中国は北朝鮮が誤った判断をしないように明確な態度を見せるべきだ。これに関連して2日、北朝鮮を訪問した武大偉・中国外交部朝鮮半島事務特別代表の役割が注目される。韓国や米国が北朝鮮に警告メッセージを送るのは当然だが、それだけでは充分ではない。中国を通じたり、必要ならば非公式ルートを使ってでも情勢管理に乗り出す必要がある。
今年に入って朝鮮半島情勢が急激に悪化している。主な責任は自分勝手に行動する北朝鮮にあるということはもちろんだが、かと言って関連国が責任がないということではない。北朝鮮の誤った行動に明確に対応するのも根本的な解決方法を探そうとする努力も怠ってはならない。北朝鮮の長距離ロケット挑発を防ぐことが、複雑に絡まった北朝鮮問題を解く出発点になり得るのだ。
登録:2016/02/03 20:11