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[インタビュー]日本人に“独島の真実”を知らせることが最も重要

登録:2016-01-25 02:07 修正:2016-02-15 11:52
「独島学術賞」を受賞した在日同胞研究者の朴炳渉氏
「独島学術賞」を受賞した在日同胞研究者の朴炳渉氏(左)と北東アジア歴史財団のキム・ホソプ理事長//ハンギョレ新聞社

 国連国際司法裁判所(ICJ)に「独島がどの国の領土であることを確かめるべき」とする日本政府の主張が受け入られると、裁判官はどちらに勝訴判決を言い渡すだろうか?独島(日本名・竹島)研究者である在日同胞の朴炳渉(パクビョンソプ)氏(74)は、「日本は豪語しているが、実証や論理面からみて、日本は絶対勝てない」と主張する。「1954年だったか、韓日国交正常化交渉の際、両国の代表がこの問題で4回に渡り協議を行ったが、当時は韓国政府側が、ほとんど準備ができていない状態だった。その時は、日本政府側も自信を持っていた。国際司法裁判所に持ち込むと、勝てると信じていた。しかし、その後、徐々に独島に関する研究に進展が見られ、太政官資料まで発掘されるなど、日本に不利な資料が多くなった。これまで出てきた資料を見ると、日本の方がはるかに不利だ」

 今月20日に行われた北東アジア歴史財団(理事長キム・ホソプ)の第6回「独島学術賞」受賞式に参加するため、ソウルを訪れた朴氏が22日、ハンギョレのインタビューに応じた。

エンジニアとして働きながら「半月城通信」を運営 
2005年「竹島の日」の制定をきっかけに 
「日本の独島領有権への反論」集中的に研究 

外務省ホームページや教科書に「独島歪曲」 
「放置すると、これから問題が深刻になる」 
「大韓帝国勅令」など、反証できる材料を見つけるべき

 朴氏は独島領有権問題を国際司法裁判所に付託しようという日本政府の主張は、「日本国民に向けた(政治)宣伝用にすぎない」と話した。この問題について、国際司法裁判所で判決が出る可能性はほとんどない。関連当事国間の合意なしには提訴自体が不可能だが、独島を実効支配している韓国政府がこれに合意すると、独島が国際紛争地であることを自ら認めることになるからだ。しかし、それを対内外に向けた宣伝として逆利用しようとする日本の右派支配勢力の主張自体が、根拠のないものであること論破できるような作業は、予め行っておく必要があると指摘されている。そのような点からも朴氏の研究は、大きな意味を持っている。

 北東アジア歴史財団が彼の受賞者に選定した理由もそこにある。同財団は、朴氏が「過去20年間、日本で独島関連ホームページである『半月城通信』(han.org/a/half-moon)を運営しながら、独島関連資料を蓄積し、『独島漁業史』「安龍福事件に対する検証」をはじめとする著書と論文を多数執筆するなど、韓日間の独島と歴史の対立の懸案を着実に研究し、解決策を提案してきた」と受賞理由を明らかにした。

 1995年から運営している「半月城通信」には近現代史、竹島=竹島、在日韓国人、古代―近世史などの分野別に、彼が直接書き集めた資料が体系的に整理されている。島根大学の内藤正中名誉教授との共著『竹島=独島論争―歴史資料から考える』は、日本図書館協会選定推薦図書になった。

 「日本にも外務省など自国政府の独島関連の主張の真偽に疑問を持っている人が多い。誰もがそれに同調しているわけではない。ところが、日本人の大半は、独島問題にはほとんど関心がない」。朴氏は「日本の外務省のホームページに『竹島(独島)は日本の固有の領土』と書いてあるが、実は極めて根拠が弱いもの」とし「それでも、また少なくない日本人が外務省の主張をそのまま信じている」と語った。彼は最近になって、日本政府が外務省と防衛省のホームページや白書に独島が自国の領土であることを明記した内容を掲載し、学校の教科書にもこれを載せるなど、「特に教育に集中的な努力を傾けている点」について懸念を示した。「学校でそう教え始めると、独島を当然自国の領土だと思う人々がますます増え、10〜20年後には問題が深刻になるだろう」。アルゼンチン沖の英領フォークランド諸島(マルビナスス島)の領有権を巡って1982年に両国が戦争まで繰り広げたのも、アルゼンチン側の歴史教育の効果との指摘があった。

 「解決策は、真実を知らせることだけ」だと朴氏は話した。彼はまず、日本の外務省ホームページで提示されている二つの事実、「江戸時代初期、伯耆藩の大谷、村川両家が幕府から幕府が竹島を拝領した」という主張は根拠がなく、「幕府が鬱陵島への渡航を禁止したが、独島への渡航は禁止していなかった」という主張(1696年のいわゆる「竹島一件」)も偽りだと反論している。

 朴氏は、日本人の渡海を禁止しようと鬱陵島と独島を朝鮮の領土として表示しておいた日本幕府の公式地図をはじめ、1869年外務省調査官の報告書、明治時代の政府の最高機関である太政官で「竹島外一嶋之義本邦関係無之義ト可相心得事」と明記した1877年の指令なども提示した

 彼は「日本人に事実をありのまま伝えることが重要である」と改めて強調した。実際に2年前に日本の市民団体が主催した独島領有権関連公開シンポジウムで、彼は「日本の正統右翼組織である一水会の会長」「総連側研究者」と3人で議論を行ったこともある。その際、一水会の会長は「ほぼ一言もしっかり反論できなかった」と彼は伝えた。

 東京教育大学(筑波大学前身)で理学博士号を取り、ガス化学分析技術エンジニアとして30年間企業で働いてきた彼は、主にインターネットを通じて慰安婦や日本の戦争責任、戦後賠償・補償、靖国、在日韓国人差別、人権・市民権問題、韓日歴史などについて、意見を提示してきたが、2005年、島根県が「竹島の日」を制定したことを受け、独島問題に焦点を当ててきた。

 朴氏は、日本の領有権主張を封鎖できる最も確実な方法は、1900年10月、大韓帝国「勅令第41号」で、適示した「石島」が「独島」という事実を立証する資料を見つけることだと語った。この勅令は、鬱陵島を鬱島と改称し、鬱島郡守が管掌するように法を改正する際、その管轄区域を鬱陵全島と竹島・石島に規定している。

ハン・スンドン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-24 21:21

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/727676.html 訳H.J

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