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[インタビュー]日本が「独島は韓国領」と認めた古地図を集大成

登録:2015-12-03 00:49 修正:2015-12-05 08:07
独島研究の専門家、リヨン3大学イ・ジンミョン教授
リヨン3大学イ・ジンミョン名誉教授 =イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 「この地図を見つけられなかったら、おそらく今回の『日本古地図選集』3部作の発刊プロジェクトはなかったでしょう。イ・フンソク理事が昨年日本で見つけてきた「大三國之圖」です。 この地図は印刷本ではなく描いたものなので一つしかありません。日本にも中国にもありません。 『独島(日本名、竹島)は日本の固有領土』という主張が虚構であることを明確に示す重要な史料です」

 最近、「我が文化を育てる会」は、日本自身が独島は韓国領と認めた日本近現代の古地図を集大成して出した『日本古地図選集』の編纂委員長でフランスのリヨン3大学のイ・ジンミョン名誉教授(69、写真)は、あくまでもイ・フンソク理事の功績と主張した。それに対してイ理事は「イ教授の名著『独島、地理上の再発見』(サミン)がなかったら地図を手にしても分からなかっただろう」として、その手柄をイ教授に返した。

 先月20日、出版説明会を通じて一斉に報道された「日本古地図選集プロジェクト」はすでに韓国内外で大きな関心を集めている。休みになれば帰国して故郷の慶尚南道固城(コソン)で過ごすイ教授は先週末、自らハンギョレ新聞社を訪ね今回のプロジェクトの意味を改めて明らかにした。

「我が文化を育てる会」“選集”編纂委員長
日本地図学の先駆者たちが製作本を初出版
日本の外務省が歪曲した地図の原本も発掘

1971年にフランス留学、独力で“韓国学”開拓
『独島、地理上の再発見』は“3大名著”
英語版カレンダーなどで海外広報を計画

 『大三國之圖』は1802年版で、鬱陵島(ウルルンド)の部分にはその時期に日本で呼んだ名前である「竹島」、独島には「松島」と記されていて、「朝鮮のもの」(朝鮮ノ持之)という説明まで書いてある。 この地図は江戸時代の経世論家である林子平(1738~1793)が1785年に作った『三国通覧輿地路程全図』を修正・補完したもので、日本と周辺国の境界を色で区別してある。

 「2013年に偶然鬱陵島と独島が朝鮮領土として表記された日本の古地図を入手しました。気になってイ教授の本を見て、日本にはそのような地図が圧倒的に多いという事実を知りました。 その時から2年間、日本の古書店や競売などを検索したところ、200点余りも集めることができました。 今回の選集1巻にはほとんど日本地図学の先駆者と日本の陸軍省などが製作した30点を選びました」

 イ理事が話した通り、同書には1779年“日本地図の始祖”と呼ばれる長久保赤水の『改正日本輿地路程全図』、1809年幕府の天文地理担当者である高橋景保(1785~1829)が韓国式名称で二島を表記した『日本辺界略図』、1875年陸軍参謀局が発行した『朝鮮全図」、1937年日本陸軍省陸地測量部が発行した『地図区域一覧図』等、鬱陵島と独島を朝鮮半島の一部または、日本の境界線外に表記した地図が含まれている。

 編纂委員であるチェ・ソンウン韓国地図製作研究所代表は「特に長久保赤水の1779年版改正日本輿地路程全図は日本外務省のホームページで『独島は日本の領土』と主張する根拠として提示した1846年版改正日本輿地路程全図の原本であるわけだ。ところが鬱陵島と独島を日本領土とは区分してある原本と異なり、改訂版では日本領土と同じ色で塗ってあり、初版にも同様に彩色されていると書いてある。 明確な“偽り”であることが明らかになった」と大きな意味を付与した。

 イ教授の『独島、地理上の再発見』はイ・ハンキの『韓国の領土』(1969、ソウル大出版部)、シン・ヨンハの『独島の民族領土史研究』(1996、知識産業社)と共に“独島研究の3大名著”に挙げられる。 98年に出た初版は「韓国百想出版文化賞出版賞」(史料整理部門)を受賞し、2005年の改訂版も「美しい韓国の本100選」人文学1位に選ばれるほど高い学術的価値を認められている。

 「日本の主張に疑問を感じて、個人的に96年からフランス海軍省資料館、国立古文書館、フランス国立図書館を検索して独島が登場する西洋史料を追跡してみました。特に近代西欧列強の世界探険の歴史の中で“発見”された独島を通じて客観的で中立的な論拠を提示できると考えました」。

 実際、彼は「独島を訪ねた西洋人」が残した資料を通じて、リアンクール岩島、竹島、独島の由来から複雑な名称変遷史を整理した。 1787年フランスのラベルーズ伯爵探検隊の鬱陵島発見、1849年フランスの捕鯨船リアンクール号の独島発見、ロシアと英国艦隊の独島発見、フランス、英国、米国の海軍の水路誌と海図に表わされた独島など今は常識になった歴史的事実を明らかにした。

 当初ソウル大で仏語仏文学を専攻した彼は、71年にフランス政府奨学生として留学し、73年カーン大学で歴史学学士および修士を終えた。77年ソルボンヌ(パリ4)大学で「フランスと日本の間の経済-財政交流関係、1859~1914」論文で歴史学博士学位を受けた。 「その時は韓国関連の博士論文を指導したり審査する教授がいなくて、しかたなく日本を主題にしたが、そのおかげで独島地図研究に多いに役立ちました」。 リヨン3大学正教授退任後、パリ7大学韓国学博士学位指導教授も務めている彼は、今年6月フランス政府から教育功労勲章であるシュバリエを受けもした。

 「今回のプロジェクトにより日本の独島古地図選集3部作が完成すれば、もう史料の1、2枚に一喜一憂する必要はなくなるでしょう。 次の課題は強大な資金力を動員した日本の攻勢に効果的に対応できるよう、選集を韓国内外に広く普及させることです」

 「我が文化を育てる会」は来年中に日本の海軍省と出版社・報道機関が発行した地図を集めて2巻を出し、日本の地理教科書と民間業者が発刊した古地図を収めた3巻を出す計画だ。まず今回の1巻選集500部は韓国内の大学や研究機関に寄贈する予定だ。 「2016カレンダー-日本古地図に見る独島」も500部製作した。 韓国語版カレンダーは韓国内の教育機関に、英語版は日本をはじめとする海外の大使館や図書館など主要機関に送り、日常的に「独島は韓国の領土」であることを喚起させる計画だ。

 「米国スタンフォード大学図書館からは既に日本古地図選集の要請があった」と耳打ちしたイ・フンソク理事は、広報作業と追加発刊基金準備のために楊平(ヤンピョン)郡をはじめ地方自治体の後援を推進中と伝えた。 古地図選集は非売品とすることが原則で、地図カレンダーと卓上カレンダーは一般人を対象に注文販売し基金を集める。

キム・ギョンエ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/720083.html 韓国語原文入力:2015-12-02 21:37
訳J.S(2933字)

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