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[インタビュー]良くならないのが分かっているほうが幸せ…韓国のような格差論はない

登録:2016-01-21 22:38 修正:2016-01-22 06:43
さとり世代の研究者・古市憲寿氏
古市憲寿氏=チェ・ウリ記者//ハンギョレ新聞社

 東京大学大学院総合文化研究科博士課程の古市憲寿氏(31)は、日本で「同世代を語る若い知識人」と呼ばれる。 26歳だった2011年に書いた本『絶望の国の幸福な若者たち』で、彼は長期不況・低成長時代を生きる日本の若者を「さとり世代」と呼んだ。さとり世代は親世代よりも物質的な成功にこだわらない。欲望を膨らますことなく、現在の状況に満足し、幸せを感じる。古市氏は、彼らが幸せな理由を「良くならないという確信があるから」と挑発的に分析した。逆説的なこの本は、日本だけで20万部が、韓国でも8000部が売れた。未来社会にも関心を持っている彼は最近、少子化問題を解決するためには、子育て支援が必要であるという内容の『保育園義務教育化』を出版した。

 先月14日、東京都品川区のホテルで、ハンギョレのインタビューに応じた古市氏は、韓国の「N放世代(すべてを放棄した世代)」と日本の「さとり世代」は異なると定義した。韓国の若者たちが、希望がない時代に、どこにあるかも知らない希望を追い求める「希望難民」状態であるのに対し、日本の若者たちは不安な幸せを信じて、それなりに現実と折り合いを付けながら生きていくと説明した。絶望の国に住んでいる日本と韓国の若者のうち、どちらがより幸せだと言えるだろうか。

 - 韓国では「匙階級論」が広がっている。

 「日本では団塊の世代(1947〜1949年生まれ)とその子供世代がすでに中流階級を形成した。国民皆が平等に豊かだった。韓国のように激しい格差論はない。格差社会なのだけど格差を大きく感じていない」

 - 金持ちの団塊世代と貧乏のさとり世代との間で、軋轢はないのか?

 「怒りはない。むしろ、さとり世代は団塊の世代に『お金をたくさん稼いでくれて、ありがとう』という。ただし、2000年代半ば以降、社会の二極化が進んだ。十数年がすぎた今、徐々に問題が現れている。豊かな団塊の世代がいなくなると、新たな社会インフラが支援できなくなる恐れがある」

 - 将来、日本社会がさらに直面する社会問題には何があるか。

 「結婚せず、親と一緒に暮らす『パラサイト・シングル』の問題が深刻だ。お金のない子供は、親のそばを離れられない。人気漫画『東京タラレバ娘』は、2020年の東京オリンピックを誰と見るかを悩みながらも、結婚はしない30代女性の話だ。恋愛や結婚を描く番組は多いが、結婚しない若者が増えた。2030年には生涯結婚しない非婚者が4分の1になるとされる。少子化と関係がある」

 - 日本の若者の政治参加は?

 「日本は基本的に政治に無関心だ。政治が変わると、人生が変わるという期待はしない。若者の投票率を上げても、高齢人口があまりにも多く、政治に直接反映されにくい構造的な問題もある。韓国も似たような状況だと聞いている」

 - 日本の若者たちは本当に幸せなのか?

 「日本の保守メディアは、私の本を見て『若者たちが幸せだから、日本には未来がある』というふうに解釈した。既成世代は、自分たちを慰めるために読み違えることがある。私は幸せになれない状況から、幸せを見つける青年の矛盾した感情、感情の不均衡の中に潜む社会問題に、より注目したかった」

東京/チェ・ウリ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-01-20 21:58

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/727180.html 訳H.J

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