セウォル号事故当日、朴槿恵(パク・クネ)大統領が国会議員だった時期に補佐官を務めたチョン・ユンフェ氏と一緒にいたという疑いを提起するコラムを書き、名誉毀損容疑で起訴された加藤達也・産経新聞前ソウル支局長(49)に無罪が宣告された。 判決は、大統領府を意識した検察の“無理な起訴”にブレーキをかける一方で、言論の自由を保護したと評価されている。
ソウル中央地裁刑事30部(裁判長イ・ドングン)は17日、「セウォル号沈没事故当日の大統領の足取りは、公的関心事案に該当するので言論の自由が幅広く認められなければならない」として、「情報通信網利用促進および情報保護等に関する法律」の名誉毀損容疑で起訴された加藤前支局長に無罪を宣告した。
裁判所は加藤前支局長のコラムに記載された内容は「虚偽事実であることが明白だ」と明らかにした。 裁判所は「チョン氏の通話目録と関連者の陳述を総合すれば、セウォル号沈没当日にチョン氏がソウル鍾路区平倉洞を訪問していたことは事実だが、この日チョン氏は(朴大統領ではない)知人に会ったと見られる」とした。 裁判所はまた、加藤前支局長が朴大統領関連のうわさが虚偽であることを確定的ではないとしても知っていたと判断した。
しかし、裁判所は加藤前支局長の行為が、大統領という公人に対する名誉毀損には該当しないと見た。 裁判所は「記事作成の主な目的は、大韓民国の政治・社会状況を伝えようとしたものとみられる。この記事の随所に韓国の政治状況に対する評価が入っている点を見れば、加藤前支局長に“大統領”ではなく“私人”として誹謗する目的があったとは見難い」と明らかにした。 ただし裁判所は「裁判所の判断範囲はこの記事が検事が公訴提起した犯罪の構成要件には該当しないということであって、行為が妥当だということではない。 大統領を嘲弄し韓国を戯画化した内容を作成しておきながら事実関係を確認しなかったことは適切でない」と指摘した。 加藤前支局長は判決宣告後に記者会見を行い「無罪は当然だ。韓国の検察は当初から起訴すべきではなかった」と話した。