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[ニュース分析]外交日程に重なる産経新聞前ソウル支局長の出国停止解除

登録:2015-04-15 00:11 修正:2015-04-15 06:41
 政府「韓日関係とは無関係」
 駐韓日本大使館 「意外」
 NHK「安倍首相訪米前、米国の懸念を払拭しようとする意図」
朴槿恵大統領のセウォル号事故当日の動きに疑惑を提起して名誉毀損の疑いで起訴された産経新聞加藤達也前ソウル支局長が、14日午後、出国のためソウル金浦空港の出国場に向かいながら、知人と挨拶を交わしている 聯合ニュース

 韓国政府が産経新聞の加藤達也前ソウル支局長の出国停止を14日解除した。日本側は解除を全く予想していなかったようだ。韓国政府は関連性を公式に否定したが、一部では韓日関係改善に向けての一種の外交的ジェスチャーではないかという分析が出ている。

 駐韓日本大使館関係者は14日、ハンギョレとの通話で「予想できなかった。(出国停止解除は)私たちが韓国側にずっと求めてきた問題なので、どこかで解決できればと思ってはいたが、韓国の国内事情でもあり、意外だった」と述べた。

 韓国政府は外交的な考慮なしで下した決定であることを強調した。法務部はこの日出した資料で、「加藤前支局長が今後の裁判に出席すると約束しており、産経新聞社がこれを保証している状況と、病中の高齢の母親など、日本の家族と離れて暮らす現実などを考慮し、出国停止を解除した」と明らかにした。また、加藤前支局長の名誉毀損事件担当裁判部が先月30日、「朴槿恵(パク・クネ)大統領とチョン・ユンフェ氏が会ったという噂は虚偽」と判断したことについて、加藤前支局長が7日産経新聞に載せた記事を通じて 「異議を提起するつもりはない」とした点も背景として提示した。純粋に法的な判断に基づいて下した決定だということだ。ノ・グァンイル外交部報道官も同日のブリーフィングで、「今回の件は、私たち(韓国)の検察当局が法と原則、事件処理基準に基づいて捜査を進めた結果、取った措置」だとし「韓日関係とは無関係な事案」だと線を引いた。

 しかし、加藤前支局長の問題がこれまで韓日関係に負担になってきたことから、政府は少なくとも出国停止の解除時期を選ぶに当たり韓日関係を考慮したものと見られる。一部では、日本が最近「外交青書」から「韓国は基本的価値を共有する国」という表現を削除したことも、加藤事案に対する反発だという分析が出た。このため、これまで外交関係者の間では、韓日関係の改善のために政府が過去の問題とは区別して取ることができる先制措置として、加藤前支局長の出国停止を解除する可能性が注目されてきた。ただし、政府内では、8月に予定された安倍首相談話など、日本側の「歴史逆行」の可能性が予見される状況で、出国停止解除などの先制的措置をとる必要があるのかという反論も提起されてきた。

 日本側がどのような対応を見せるかが不透明な状況で、韓国政府が加藤前支局長の出国停止を解除したことについては、「安倍首相の訪米前に、米国政府も懸念を示しているこの問題を一段落させるという意図」(NHK)だという分析も出ている。過去の歴史問題に加え、加藤前支局長の問題にまで韓日間の対立が広がることを望まない米国の見解を、ある程度反映させたというのだ。

キム・ウェヒョン記者、東京/キル・ユンヒョン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-04-14 22:29

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/686902.html  訳H.J

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