国家情報院が9月初め、異動してから1年にもならない監察室の処長3人をまとめて交替するという異例の人事をしていたことが、分かった。 この人事について、ハッキング プログラム(RCS)の導入と運用を主導した国家情報院職員イム氏(45)が自ら命を絶つ前に高強度の監察調査を受けていたという指摘と関連した問責性人事ではないかという疑いが提起された。
20日、国家情報院で非公開で開かれた国会情報委員会国政監査に参加したシン・ギョンミン新政治民主連合情報委幹事は、ブリーフィングを通じて「9月初めに国家情報院監察室の人事異動があり、室長は留任したが監察処長・保安処長・評価処長の3人が全員交替させられた」と伝えた。 監察処長・保安処長・評価処長は3級公務員の席で、国家情報院で要職と言われる職責だ。 シン・ギョンミン議員は「3人とも(異動になって)1年にもならない状態で交替させられたのは、国家情報院の開院以来きわめて異例な人事だ。 今回の人事が亡くなったイム氏と関連しているのではないか」と質問した。 しかしイ・ビョンホ国家情報院長は「ハッキング事件とは関係ない。 監察室は全般的に新たな勤務姿勢が必要だったし、権威的だという批判があったため一挙に交替した」と答えたと伝えられた。
国家情報院職員イム氏は、民間人査察論議を呼び起こしたイタリアの「ハッキングチーム」のハッキングプログラムの購入と運用を担当した人物で、7月18日に自ら命を絶った。 野党は「イム氏が耐え難いほどの圧迫を受けた」として、民間人査察疑惑との関連性を提起し、その過程でイム氏が亡くなる前に国家情報院から強力な保安調査を受けていたという疑いが提起されたことがある。 当時イ・チョルウ・セヌリ党情報委幹事は「国家情報院がイム氏に数回電話通話で調査したところであり、監察調査を受けてはいない」と否定したが、新政治民主連合は国家情報院に対してイム氏の監察調査報告書を国会に提出するよう何度も要求してきた。 イム氏の死後、イ・ビョンホ国家情報院長は7月27日の情報委において「ハッキングプログラムはイム氏が主導してきたし、彼が死亡したために全貌が分からなくなった」と報告し、野党から“尻尾切り”だという批判を受けていた。 シン・ギョンミン議員は「イム氏の死亡と国家情報院の内部監察は明確に関連していると見る。 監察室の人事は問責性人事と見られるが、国家情報院長が否認したため疑問点として残りそうだ」と話した。 この日の国政監査は国家情報院が野党のハッキング疑惑に関連した33種の資料提出要求に応じなかったため難航した。
またこの日の国政監査では観察室人事に関する議論の他に、北朝鮮には未だ核弾頭を小型化する技術はないと国家情報院は判断し、今月10日の労働党創建日閲兵式で公開した新型兵器については性能が優秀ではないと評価した。 北朝鮮が労働党創建日に際して長距離ミサイル発射計画を明らかにしたが、それを実行しなかった背景については「中国が反対し国際社会が圧力を加えた上に、技術的準備も不十分だったため」と説明した。また国家情報院は、現在韓国国内に入国した亡命者の中には相当なエリート級の北朝鮮脱出者が含まれているとも伝えた。