国家情報院は27日、非公開の国会情報委員会でハッキング疑惑について釈明したが、違法性をめぐる議論は続いている。“疑い”が晴れたというよりは、捜査を通じて明らかにすべき課題が再確認されただけだ。
国家情報院は、自殺した職員のイム氏(45)が削除したハッキング資料が合わせて51件で、対北朝鮮・テロ対策用が10件、国内実験用が31件、失敗したのが10件だと国会に報告した。実際にハッキングプログラムで情報収集を行ったことになる。情報通信網法第48条は、ハッキングプログラムで他人の情報通信ネットワークに侵入する行為自体を違法と定めている。特にハッキングプログラムの導入に先立ち、国家情報院の内部でも反対意見があったことが分かった。内部でも実定法違反に対する懸念があったということだ。
国家情報院が通信秘密保護法に違反した可能性もある。同法第7条は傍受を行う際、「通信の一方または双方の当事者が韓国人の場合は、高等裁判所首席部長判事の許可」を受けたり、「(外国人などの場合は)大統領の承認を得なければならない」と規定している。しかし、国家情報院は、ハッキング相手がすべて外国人だと主張しながらも、情報委員会で「RCS」の使用と関連して、大統領の承認を受けていないと明らかにした。通話内容をリアルタイムで傍受する「一般的な傍受」が大統領の承認対象であるだけで、ハッキングの場合はその対象にならないという主張だが、このような部分の違法性も検討してみる必要がある。
また、通信秘密保護法によると、「傍受設備を製造・輸入・販売・配布・所持・使用したり、そのための広告をしようとする者は、未来創造科学部長官の認可」を受けるようになっているが、国家情報院にハッキングプログラムを仲介した「ナナテック」はこのような認可を受けていない。情報委員会と共に27日に開かれた国会未来創造科学放送通信委員会でチェ・ヤンヒ未来創造科学部長官は、「電気機器、機械装置等の種類の設備を傍受設備と看做す」とし「ソフトウェアは無形物であるため、傍受設備と見るのは難しい」と述べた。
このような主張に対してイ・グァンチョル弁護士は「国家情報院が正当なアクセス権がない状態で捜査対象者の携帯電話をハッキングして、特に彼らの携帯電話のデータを流出する悪性プログラムを植え付けることは情報通信網法に違反する」と指摘した。また、「盗聴プログラムを傍受設備と看做すかどうかについては、議論の余地がある。しかし、傍受は裁判所の許可などの統制装置がある一方、盗聴は誰を対象にどの程度まで情報を引き出していくかを制御できないという点が根本的な問題」だと述べた。
韓国語原文入力: 2015-07-28 20:14