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麻薬事件関与を否定する韓国与党代表の二女の陳情で検察が異例のDNA捜査

登録:2015-09-26 08:39 修正:2015-09-26 08:40
 潔白を立証したい当事者の陳情
 検察が速やかにDNA鑑定
10日午前、国会に入る金武星セヌリ党代表。金代表は先月28日、2番目の娘と結婚した婿のイ氏が麻薬を15回投与した容疑で拘束され2カ月後に執行猶予で釈放された事実が遅れて知られ困惑した様子だった=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 捜査に関連したいかなる法律にも、特定人の陳情を受け捜査に着手できるという根拠条項は見当たらない。捜査機関が実際にそうした事例もない。このためソウル東部地検が“麻薬投薬説”と無関係だとし自身の潔白を証明したいキム・ヒョンギョン氏(31、金武星<キム・ムソン>セヌリ党代表の二女)の陳情を機にDNAと毛髪採取など、事実上の捜査に着手すると、その“背景”に関心が高まっている。

 強力部(凶悪犯罪担当部署)の経歴が長い検事補級検察幹部は「当事者が自身の潔白を立証したいと麻薬事件の陳情を出し、直ちに検察がDNA鑑定までするのは見たことがない」と話す。他に例を探すのが難しいというのだ。

 この問題で「キム氏の父の金武星代表を意識して速かに捜査を始めたのではないか」と語られ出すと、検察はすぐ積極的に釈明した。25日、キム氏の事件を担うソウル東部地検は、キム氏の17日の自身の調査を求める陳情書がなくても「キム氏の麻薬投薬疑惑を捜査し処罰を求める」趣旨の第三者が出した陳情書が21日に受け付けられ、これを機に捜査に着手したと明らかにした。

 検察高位関係者は「当初はキム氏の陳情書を検討したが、捜査機関の検察が捜査する理由はないと結論を出した。ところがその後、第三者が事実上の告発状と見られる陳情書を出し、捜査権を発動できる要件がそろったと判断し、捜査をすることになった」と説明した。

 検察がキム氏から採取したDNAと毛髪を検査し、彼女の投薬の有無を明らかにできるかは不透明だ。検察はイ氏宅で発見された投与者不明の注射器から抽出した複数人物のDNA“混合体”とキム氏の毛髪などから抽出したDNAを対照・鑑定する計画だ。キム氏の毛髪に麻薬成分があるかも検査することになる。

 しかし、その結果はキム氏の潔白を立証する方向で出される可能性が高そうだ。DNA鑑定は“消去”のための目的にだけ活用できる。キム氏のDNA試料と対照する注射器からは、誰のものか分からない複数のDNA情報が混合(混合体)されており、キム氏のDNAがその中に含まれているか確認しにくい状態だ。混合体とキム氏のDNA試料が最初から関係がない場合、「注射器と関係ない」と判定できるにすぎない。

 毛髪検査の場合は“時間”がカギだ。通常、麻薬捜査の実務では、毛髪検査で確認できる投薬時期を最大1年余りと見る。警察署のある麻薬捜査チーム長は「投与時点が1年ほど過ぎると毛髪検査では陽性反応を期待し難い」とし「特に女性はパーマ・染色など髪の毛に化学薬品が付着する場合が多く、検出の可能性が低くなる」と指摘した。キム氏の夫イ・サンギュン氏(38)の判決文によると、イ氏が最後に麻薬を投与したのは昨年6月頃となっている。

ノ・ヒョンウン、オ・スンフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-25 19:04

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/710517.html 訳Y.B

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