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麻薬15回投与した韓国与党代表の婿に異例の執行猶予

登録:2015-09-11 07:11 修正:2015-09-11 07:40
 コカインやヒロポンなど投与したイ・サンギュン氏
 2月に執行猶予を受け先月結婚式
10日午前、国会に入る金武星セヌリ党代表。金代表は先月28日、2番目の娘と結婚した婿のイ氏が麻薬を15回投与した容疑で拘束され2カ月後に執行猶予で釈放された事実が遅れて知られ困惑した様子だった=イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

裁判所は当時の量刑下限より低く宣告
検察も上告放棄…金武星代表を配慮か
金代表「裁判1カ月後に事実を知った」

 金武星(キム・ムソン)セヌリ党代表の2番目の婿イ・サンギュン新羅開発代表(38)が、コカインやヒロポンなど各種高強度麻薬を15回投与した容疑で処罰を受けていた事実が10日になり明らかになった。忠清北道の資産家として知られるイ・ジョンヨン新羅開発会長の息子のイ氏は、執行猶予状態で先月26日に金代表の2番目の娘と非公開で結婚式を挙げた。これに対し金代表は「(裁判が終わって)1カ月後に内容を知った」と捜査と裁判に影響力を行使した事実がないと明らかにした。

 イ氏の判決文によると、彼は2011年12月から昨年6月まで、ソウルび江南(カンナム)のクラブや江原道のリゾート、自分の乗用車などで15回麻薬を投与した。コカイン、ヒロポン、エクスタシー、大麻草、スパイスなど種類も多様だった。昨年5月には2日連続で、6月には2日間隔で乗用車内でコカインとヒロポンを吸入した。ソウル東部地検は昨年12月、イ氏を拘束起訴し、ソウル東部地方裁判所刑事11部(裁判長ハ・ヒョングク)は2月6日、イ氏に懲役3年・執行猶予4年を宣告し、社会奉仕160時間と40時間の薬物治療講義の受講を命じた。

 裁判所はイ氏が初犯である点などを理由に、大法院(最高裁)の当時の量刑基準と異なる執行猶予を宣告し、当初実刑を求刑した検察も控訴を断念し刑が確定した。これに対して麻薬捜査の専門家は「初犯でも常習性が濃厚な麻薬犯人に執行猶予が宣告されるのは多少異例」と首を傾げた。

 当時の大法院の麻薬犯罪量刑基準を適用すれば、イ氏には懲役4年~9年6カ月が宣告されねばならなかったが、裁判所は「犯行を認め反省しており初犯である点などを考慮し、量刑基準下限(懲役4年)を離脱して刑を定めた」と執行猶予を宣告して釈放した。

 麻薬捜査に長く関わったある警察官は「量刑は判事が決めることだが15回も持続的に投薬をしたとすれば一般的に実刑が下される罪質」と語る。別の警察官は「初犯といっても実刑を下される麻薬犯も多い。刑は寛大な気がする」とした。別の意見を持つ警察官もいる。「普通初犯には執行猶予2年ほどが出されるのに4年なら刑量が重い。同種の前科がない場合、投与回数はそれほど重く見ない」。

 イ氏の捜査に関わっていない検察関係者は「単純投与事犯でも拘束する理由は実刑事案との判断があるからだ。明確になった犯罪が2年余りの間に1、2回でなく15回にもなるなら軽くない事案だ」と指摘する。

 問題が大きくなるとソウル東部地方裁判所は異例の釈明資料を出した。他人に販売・提供する目的でない本人投与目的で▽共犯も同日に懲役2年6カ月に執行猶予3年が宣告され▽量刑基準は勧告的基準であって法的拘束力がない点を挙げた。特に宣告後の5月から「投与・単純所持目的」である場合、刑を減軽するよう量刑基準が変わった点を強調した。改正された量刑基準で量刑基準の下限は執行猶予が可能な懲役2年6カ月だ。

 大法院関係者は「投与・単純所持目的の麻薬購入と他人に供給する目的の購入を同一に処罰するのは問題という指摘があり、5月から投与・単純所持目的なら刑を軽減する新たな量刑基準が適用された」と説明する。大法院が把握した昨年の麻薬犯罪量刑基準遵守率は82%だ。被告人10人のうち8人に量刑基準に符合する判決がなされたことになる。

 実刑3年を求刑しておきながら執行猶予を受けて控訴しなかった検察も俎上に載った。ソウル東部地検のイ・キソク検事補は「初犯、自白、反省、捜査協力の有無などを総合的に考慮して控訴事案でないと判断した。捜査と公判過程でイ氏が誰なのか、家族関係がどうなっているのかは知らなかった」と答えた。

 この日の法務部国政監査でも問題となり、金代表は午後6時を過ぎ党代表室で記者懇談会を自ら求め「(婿が)仕事で数カ月外国に出ていると聞いていたが、そういう状況だったのは裁判が終わって1カ月ほど過ぎてから知った」と述べた。金代表は「親の気持ちで『この結婚は絶対だめだ』と言ったが、娘が『愛しているから絶対に結婚する』と言い張り、結局娘には勝てなかった。明らかなのは拘束から釈放されて1カ月後まで私は内容を全く知らなかったということだ」と述べた。

オ・スンフン、イ・ギョンミ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-10 22:32

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/708312.html?_fr=mt1 訳Y.B

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