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DMZ地雷爆発で対立する南北が開城工団賃金問題で電撃合意

登録:2015-08-18 23:41 修正:2015-08-19 08:44
最低賃金5%引き上げ

 南北が6カ月にわたり対立してきた開城(ケソン)工業団地の最低賃金引き上げ問題で合意した。非武装地帯(DMZ)地雷爆発事件を機に11年ぶりに南北双方が拡声器放送を再開させるなど、南北関係が最悪の状況にある中で成立した合意なので、一層注目される。

北「労働規定」一方的改定後 6カ月葛藤
今回は一歩退いて5%引き上げに同意
南「工業団地は合意に基づき運営」名分守る
北「社会保険料引き上げ」実利獲得
合意は来年3月まで限定有効
労働規定論議などは事実上先送り

 韓国統一部当局者は18日、南側の開城工業団地管理委員会(管理委)と北側の中央特区開発指導総局(総局)が17日、開城工業団地北側労働者の月最低賃金を今年3月分から73.873ドルに引き上げることで合意したと明らかにした。 昨年11月、北側は最高人民会議で労働規定を一方的に改定し、最低賃金を年5%まで引き上げできるよう定めた上限をなくすと通知した。北側は以後、最低賃金を70.35ドルから74ドルに上限を0.18%超過する5.18%引き上げるという立場を示してきた。 だが、今回は一歩退いて5%の引き上げに同意した。

開城工団の月最低賃金推移(単位ドル・上グラフ) 開城工団沿革 //ハンギョレ新聞社

 今回の合意で南北はそれぞれ名分と実利を得たと評価されている。 まず、南側は合意により開城工業団地を南北合意の下に運営するという原則を守ることができた。 北側は社会保険料引き上げという実益を獲得した。 管理委と総局は、社会保険料を労働時間、職種、職制、年限加給金の15%とすることに合意した。北側の要求を全て受け入れたわけだ。 これに伴い、今回の合意による北側労働者の実質賃金引き上げ率は最低賃金5%を大きく上回る8~10%に達すると開城工業団地企業協会は見通した。現在、開城工業団地の北側労働者は月に120ドルから200ドル台の賃金を受け取っていて、世界で最も賃金の安いカンボジアと同等の水準だ。 当初から南側は北側労働者の賃金引き上げ自体に反対するというよりは、北朝鮮が韓国側との協議をせずに一方的な決定を下そうとしたことに対して強硬な立場を示してきた。

 南北はまた、労働者の成果、勤務態度などにより奨励金を調整するということにも合意した。 「企業のニーズに合うよう労働力を安定的に供給すべく努力する」という合意も引き出した。 統一部当局者は「企業側は労働者の労働能力向上と労働者数の増加に関心が強かったが、今回の合意で企業の経営条件は良くなると見る」と評価した。

 今回の合意はとりあえず来年3月の賃金交渉時まで有効だ。労働規定改定など労賃体系改編問題と三通(通信・通関・通行)問題など、開城工業団地の発展的正常化に関する問題は開城工業団地共同委員会で今後協議することとした。 事実上、協議を先送りしたと言えるが、今年7月に開かれた第6次共同委が険悪な雰囲気で決裂した状況であり、今後共同委でこれらの問題まで合意できるかは未知数だ。

 チョン・ギソプ開城工業団地企業協会会長は「北側は実利を獲得したし、韓国政府は原則を守った。 この程度でまとまったことを歓迎する」と語った。キム・ジンヒャン・カイスト研究教授は「北朝鮮も南北関係の唯一の絆である開城工業団地を維持するために一部譲歩した」とし、「ただし地雷爆発を巡る緊張が高まれば、2013年のように工業団地の運営が中断される危機に広がりかねないだけに、南北が今回の軋轢をうまく調整しなければならない」と話した。

開城工業団地で作業している北朝鮮労働者たち //ハンギョレ新聞社

キム・ジフン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/704984.html 韓国語原文入力:2015-08-18 20:09
訳J.S(1610字)

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