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朴大統領が強調する「国民中心の政治」は詭弁

登録:2015-07-19 22:36 修正:2015-07-20 07:26
 他の政治家は利害得失の争い
 自分は違うという二分法的信念
 「政治失踪」や国家災害につながる
朴槿恵大統領 //ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領が最近「国民中心の政治」を強調する理由は何なのか。

 「国会も国民を中心とした政治に回帰し、国民の生活の安定と経済の活性化に邁進しなければなりません」(17日憲政会役員との昼食会)

 「国民中心の政治をぜひ実現させて『国民中心の政治はこのようにすることだ』という模範を今回見せていただけるよう、もう一度お願いいたします」(15日、セヌリ党幹部との会合)

 いったい国民中心の政治とは何なのか。 17日憲政会昼食会で、朴大統領はこのように説明した。

 「国民の生活とは何の関係もない利害得失の争いに没頭するのは、政治の本領から外れることであり、また、憲政史にも傷跡を残すことになります。私たち(韓国)の政治が『国利民福』を最優先の価値として実践していけるように、長い政治経験をお持ちの皆さんに導いていただきますよう、お願い申し上げます」

 特別な内容はない。国利民福とは、あえて説明するなら、国の利益と民の幸せだ。政治の最終目的はまさに国利民福だ。すべての政治家は国利民福のために存在する。

 なのに、朴槿恵大統領は自分だけが国利民福の価値で国民中心の政治を実践しており、他の政治家はすべての利害得失の争いにしがみついていると思っているようだ。国民中心の政治は、自分と他の政治家を区別するための装置に過ぎないのだ。

 このような認識が最も極端に現れたのが、2013年9月のファン・ウヨ、キム・ハンギル代表と会談した翌日、閣議で行った発言だ。朴槿恵大統領は、野党の場外闘争を強く批判してから、こう述べた。

 「私も野党代表として活動した経験があり、窮地に立たされた党を立て直したこともあったが、党の目的のために国民を犠牲にしたことはありませんでした」

 「自分は国民のために場外闘争を繰り広げたが、野党は党利党略のために場外闘争を行っている」ということだ。詭弁も甚だしい。

 朴槿恵大統領は、選民意識と使命感が強い人だ。彼女の二分法的なフレームは、自分自身と他の政治家を比較して政治的利益を得ようとする“策略”ではなく、個人的な経験と判断に基づく“信念”だ。だからこそ、もっと危険だ。

 大統領の分裂的思考は、必然的に「政治の失踪」をもたらす。国会と野党を対話の相手ではなく、制圧しなければなら敵と捉えるからだ。政治の失踪は、国政の危機、国家の災難につながる。ユン・ヨジュン元環境部長官が昨年出版した本の中で、このように予測していた。

 「朴槿恵政権の根本的な問題は、朴槿恵大統領の国家主義的、権威主義的リーダーシップにある。朴槿恵大統領の失敗が大韓民国の失敗になってはならない。国の失敗になる可能性があるため、これを止めなければならない。朴槿恵大統領が一日も早く民主的リーダーシップに変わらなければならない」

 その後、セウォル号の惨事があり、マーズ(MERS)事態が起こった。それでも朴槿恵大統領は変わらなかった。これからまたどんな危機が迫ってくるだろうか。

ソン・ハンヨン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-07-19 19:40

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/700882.html  訳H.J

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