本文に移動

[インタビュー] 朴槿恵現象は旧保守勢力の合法的クーデター

登録:2015-07-15 23:52 修正:2015-07-16 09:24
キム・ドンチュン聖公会大教授
キム・ドンチュン聖公会大教授 //ハンギョレ新聞社

-大韓民国の歴史で朴槿恵(パク・クネ)政権の登場が意味を持つのは、朴槿恵こそが朴正煕神話を自ら崩壊させたこと、それが唯一の歴史的寄与になるのではないかという話がありますが、本当にそうなるのでしょうか?

 「今後を見守る必要はあるが、そうなるのではないか…。特に慶尚道の人々についてですが、私がコラムに書こうとする中に『構造盲』という言葉があるのですが、この世の中を構造で見ず、人物で見ようとする韓国社会の後進的政治意識、政治文化を意味します。 60代以上の人々は多くが構造盲ですが、李明博(イ・ミョンバク)と朴槿恵がそれぞれ異なる党の所属だと勘違いしている人々、政治的因果関係を見ることができない人々、大統領の権限は相変らず強大だと見る人々が問題でしょう。 朴槿恵は政権再創出に全てを賭けた保守支配勢力に乗せられていると見ています。

 結局、朴槿恵現象というのは10年の民主政府時期に剥奪感を感じた旧保守勢力の反乱ですが、私に言わせれば徐々に進行するクーデター、合法的な枠組みを持ったクーデターと言えます。 これが過去の旧保守と異なる点は、10年の民主勢力執権時の剥奪感のために、それだけアップグレードする過程で自分たちの代表として李明博と朴槿恵を座らせたという点でしょう。 私たちはそのことをよく見なければなりません。

 私は朴槿恵に焦点を合わせることは世の中を正しく見えなくさせる、すなわち問題の焦点を曇らせることだと考えます。 朴槿恵現象は退行的現象です。 李明博、朴槿恵が合理的保守として進化できず、再び反共保守を抱きしめたということが韓国の歴史の大きな悲劇だと考えます。その脆弱性が、グラムシの表現を借りればヘゲモニーの不在ですが、二人はお金もあって、財閥側もみな彼らの側で、韓国社会の知識人や言論人もそちら側が圧倒的に多いじゃないですか。上手くやれば進歩勢力を完全に孤立させることだってできますね。いわゆる少数の進歩勢力を完全に孤立させ、上手くやれば全体的に保守がヘゲモニーを確実に掌握できるという話でしょう。 本当に人々が心から沸き出るように保守を支持できるようにすれば良いのに、こういう粗悪な市場論理、このような形の無茶苦茶な市場論理ではなく、極めて合理的な市場論に立って公正な法治を確立し、公安機関が好き勝手に横行しないようにしながらも、いくらでも報道機関まで飼い慣らすことができる筈でしょう。 ところが、そのようにする能力がないのです」

-無期停学の後、復学はいつでしたか?

 「1年間でした。以前ハンギョレにいたチン・ジェハク氏、彼は私と同じ境遇でしたが、警察署に2回逮捕されれば除名だったのですが、私は1回連行されたので無期停学を受けました。同じ事件なのに…。 除名された人々は朴正煕は死ぬまで復学できませんでした」

-1年間の無期停学は、学校や当局としては少し苦労してみろ、言ってみれば身を引きなさいということでしたが、むしろその時が本格的に運動圏の学生を作った養成期でしたね。

 「そうなりましたね。東学農民革命以後120年続いた植民地、分断、西欧追従の近代化と物量主義の成長パラダイム自体を根本的に再考する時間になったと思います。 今がまさにそのような時だという気がします。 120年前の状況と今はとてもよく似ています」

 キム・ドンチュン聖公会大教授がこれほどざっくばらんに(?)自身の思いにまつわる話を打ち明けたことが今まであったかはよく分からない。 今年初め、ハンギョレ新聞社は本格的な書評雑誌の発刊を準備して、創刊号の特集の一つとしてキム・ドンチュン教授とのインタビューを推進した。 今年が光復(解放)70年(事実上、分断70年)であることに加え、韓日協定締結50年になる節目の年なので、韓国社会変革のための正しい進路摸索と変革主体の形成に格別な関心を傾けてきた社会科学研究第3世代の先頭走者である彼に会って、韓国社会の過去、現在、未来に対する考えを聞いてみようとした。

 インタビューは2月6日にハンギョレ新聞社本社で、2月12日に聖公会大学のキム教授の研究室でそれぞれ一回ずつ行われ、正式なインタビューではないが、その他に一度別に会って内容を補充しもした。 その内容の一部が「私たちの経験で世界を説明する一般理論を作らなければならないですね」というタイトルで4月16日(17日一部修正)ハンギョレの「現在執筆中」の連載(第5回)紙面に紹介された。

 当時、キム教授は「解放70年の大韓民国はどんな国なのか」(仮題)という本を書いていたが、その話からインタビューを始めたが話はその枠を軽く越えてかなり遠くまで行った。

 ところが、その二回のインタビューをきちんと整理する余裕を持てない中で、不本意な事情で書評紙作業は3月にひとまず中断された。 したがってインタビューも死蔵される状況に置かれた。幸いなことにその一部を追加取材で補完して「現在執筆中」に載せたが、多くの内容を伏せておかなければならないことに対する物足りない思いが強かった。

 その後、時間がやや過ぎたが、今回デジタルニュースチームと協議して内容全体を紹介できるようになったことは、不幸中の幸いだ。時間が過ぎてもインタビューした当時の問題意識と内容自体の時宜性は落ちていないと考える。 二度のインタビューのうち、後から行った2月12日のインタビューから先に掲載する。 内容はほとんど修正も加工もしない“生”のものなので、荒っぽい感じを与えるかも知れないが、むしろそれゆえに一層迫ってくる部分もあるだろう。 2月6日のインタビューも続けてまもなく公開する予定だ。(訳注:本文は2万文字程度の長文です)

ハン・スンドン先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/700323.html 韓国語原文入力:2015-07-15 15:18
訳J.S(2556字)

関連記事