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[ニュース分析] 与党に再び朴槿恵色は強まったが…止まらぬ民心離反

登録:2015-07-09 01:33 修正:2015-07-09 08:55
朴大統領「傷だらけの勝利」
朴槿恵大統領が8日昼、大統領府で開かれた全国市長、郡守、区庁長との昼食会で、地方自治20周年動画を見ている=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は8日、国政運営の「障害」に名指ししたセヌリ党のユ・スンミン院内代表を追い出したことで、自分の政治的威力と党内掌握力を改めて誇示した。しかし、朴大統領は13日間も続いた「ユ・スンミン政局」で帝王的で非民主的な認識と行動を露わにしたことで、長期的に党内はもちろん中道層の離反につながるとの予想も出ている。表向きには勝ったかもしれないが、内では相当の傷を負うことになり、後遺症も残るということだ。来月任期の折り返し地点を通過する朴大統領が、レイムダックを防ぐためにどのような選択をするのかも注目される。

 朴大統領は、国会法に続く「ユ・スンミン政局」を通じて、中東呼吸器症候群(MERS)に対する杜撰な対応と無能さで守勢に立たされていた局面を一気に転換することに成功した。MERSが小康局面に入ると共に、ユ院内代表の去就問題が争点に浮上したことを受け、朴大統領特有の“切り捨て”方式で支持層の結集効果を引き出したことで、一時は20%台に落ちた支持率も30%台に回復した。朴大統領が今回の政局で勝ち取った最も大きな成果は、与党セヌリ党を“朴槿恵党”へ再び確立したことだ。 “ユ·スンミンつまみ出し”を通じて非朴槿恵系(非朴系)の反発も経験したが、今年初めのユ院内代表就任後に浮上した増税・福祉論争など、与党と大統領府との間の不協和音の素地をなくし、与党を政府の政策実現の頼れる基盤とすることに成功したのだ。この過程で、金武星(キム・ムソン)代表など非朴系党指導部の「忠誠」を確認したのも成果だ。

 与党と大統領府との不協和音の素地なくし
 「次期大統領候補の可能性の芽を摘み取る」
 コンクリート支持率30%回復 
 「多数中道層の期待は見捨てる」
 レイムダックを防ぐための不正清算政局の予想も

 与党内部では朴大統領の“ユ・スンミンつまみ出し”が次期大統領選挙もちろん、退任後まで見通した計画という分析も出ている。朴大統領の政治的基盤は、大邱(テグ)・慶尚北道地域の「無条件的な支持層」だが、ユ院内代表が「暖かい保守」を掲げ、次期大統領候補として急成長したことを受け、その可能性の芽を摘み取ってしまったという解釈だ。セヌリ党のある関係者は、「朴大統領の力は大邱・慶北から出ており、これを基盤に釜山(プサン)・慶尚南道、忠清道に拡大される」とし「ユ院内代表が自分自身に代わる有力候補として成長することを黙って見ているわけにはいかなかっただろう」と解釈した。

 しかし、「ユ・スンミン政局」が、長期的には、朴大統領への揺り戻しになるという意見もある。朴大統領の“コンクリート支持層”は、どのような場合でも30%は維持されることを重ねて確認してきたが、(今回の事態で)残りの60%台の民心の離反が加速されるという主張だ。ユン・ピョンジュン韓神大学教授(哲学)は「今回の事件は、朴大統領の度重なる失政にもかかわらず、期待を捨てなかった多数の中道層を失望させた失策だった」とし「朴大統領は任期中に民心と歴史に足跡を残して父の夢を完成させたいと思っているだろうが、思うようにはいかないだろう」と否定的な見通しを示した。

 結局これに伴うレイムダックを防ぐために、高強度の不正腐敗清算の局面を主導するという予想も出ている。最近、新政治民主連合の議員たちが検察の捜査線上で見え隠れするのも、そのための事前整地作業という分析だ。キム・ヒョンウン法務部長官候補者も7日、人事聴聞会で、「正しい社会のために不正腐敗の清算が重要だ」という立場を明らかにした。トゥムン政治戦略研究所のイ・チョルヒ所長は「与党を“忠誠”で繋ぎとめて、もう片方には“不正腐敗清算”というナイフで圧迫することで、総選挙と大統領選挙、退任後にまで影響力を行使するだろう」とし「来年の総選挙で野党が勝利を収めなければ、朴大統領の影響力はさらに強大になるだろう」と述べた。

チェ・ヒェジョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-07-08 21:34

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/699519.html  訳H.J

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