国家情報院がコンピュータとスマートフォンをハッキングして、リアルタイムで盗聴できるプログラムを、大統領選挙が行われた2012年に購入した疑惑が持ち上がっている。国家情報院がハッキングプログラムを購入したのか、明確な事実関係と購入目的や用途をめぐる“違法査察”の問題が再燃するものと見られる。
10日、イタリアのミラノにあるセキュリティ会社「ハッキングチーム」で流出した資料をハンギョレが分析した結果、「大韓民国陸軍5163部隊」が2012年から今年まで、同社に6回にわたって計70万1400ユーロ(約8億8000万ウォン)を支給したことが分かった。領収書には、「ソウル瑞草(ソチョ)私書箱200」という国家情報院の苦情受付の住所が書かれている。
世界各国の政府にスパイウェアを販売してきたイタリアのソフトウェア企業のハッキングチームは9日(現地時間)、公式声明を発表し「今月6日、ハッカーの集中攻撃を受けて顧客リストなどの資料が公開されており、ハッキング攻撃の結果で、これまで管理してきた自社のスパイウェアプログラムに対する制御を失って、深刻な脅威にさらされている」ことを明らかにしたと、イタリアのメディアが報じた。
ハッキングチームから流出した文書の顧客リストには、韓国の「5163部隊」も含まれていたが、5163部隊は、国家情報院が対外的に使用する偽名の一つであり、国家情報院がこの会社のハッキングプログラムを購入したと推定されるのもそのためだ。通信会社によると、5163部隊が購入した「RCS(リモートコントロールシステム)」と呼ばれるハッキングプログラムは、これまでのセキュリティが徹底さで知られるGoogleのGメールはもちろん、マイクロソフトのスカイプと各種のソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS )など、技術的な問題で監視が難しいインターネットの活動までも簡単に覗けることで知られている。また、GoogleのAndroid、アップルのiOSなど、様々なオペレーティング・システムもすべてハッキングできるという。ハッキングの範囲も、コンピュータのキーボードの入力内容とウェブカメラ、ファイルなどの使用状況を追跡でき、遠隔操作でファイルの削除もできると言われている。
ハッキングされた資料によると、5163部隊は国内のN社を通じて2012年2月、当時39万ユーロ(4億9000万ウォン)でイタリアの会社から初めてプログラムを購入して以来、今年まで5回にわたってメンテナンス、アップグレードなどの名目で31万1400ユーロ(3億9000万ウォン)を追加支給した。ハッキングプログラムを購入し、実際活用していることを裏付けるものだが、ハッキングプログラムの購入を代行したN社の実体は確認されていない。
キム・ソンス新政治民主連合の報道官は論評を出し、「(プログラムを購入した)2012年は大統領選挙があった年という点で、選挙に利用した可能性を疑わざるを得ない」とし「国家情報院は、すぐにこのプログラムを購入したかどうかと使い道などを詳しく説明しなければならず、十分な釈明がない場合は、国会レベルで真相究明に乗り出す用意がある」と明らかにした。
これに対し国家情報院は、盗聴プログラムの購入について立場を明らかにしなかった。国家情報院は「5163部隊という名称は、今は使っていない、他の内容についてはノーコメントだ」と述べた。
韓国語原文入力:2015-07-10 20:35