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国家情報院の大統領選介入事件、捜査検事たちは依然“流刑中”

登録:2015-02-27 00:13 修正:2015-02-27 06:35
元世勲元院長の「選挙法違反」有罪判決で名誉回復はなされたが
国家情報院コメント事件捜査のユン・ソギョル元チーム長が、ソウル高等検察庁で開かれたソウル高検・ソウル地検に対する2013年度国政監査で、議員の質問に答えた後、ソウル中央地検のチョ・ヨンゴン地検長(前列右から二人目)の後ろを歩いている。 シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 ユン・ソギョル チーム長、パク・ヒョンチョル副チーム長
 人事上の不利益はそのまま
 検察“復権意見”出したが、大統領府・法務部受け入れず

 先週発表された検察人事によって25日、1099名の検事たちの異動が行われる。 全国の検事 (2032名)のうち半数以上にあたる歴代最大規模の人事異動だが、2013年に国家情報院の大統領選介入事件の捜査チームを率いたユン・ソギョル大邱(テグ)高検検事(当時の特別捜査チーム長)とパク・ヒョンチョル大田(テジョン)高検検事(当時の副チーム長)の名は、リストにない。今月9日、ソウル高裁の抗訴審で、元世勳(ウォン・セフン)元国家情報院長が公職選挙法と国家情報院法違反の容疑全てに有罪が認められ法廷拘束され、捜査と起訴の正当性は確認されたが政権の“逆鱗”に触れた検事たちは、組織内で依然として冷や飯扱いを受けている。

 国家情報院の捜査が終わった後の昨年1月の定期人事で、彼らは“流刑”に近い左遷人事に遭った。 最高検察庁中央捜査部研究官の時、現代車グループの秘密資金事件を捜査し、中央捜査部第2課長・中央捜査部第1課長・ソウル中央地検特捜1部長を歴任したユン チーム長は“猪突的な特捜通”として有名だ。 1991年31歳で遅れて司法試験に合格した彼は、検事職を退職してしばらローファームの弁護士として活動していて、「検察庁取調室の廊下でたまたまジャージャー麺の匂いを嗅ぎ、自分がいるべきところはここだと思った」と言って検事に復帰したというエピソードの持ち主でもある。

  ユンチーム長が特捜通の中の先頭走者だったとすれば、パク副チーム長は公安ラインで着実に成長した検事だ。 最高検察庁公安2課長・ソウル中央地検公共刑事捜査部長を経た彼は、公職選挙法の法理に精通した専門家と呼ばれてきた。

 特捜と公安で頭角を現した二人は、順調な人事コースをそのまま歩んていたとすれば、最高検察庁企画官や規模の大きな支庁の支庁長または地方検察庁の次長検事として勤務していた可能性が高い。 しかし、国家情報院の大統領選介入捜査を首尾よくやり遂げたという“罪ならぬ罪”のために捜査の第一線から排除され、閑職に分類される高検に異動せざるを得なかった。

 国家情報院特別捜査チームは捜査過程でも、内部・外部から絶え間ない圧迫とけん制を受けた。当時の南在俊(ナム・ジェジュン)国家情報院長は、コメント活動をした心理戦団の職員名簿さえ教えられないと言い張り、特別捜査チームは数千万件に上る通話の内訳を照会して相互の関係を分析した挙句に、国家情報院心理戦団安保第5チームの職員ほぼ全員(20人)を見つけ出した。 外部からの妨害は“地面にヘッディング”するようにして突破したが、さらに大きな難関は内部にあった。

 “公安通”出身のファン・ギョアン法務部長官は、元世勳元国家情報院長とキム・ヨンパン元ソウル警察庁長を公職選挙法違反容疑で拘束起訴するという捜査チームの計画を“不許”とした。 捜査チームは「選挙法違反で起訴しないなら、裁定申請で裁判所を通して起訴するつもりだ」として説得を図ったが、ファン長官は頑として聞き入れなかった。 結局、公訴時効満了を5日後に控えた6月14日、妥協案が出た。 元世勳元国家情報院長とキム元ソウル警察庁長に対し公職選挙法は適用するが、在宅起訴とすることで折衷案を出した。

元世勲元国家情報院長が2月9日午後、ソウル高等裁判所で開かれた「国家情報院の政治介入・大統領選介入事件」の控訴審宣告公判に出席するため、法廷に入っている。元世勲元院長は、控訴審で懲役3年を言い渡され、直ちに法廷拘束された。 イ・ジョンア記者//ハンギョレ新聞社

 釈然としない背景の中で蔡東旭(チェ・ドンウク)元検察総長が婚外子関連疑惑で辞任すると、検察内部の圧力が本格化した。当時のチョ・ヨンゴン ソウル中央地検長は、国家情報院職員の逮捕の承認を受けに家まで訪ねて来たユン チーム長とパク副チーム長に対し「野党を助けてやる必要がどこにある」と言って不許可の立場を明らかにした。ユン チーム長は懲戒を覚悟して翌日、4人の国家情報院職員に対する押収捜索および逮捕令状を請求した。 逮捕直前になってこの報告を受けた検察指揮部は大騒ぎになった。

 当時ユン チーム長は、国家情報院職員の逮捕の時点から「私は直に捜査から排除されるだろう。 君たちが中心になって徹底した捜査をしなければならない。 今後は絶対にミスがあってはならない」と部下たちに言っていたという。 懲戒と人事上の不利益は避けられないと考えていたからだ。 実際、逮捕した国家情報院職員らからコメント活動についての自白を引き出した日の夕方、ユン チーム長は職務排除命令書を受け取った。

 “流刑生活’”1年を越えた今月9日、捜査チームは朗報を伝え聞いた。 ソウル高裁が、特別捜査チームが追加提出した証拠を根拠に「能動的かつ計画的な選挙運動」であることを認め、元世勲元院長に懲役3年を言い渡して法廷拘束したのだ。 裁判部は、捜査チームが大変な苦労をして国家情報院職員らの電子メールアカウントを押収捜索し見つけ出したツイッターの書き込み27万4800件を、証拠として認めた。

 最高裁の最終判断が残ってはいるものの、捜査チームが構成されてから663日目にして名誉回復がなされたのだ。 捜査チームがファン法務部長官の意に沿って選挙法の適用を放棄していたとすれば、国家情報院の大統領選介入という“国基紊乱”の実体は、法廷の判断さえ受けられなくなるところだった。 また、チョ元地検長の指示通りに国家情報院職員たちを逮捕しなかったとすれば、彼らの自白も取れなかったはずだ。

 今回の人事を控えて検察の一角では、ユン元チーム長等に対する“復権”意見が出されたが、大統領府と法務部が受け入れなかったという。 ある検事は「(ユン元チーム長らを)政権の正統性問題に触れた検事たちと見ている筈なのに、この政権が果たして復権を受け入れると思いますか」と話した。

チョン・ファンボン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/679600.html 韓国語原文入力:2015/02/25 12:04
訳A.K(2866字)

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