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国家情報院が裁判官任用時に面接…事実上の思想検閲

登録:2015-05-27 08:36 修正:2015-05-27 12:25
 2013~2014年に身元調査を名分に
 法曹経歴ある裁判官志願者を個別に接触
 セウォル号・労使関係など見解求める
 国家情報院「大法院依頼で調査、問題ない」
 三権分立の原則背反が問題となる見込み
国家情報院 //ハンギョレ新聞社

 2013~2014年の法曹経歴がある裁判官の任用過程で、国家情報院が事実上思想検閲に近い対面面接を実施した事実が26日明らかになった。高度な独立性が要求される裁判官の任用過程に、国家情報院が介入していたことは三権分立の原則に背くことになり、今後の議論が予想される。

 国家情報院は2013年と2014年に裁判所の法曹経歴がある裁判官の志願者を秘密裏に会い、社会懸案に関する様々な質問をしていたと伝えられた。国家情報院は同志願者を事前に接触し、労使関係に対する意見や国家観などを尋ねたことが分かった。この日、SBS放送は「国家情報院は、特に昨年はセウォル号事故に対する意見まで尋ねるなど、事実上思想検証に近い面接を行った」と報じた。

 国家情報院はこうした面接を行っていたのは適法だとする立場だ。この日、国家情報院関係者はハンギョレとの電話通話で「大法院(最高裁)の依頼を受け身元調査など保安業務を遂行したのであり、保安業務規定にともなう正当な活動」と答えた。大法院も国家情報院の説明と同趣旨の内容を答えた。この日、大法院関係者は「極端な思想的偏向性を持つ人物を除外するための趣旨で身元調査を進行しており、法的には何の問題もない」と釈明した。

 国家情報院が同裁判官支援者に対する身元調査の根拠にした規定は、国家情報院法の下位法令である「保安業務規定」だった。規定によると、国家情報院長は国家保安のため国家に対する忠誠心・誠実さ、および信頼性を調査できるよう定めている。身元調査対象者は中央行政機関の3級以上公務員、判事・検査新規任用予定者、国・公立大学長および学部長などだ。同裁判官任用にも規定が適用される。

 しかし、こうした釈明がされても問題は治まらないものと見られる。まず2013年と2014年は、国家情報院による大統領選挙介入事件に対する捜査と裁判が進行していた時期と重なる。裁判と捜査に対する非協力を超えて影響力まで及ぼそうとしたという憂慮が提起される。

 多くの法曹人は、2013年以前の身元調査は事実上、形式行為に過ぎなかったと証言する。2011年に法曹経歴がある裁判官として志願したある弁護士は「裁判所行政処から書類提出要求がされる場合はあったが、国家情報院が面接をするという話は聞いたことがない」と話す。軍法務官出身で2010年に任用されたある検事は「法務官の先輩から、我々は軍人身分であるので、軍機務司令部が予め身元調査をすることがあるとは聞いていたが、直接面接をしたり調査することはなかった」と指摘し、「後から聞いた話では周辺同僚に評判を訪ねていた程度だった」と語った。彼らは国家情報院要員が直接志願者を訪ねて面接を進めたことはないと口をそろえる。

 これに対し法曹界内外では、国家情報院が裁判官採用の前面に出るのは三権分立を脅かす危険な行動だと指摘されている。この日、ある高位法曹界要人は「国家の主要な業務を遂行する以上、必要最小限の身元照会は必要だが、セウォル号に対する見解を尋ねるなど、事実上の思想検証に出たのは誰が見ても不適切」と述べた。これに先立ち国家人権委員会は2005年、良心の自由侵害という指摘により、国家情報院の身元調査から思想検証の項目を除けと勧告したことがある。

ノ・ヒョンウン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-05-26 23:31

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/693003.html?_fr=st1 訳Y.B

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