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THAAD、中国発ミサイル3000キロ以上探知…中国に脅威

登録:2015-06-01 10:57 修正:2015-06-01 17:59
米MD専門家、朝鮮半島配備THAADの分析を初めて公開
朝鮮半島に配備されるTHAADレーダーの中国ICBM探知概念図。MIT大シオドア・ポストル教授、コーネル大ジョージ・ルイス主任研究員提供の資料から//ハンギョレ新聞社

 米国の迎撃システム、高高度防衛ミサイル(THAAD)のレーダーが朝鮮半島に配備される場合、中国から米本土を目標に発射される大陸間弾道ミサイル(ICBM)を3000キロ以上の距離まで探知・追跡できると分析された。こうして収集される情報は米国のアラスカ空軍基地にある早期警報レーダー網にリアルタイムで転送され、米国はこれをベースに迎撃ミサイルを早期に発射できることになる。

 これはTHAADが韓米の国防省が強調する北朝鮮ミサイルに対する防御目的を超え、中国を牽制するための米ミサイル防衛(MD)システムに積極的に活用されることを意味する。中国はこれを重大な安保脅威と受け止めているため、THAAD配備が米中の新たな葛藤要因に浮上し、韓国は両国間に挟まり外交・安保・経済面で大きな困難に直面することになると予想される。

 米マサチューセッツ工科大(MIT)のシオドア・ポストル教授(科学・技術・国家安保政策)とコーネル大のジョージ・ルイス平和・葛藤研究所主任研究員は31日、共同による分析結果をハンギョレに初めて公開した。二人の学者はミサイル防衛システムを数十年間研究してきた、同分野で最高の専門家として知られる。THAADレーダーの性能を巡っては多くの議論がなされたが、専門家らがTHAADの朝鮮半島配備が及ぼす具体的な影響を技術的に分析して公開したのは今回が初めてだ。今後のTHAAD論争で示唆する点を多く投げかけるものと見られる。

遠距離探知レーダー技術含む
米本土へのミサイル攻撃を想定
MD体系の一部に転換可能
米中の間で韓国が標的になることも
中国副総参謀長「THAAD配備憂慮」

 二人の学者は、THAAD部隊には米国の最先端軍事技術が適用され、遠距離探知が可能なレーダー(AN/TPY-2)が含まれている点が問題だと指摘した。朝鮮半島に配備されれば、米国本土防衛のためのミサイル防衛システムの付属物になるということだ。

 分析結果、レーダーが朝鮮半島に配備される場合、米西海岸と東海岸に向かう中国弾道ミサイルの上段推進体を探知することが比較的容易な側面と後面から、十分な時間をかけて探知できると推定された。ミサイルが朝鮮半島北側上空を通過する間、3000~4000キロの距離まで探知できると分析された。同レーダーは中国の弾道ミサイルの弾頭を追跡するのは難しいが、上段推進体が弾頭と分離する時の動きを捕らえることができる。これは米国のアラスカ空軍基地にある早期警報レーダーが、今よりさらに遠距離で弾頭を追跡できる情報として活用することができる。ポストル教授は「特に米西海岸に向かう中国弾道ミサイル情報は米国に非常に有用なデータになる」述べ、「「データは米国がアラスカで弾道ミサイルを迎撃するミサイルを早期に発射することを可能にするだろう」と指摘した。

 米国が終末モード(探知距離600~900キロ)と転進モード(1800~2000キロ)の2種類のうち、終末モード・レーダーを配備すれば中国に影響を及ぼさないとする一部の主張に対し、ポストル教授は「このレーダーの性能を知らないがためのナンセンス」と一蹴した。ポストル教授は「このレーダーは基本的に2種類のモードの機能をすべて遂行でき、モード転換も難しくない」と述べた。米国軍需業界では同レーダーの最大探知可能距離は4500キロを超えると知られているが、実際の探知距離はレーダー電磁波を目標物に発射した後に反射する信号の程度によって大きく変わる。

 二人の学者は、ミサイル防衛システムには本当の弾頭と偽弾頭(欺瞞弾)を識別できない根本的限界があり、防衛システムには適していないと明らかにした。しかしポストル教授は「米国に対する核攻撃まで考慮しなければならない危機状況になれば、中国の軍事戦略家は韓国に配備されたTHAADレーダーを潜在的に重大な脅威として認識する」と述べ、「中国が米国攻撃の一環としてこのレーダーを攻撃できるという点を、韓国政府と国民は認識する必要がある」と指摘した。孫建国・中国人民解放軍副総参謀長は31日、シンガポールでのアジア安保対話(シャングリラ対話)でハン・ミング国防長官に会い、在韓米軍のTHAAD配備への憂慮を示した。

ワシントン/パク・ヒョン特派員、シンガポール/パク・ビョンス先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-06-01 08:11

https://www.hani.co.kr/arti/international/international_general/693670.html?_fr=mt1 訳Y.B

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