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THAAD朝鮮半島永久配備が議論されても…韓国政府は無策傍観

登録:2015-05-20 23:39 修正:2016-02-23 07:21
 米高官が連日圧迫強度を引き上げ
 韓国政府「要請あれば決定」反復
 戦略的曖昧性が混乱を拡大
 明確に反対を表明すべき
フランク・ローズ米国務省軍縮・検証・履行担当次官補 //ハンギョレ新聞社

 米国の高位級要人が再び、弾道ミサイル迎撃システムの高高度防衛ミサイル(THAAD)の朝鮮半島配備問題に言及した。ジョン・ケリー米国務長官による18日のTHAAD発言に続き、国務部次官補と合同参謀次長が「THAADの朝鮮半島永久配備」まで主張するなど、ますます圧迫強度を高めている。 米国が北朝鮮の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)射出試験を契機に、THAAD配備圧迫に本格的に乗り出すのではないかという分析が出ている。

 それにもかかわらず韓国政府は「米国から要請が来れば、その時に検討して決める」という既存の立場だけを反復しており、事実上手をこまねいている。 政府が内部的にTHAADの受け入れ側に方向を定めていても、国内外の世論を意識していわゆる“戦略的曖昧性”の陰に隠れているのではないかと指摘される。

 フランク・ローズ国務省軍縮・検証・履行担当次官補は19日(現地時間)、米国議会で開かれた韓米研究所(ICAS)主催の討論会で「我々が朝鮮半島にTHAAD砲隊の永久配備を考慮してはいるが、最終決定はしておらず、韓国政府と公式協議もしていない」と明らかにした。ローズ次官補のこの日の発言は、米政権がTHAADの朝鮮半島配備問題と関連し、これまでの慎重な歩みから抜け出し積極的にこれを公論化しようとする動きと解釈される。米国国防省と国務省の高官らは、これまで記者たちが質問をした場合にのみ簡単に答える態度だったが、この日のローズ次官補は基調演説で自らこのような態度を表明した。

ジェームズ・ウィニフェルド米合同参謀次長 //ハンギョレ新聞社

米合同参謀次長「条件が成熟すれば韓国と対話する」

 ジェームズ・ウィニフェルド米合同参謀次長もこの日、ワシントン戦略国際問題研究所(CSIS)で開かれたセミナー「ミサイル防御と米国国家安保」で、「韓国政府とこの問題に関してまだ公式にはいかなる対話も始めていない」としつつも、「条件が熟せば対話をすることになるだろう」と明らかにした。 これらの当局者は北朝鮮が最近潜水艦発射弾道ミサイル試験をしたことを取り上げ、まだ技術は初期段階だが今後大きな脅威になりうるという点を強調した。

 米国のこのような積極的攻勢に対する韓国政府の対応は相変らず守勢一辺倒だ。ミン・ギョンウク大統領府報道官は20日、「米国から要請があれば軍事的効用性と国家安保上の利益を総合的に考慮して主導的に判断し決める」と述べた。ミン報道官は来月の朴槿恵(パク・クネ)大統領の訪米時にこの問題を議論するのか尋ねる質問にも「THAADに関してはこのような返事だけをしている」と回答を避けた。 大統領府は米国高位級要人の相次ぐTHAAD発言が注目され議論が広がっている状況に対して、困惑している雰囲気だと大統領府関係者は伝えた。

 しかし、韓国政府と大統領府の曖昧な態度がかえって混乱を拡大しているという指摘が多い。 THAAD問題が政府の無策傍観の中で政治争点化して、THAADの軍事技術的効用性や北東アジア安保秩序に及ぼす影響などに対する合理的議論ではなく政治・理念的賛否論争ばかりが浮上しているということだ。

 政府が内部的には事実上THAAD配備を容認する側に方向を定めていながら、戦略的曖昧性を維持したまま世論の去就を伺っているのではないかという疑問も提起されている。 過去の政府で安保分野を担当したある要人は、「政府が国会答弁等を通して『米国から要請があればTHAAD配備に反対するという立場を伝達する』とはっきり言えば、米国が“圧迫ゲーム”をする余地がなくなる」として「そうしないのは政策決定者がTHAAD配備を肯定的に見ているためではないか」と指摘した。

 実際、韓国国防部は在韓米軍のTHAAD配備が「安保に役立つだろう」という立場を明らかにしたことがある。 キム・クァンジン大統領府国家安保室長は昨年6月、国防部長官だった時に国会で「在韓米軍が(THAADを)戦力化することは問題ない」と述べ、ハン・ミンク現長官も同年10月に国会で「THAADを配備すれば韓国の安保に役立つだろう」と述べた。 このようにTHAADを南北間軍事的対決次元の効用性だけで見る視角が政府の中で大勢を占めていながらも、一方で中国の公開的な反対と国内論議が負担になって適当な時期を選んでいるのではないかという観測が提起されている。

 しかし生半可なTHAAD配備の決定は、中国の反発を招き国益に役立たないという指摘も出ている。 前職安保当局者は「THAAD導入問題を南北間の軍事的問題ではなく、米中葛藤次元で接近しなければ不覚を取るだろう」と話した。

パク・ビョンス先任記者、ワシントン/パク・ヒョン特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/692172.html 韓国語原文入力:2015-05-20 20:17
訳J.S(2106字)

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