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煙突上の1年 “悲しい新記録”…“食い逃げ”が残した爪跡

登録:2015-05-26 23:43 修正:2015-05-27 09:23
 スターケミカルのチャ・グァンホ氏、最長の高空籠城記録
 会社を安値買収された後、集団解雇の苦しみ
 労使交渉も先月中旬以後途絶える
 “また別の食い逃げ”ハイディスの解雇者たち
 台湾へ無期限遠征闘争に発つ
 「食い逃げ企業の解雇に政府が対策を立てるべき」
慶尚北道・亀尾のスターケミカル工場煙突上の高空籠城が25日で364日目を迎える。籠城中のチャ・グァンホ氏が、先月26日に訪ねてきたコルトコルテック解雇労働者の音楽コンサートに応え手を振っている=亀尾/キム・ボンギュ記者//ハンギョレ新聞社

 チャ・グァンホ氏(45)は25日、慶尚北道亀尾(クミ)のスターケミカル工場内、高さ45メートルの煙突上で364日目の夜を過ごした。 この会社の解雇者であるチャ氏は、毎日、長期高空籠城の記録を更新している。 27日は“高空籠城1周年”になる日だ。チャ氏はもちろん、2013年2月に一緒に解雇され現在も復職闘争を続けている同僚10人も、そして会社側も、その誰もが望んでいない記録だ。

 チャ氏はハンギョレとの通話で「籠城のあいだ規則的な生活をしようとはしたけれども、体の節々が正常でなく気力も大幅に落ちている。それでも耐えて勝ち抜こうと思う」、「会社が不法と不正を動員して力で弾圧してきた結果起きた闘いだから、高空籠城の時間と関係なく私たちが勝たなければならない」として、退かない覚悟を明らかにした。

 チャ氏らは解雇以後一貫して会社側の“食い逃げ”疑惑を提起して来た。親会社であるスターフレックスは2010年、雇用承継を約束してポリエステル原糸を作るスターケミカルを399億ウォンで買収した。 その後会社は碌な営業活動もせずに設備と工場敷地の分離売却を推進して来た。 会社はスターケミカルを600億ウォン内外で売却すれば利益を得るだろうが、その過程で労働者は働き口を失った。

 会社側と辛うじて続けて来た交渉も、先月中旬から途絶えてしまった。 会社側が別の法人を立てて雇用承継をすると提案したのに対し、解雇者たちが「その会社も早晩なくなるだろう」として拒否してからだ。

 チャ氏がいつ終わるとも知れない高空籠城を続けていた同日午前11時、仁川(インチョン)空港ではハイディスの解雇者など11人が台湾行きの飛行機に乗った。彼らもいつ帰国できるか分からない“無期限”遠征闘争だった。 LCDパネル製造会社のハイディスは先月1日、265人を希望退職させ79人を整理解雇した。 その衝撃で解雇者ぺ・ジェヒョン氏が11日に命を絶ち、解雇者たちは21日水原(スウォン)地裁に整理解雇無効訴訟を提起した。 ハイディスは2008年、台湾の永豊グループが雇用承継を約束して買収した後、去年何と840億ウォンの当期純益を上げた。 にもかかわらず会社は廃業と整理解雇を強行し、食い逃げではないかと問題になった。 全国金属労組ハイディス支部のイ・サンモク支部長は 「工場閉鎖および整理解雇の撤回、遺族に対する対策の要求が受け入れられるまでは帰って来ない」と言った。

 上海自動車による食い逃げ論議の中で2009年に整理解雇を断行した双龍(サンヨン)自動車の解雇者復職交渉も、12回を越したがこれといった進展はない。

 専門家は、雇用承継を約束して企業買収した後になされる無分別な解雇と食い逃げを防ぐためには、政府の積極的な介入が必要だと見ている。 ノ・グァンピョ韓国労働社会研究所長は「企業の集団解雇が要件を満たしているかどうか、政府が勤労監督を通じて積極的に判断する一方、大量解雇の場合は雇用労働部長官が緊急調整できるなどの安全装置が必要だ」と指摘した。

チョン・ジョンフィ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/692758.html 韓国語原文入力:2015-05-25 21:31
訳A.K(1667字)

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