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北朝鮮の開城工業団地賃金引き上げ要求、3月分を支払った韓国企業49社に

登録:2015-05-08 21:59 修正:2015-05-09 06:19
 韓国政府、企業らの「賃金関連二重帳簿」の調査に着手
 「納付経緯など調べ指針違反した場合は措置」
開城工業団地で作業している北朝鮮労働者たち //ハンギョレ新聞社

 北朝鮮側に3月分の賃金を支払った開城工業団地入居企業が31社から49社に増えた。政府は、企業が二重帳簿を作成し、賃金を納付するなど、政府指針に違反した可能性があるとして調査に着手した。

 統一部当局者は8日、記者たちと会って、「開城工業団地入居企業の3月分の賃金の支払い状況を把握した結果、4月20日時点で確認された18社に加えて31社の企業が北に賃金を納付したことが分かった」とし「納付経緯などを正確に調べ、意図的に政府指針を破った場合、それに見合う措置を取る」と明らかにした。

 開城工業団地入居企業が北朝鮮側に賃金を納付すること自体は問題がないが、二重帳簿などを作って事実上北朝鮮側の賃上げ要求に応じた場合、政府指針に違反する。

 これまで北朝鮮側は、自分たちの要求通りに引き上げられた賃金を受け取るために、二重帳簿の作成などを求め、延滞料の賦課やサボタージュなどなどで脅威を加えながら、韓国企業を圧迫してきた。これに対し、政府は、一部の企業が納期に間に合わないなどの状況を懸念し、北朝鮮の要求を受け入れる可能性があると推定している。

 今回把握された企業の中に、北朝鮮が要求する担保書を書いた企業はないことが分かった。政府のある関係者は、「北朝鮮の税務署に提出したサンプルを入手して調べた結果、総額は同じだが内容が異なる。北朝鮮側は自分の最低賃金台帳に74ドルと記載しているのに、私たち(韓国側法人長)は、基本賃金(最低賃金)を70.35ドルと記載した」とし「北朝鮮が担保もなく、受け付けたはずがない。自分の基準で計算して受け取ったのではないかと、状況的に推定したもの」だと説明した。北朝鮮側は入居企業たちが賃金を支払う時、「北朝鮮側の賃上げ基準との差額は後日精算する」という内容の担保書に署名することを要求し、先に特定された18社のうち5社は、ここに署名したと伝えられた。この政府関係者は、「このような署名自体が北朝鮮側の一方的な賃上げを既成事実化したもので、政府指針に違反する」と説明した。

 このような問題を解決するために、韓国側の管理委員会と北朝鮮側の中央特区開発指導総局は、先月18日まで最低賃金引き上げに関する協議を進めたが、意見差を埋められなかった。以降、同月28日までは、北朝鮮側が従来の最低賃金70.35ドルベースで賃金を支払う企業に要求する担保書の内容をめぐって協議を続けたが、合意には至らなかった。

 統一部当局者は「北朝鮮は、残業拒否などで不当に企業を圧迫する姿勢をやめて、真摯な姿勢で協議に臨むべきだ」とし「堂々と協議してから、合意した賃金を支払ったら、南北が対立することもなく、開城工団が安定的に発展していることを対外的に示すことができる」と述べた。

キム・ジフン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-05-08 20:33

https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/690435.html  訳H.J

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