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[ニュース分析]与野党の公務員年金改編案妥結で国民年金改編に拍車

登録:2015-05-03 23:03 修正:2015-05-04 07:12
「財政節減分」国民年金に投入...激しい議論避けられない
ファン・ソジョン人事革新処次長が3日午後政府ソウル庁舎で、与野党が前日合意した公務員年金改革案と関連し、緊急ブリーフィングを行っている=ニューシス

 与野党は2日、公務員年金の改編に向け歩調をそろえるとすぐ、国民年金の改編という“新たな出発”に合意した。 「国民年金所得代替率(本人の生涯月収に対する月当たり年金受給額の割合)を50%に引き上げる」という目標は、全国民の安定した老後を保証できる重要な合意だが、直ちに国民年金の寄与率(毎月出す保険金)を引き上げるかどうか、国家財政(税金)を投入するかどうかなど、与野党間の激しく議論が予想される事項が多く、合意は容易ではない見込みだ。

 政府と与野党は2007年、国民年金の名目所得代替率を2028年までに40%まで段階的に引き下げることに決めた。今回の合意は、これを再び50%に引き上げることにしたもので、50%に引き上げた場合、加入期間の月平均所得が300万ウォン(約33万2000円)である年金加入者は、当初案によると2028年以降120万ウォン(約13万2800円)を受け取ることになっていたが、今回の合意が実現されると、30万ウォンが上がった150万ウォン(約16万6000円)を受け取ることができる。所得代替率は、国民年金の加入者が40年間保険料を納付した場合、その期間の月平均所得に対する支給額の割合をいう。

 与野党、公務員年金の改編合意し
 「国民年金所得代替率50%に」
 問題は避けられない保険料の引き上げ
 政府「政界の越権行為」、与党「目標値」
 野党「1%ぐらい上げれば可能」

 問題は、所得代替率を高めるためには、国民年金保険料を引き上げるか、税金を多く納めてもらう必要がある点にある。政府・与党と野党は、加入者が追加で支払わなければなら保険料の引き上げ幅から、まったく異なる割合を提示し、今後の議論の過程における難航を予告している。政府は、所得代替率を50%まで上げるためには、現行の保険料の9%(個人4.5%、会社4.5%)から16.69%に引き上げなければならないと推算している。大統領府が与野党の合意について「越権行為」だと激昂した反応を見せた理由もそのためだ。セヌリ党も本音は同じだ。当初合意の過程でセヌリ党は50%引き上げを「目標値」にすることを求めたと伝えられた。政府がこのような数値を提示する背景には、現行の基金枯渇時点(2060年予想)を先送りしなければならないという前提がある。

 ただし、新政治民主連合は、現行の保険料1%上げるだけでも所得代替率50%引き上げが可能だと、全く相反する主張を展開している。国民大妥協機構に参加した野党推薦委員のキム・ヨンミョン中央大学社会福祉学科教授は3日、同連合の記者懇談会に参加し、「福祉部に、所得代替率50%引き上げのためには保険料率をどのぐらい引き上げなければならないか、聞いてみたら、10.01%と答えた」とし、「 1%引き上げるだけで可能だ」と強調した。同連合は2060年に資金が枯渇することを前提に、このような数値を提示している。

 つまり、政府が出した引き上げ案は2060年以降も国民年金が枯渇しないことを前提としたものであり、同連合の引き上げ案は2060年に資金が枯渇することを前提としている。国民が受け取る年金額を引き上げて、年金も枯渇しないためには、この中間水準の引き上げが必要だ。

 さらに、保険料の引き上げは国民の同意を経なければならないため、与野党が合意した9月末国会本会議処理は容易ではないという見方が出ている。ただし同連合は、これまで多数の専門家が国民年金保険料引き上げが避けられないと主張してき点、これまで特別委員会と社会的大妥協機構を通じて議論した結果などを考慮すると、9月の処理が不可能ではないと主張している。

イ・スンジュン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-05-03 19:40

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/689585.html  訳H.J

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