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韓国野党「国民年金強化」で背水の陣…与党は大統領府を説得

登録:2015-05-03 20:47 修正:2015-05-04 07:02
与野党共に驚いた電撃妥結
金武星セヌリ党代表(左)と文在寅新政治民主連合代表が2日午後、国会で公務員年金改革および国民年金強化のための両党代表合意文に署名している=キム・ソングァン記者 //ハンギョレ新聞社

 与野党が公務員年金改編方案に最終合意したことに対して3日、両党内部では「電撃的な合意だ」、「本当に合意ができて私たちも驚いている」という反応が出てきた。「ソンワンジョン・リスト」問題の波紋と4・29再補欠選挙での野党の完敗などで、公務員年金改編も当分漂流するのではないかという観測があったからだ。 財政節減効果を出せる方案ならば、これ以上引っ張らずにひとまず通過させなければならないと判断したセヌリ党と、交渉初期から国民年金など公的年金強化を掲げて与党を圧迫してきた新政治民主連合が、それぞれ実利と名分を分け合った結果と解説される。

 今回の交渉が急進展したのは1日。与野党は現行7%の寄与率(毎月の給与から支払う保険料)を9%に引き上げ、年金支給率(毎月年金として受け取る金額)は現行の1.9%から1.7%に下げる方案についてこの日両党は意見の一致を見た。 問題は野党が要求してきた公的年金強化方案だった。 新政治民主連合は国民年金の名目所得代替率を50%に引き上げる内容の公的年金改善方案を与党に提示し、「この法案を受け入れなければ公務員年金改編案も受け入れられない」と圧迫した。 同連合はまた、公務員年金改編で発生する財政節減額の20%を公的年金制度の改善に投じることも要求した。

「2%pを多く払って0.2%p少なく受け取る」方案
1日、意見一致を見て交渉急進展
セヌリ党、財政節減の実利を確保
新政治民主連合、公的年金の名分確保
国民の同意を得ることは容易でなさそうだ

 セヌリ党は野党の要求に関して大統領府および政府との調整に入った。 1日夜、ユ・スンミン院内代表室に金武星(キム・ムソン)党代表とチュ・ホヨン公務員年金改革特別委員会委員長、イ・グンミョン人事革新処長、チョ・ユンソン大統領府政務首席など党・政府・大統領府の関係者が集まり、野党要求の受け入れ可否を議論した。 この席でキム代表とユ院内代表は「公務員年金改革を実現するには野党の要求を受け入れざるをえない」として、政府と大統領府を説得した。 セヌリ党関係者は「我々が今回の交渉で最も重視したのは公務員年金の財政節減効果の部分だった」として、「実務機構が用意した案の財政節減効果が当初セヌリ党案の308兆ウォンより多い333兆ウォンなので、今回交渉を妥結させることが重要と見た」と話した。

 新政治民主連合も当初、公務員年金財政節減額の25%を公的年金に投じることを要求したが、終盤になり20%に譲歩した。公務員年金改革特別委委員である同連合のホン・ジョンハク議員は「与党が国民年金所得代替率の引き上げなど、公的年金強化に対する野党の要求を受け入れた以上、当然前向きに合意するほかはなかった」と述べた。同連合内では、補欠選での敗北以後、公務員年金問題をこれ以上引き延ばせば「足を引っ張っている」と見られる恐れがあったという。 また、今月6日で任期を終えるウ・ユングン院内代表体制で公務員年金を済ませて置く方が良いという判断もあったとみられる。

 これとは別に、セヌリ党は野党が要求した「国民年金名目所得代替率50%への引き上げ」は、実際議論してみればむしろ野党にとって負担になるという判断もしたと見られる。 国民年金の名目所得代替率を2028年までに40%まで下げるように改革したのは盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権(2007年)だった。 セヌリ党関係者は「国民年金所得代替率を高めようというのは誰もが共感するが、過去に改革を行った野党自らの論理にも合わず、(毎月納める国民年金保険料をさらに上げなければならず)国民の同意を得ることは難しいだろう」と述べた。

ファン・ジュンボム、イ・スンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/689583.html 韓国語原文入力:2015-05-03 19:36
訳J.S(1805字)

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