安倍晋三首相が、歴史認識問題について前向きな態度を見せないまま訪米日程を終えると予想される中、朴槿恵(パク・クネ)政権の外交戦略の根幹が揺らいでいる。過去の歴史と安全保障協力などで米国の日本寄り姿勢が目立つなど、韓国が孤立無援の状態に追い込まれる状況を乗り越えていくためにも、これから外交の基本構想を再設定(リセット)すべきだという声が高まっている。
安倍首相の米議会両院合同演説(29日)は、彼がこれからも歴史修正主義的な志向を貫くことで雄弁を振るったものとみられる。問題は、米国政府がこのような安倍首相の「歴史退行」に、ブレーキをかける意志があまりなさそうな点にある。バイデン副大統領は、安倍首相の議会演説直後に行われた共同通信とのインタビューで、演説は「極めて巧みで意味深いもの」だったとし「(過去の)責任が日本の側にあることを非常に明確にした」と評価した。今回の演説が、米国との太平洋戦争に対する計算された謝罪だけで、アジア諸国の侵略と日本軍慰安婦問題などの率直な謝罪が抜けた中途半端なものという批判を無視し、安倍首相の肩を持ったのだ。米議会をはじめとする政界も、演説を前後して、一部の議員らが明確な謝罪を求めたり、深い失望感を吐露したものの、「演説拒否(ボイコット)」など、実質的な行動にはつながらなかった。
米国のこのような態度は、結果的に、米国を動かして日本の歴史清算を促すという韓国の過去の外交戦略が、もはや通用しなくなったという疑念を抱かせる。専門家の間では、米国の日本寄り姿勢が明らかになった以上、韓国の対米外交基調にも変化が必要だとする指摘が出ている。ムン・ジョンイン延世大学教授は「私たち(韓国)が日本の肩を持つ米国に対して、日本と忠誠競争をする必要はない」とし「今は米国とも冷却期間を設けるべきだ。今年予定された朴槿恵大統領の米国訪問もキャンセルしなければならない」と述べた。米国にいい顔をして日本との関係で優位に立つという構想自体を、再点検しなければならない時期となったというのだ。
米国が主導する韓米日軍事協力体制についても見直しが必要であるという見方もある。三角同盟の構築を最優先課題としている米国は、これ以上日本との歴史問題を理由に参加をためらうなと、韓国に圧力をかけている状況だ。しかし、韓米日三角同盟の構築自体が地域の緊張を高め、韓国が不要な軍事競争構図に巻き込まれる結果をもたらす可能性が高いという懸念が出ている。イ・ヘジョン中央大(ソウル)教授は「韓米日の軍事的一体化は、朝鮮半島の安定を阻害する。北朝鮮の核武装の意志を強化させるだけだ」と指摘した。米国一辺倒の外交戦略から抜け出す方法を模索しなければならないという見方もある。キム・チャンノク慶北大教授は「米国と日本がだめなら、中国とロシアで韓国外交の代案を見つけられるかもしれない」と述べた。南北関係の改善を通じて域内現象の変化の主導権を握るべきだという提案も出ている。
日本との関係において、安全保障、経済、社会文化など他の懸案と歴史問題を分離して対応するという「ツートラック」戦略も、再点検する必要があるという注文も出されている。特に、日本の軍事大国化を前提とする安全保障協力は、独島(日本名・竹島)、植民地時代の経験などの過去の領土問題と切り離せないだけに、日本の明確な過去の歴史清算があるまでは、むしろ連携して取り組まなければならないという指摘だ。
韓国語原文入力:2015-04-30 19:44