寿命が尽きた原発の延長稼動の是非を決める機構である原子力安全委員会(原安委)の本社を釜山など原発が稼動中の地域に移せという声が高まっている。
釜山市は3日、「原安委の本社を釜山に移転させるための具体的方案を用意するよう釜山発展研究院に研究を委託した」と明らかにした。
釜山市は委託研究の結果が6月に出れば、政府に原安委本社の釜山移転を建議する方針だ。 釜山市が原安委本社の移転を要求するのは、現在稼動中の原発6基に加えて、今後6基が追加で釜山機張(キジャン)郡にできる予定であるためだ。 原安委本社がソウルから原発地域に移れば、原安委の委員らが原発に対する住民の不安感を肌で感じることができ、寿命が尽きた原発の延長稼動決定や各種故障で運転が停止した原発の再稼働を決める際に一層慎重を期すのではないかという期待感もある。
委託研究は原子力発電所の最大密集地域である釜山への原安委本社の移転正当性と必要性に関する論理開発、原安委本社の釜山移転要求方案、原安委本社の釜山移転にともなう効果、原安委本社が移転する敷地、原安委本社の地方移転の根拠となる法律と施行令の調査などを骨格とする。
釜山市は原安委専門委員9人のうち、原子力発電所地域の自治団体持分も要求する計画だ。 原子力発電所の所在地として推薦した人が原安委に1人もいないということは辻褄が合わないということだ。 原安委が原子力発電所の延長稼動を決める時、地域の異見を反映せずに一方的に決めることを防ぐ意図だ。
釜山市のこのような対応は、寿命を2017年まで一回延長した古里(コリ)原発1号機はもちろん、古里原発2~4号機も2023~2026年に順に設計寿命の40年が尽きることを考慮したものだ。
機張郡に隣接する海雲台(ヘウンデ)区を地方区としているペ・トクグァン国会議員(セヌリ党)もまもなく同僚議員と共に原安委本社の地方移転を明文化した「原子力安全委員会の設置および運営に関する法律一部改正案」を発議する予定だ。「原安委の主な事務所の位置を原発から30キロメートル以内にする」という条項を新設する内容だ。 この改正案が本会議で議決されれば、原安委の本社は原発所在地である釜山、蔚山(ウルサン)、慶尚北道慶州(キョンジュ)と蔚珍(ウルチン)、全羅南道霊光(ヨングァン)のうち何れかに移さなければならない。
釜山市関係者は「原安委の本社が原発から30キロメートル以内に制限されれば、世界最大の原発密集地域である釜山が有利だと見る」と話した。