証拠隠滅教唆は適用せず公務執行妨害を追加
常務は証拠隠滅、国土部調査官は秘密漏洩で起訴
検察が米国ニューヨーク発のA380航空機を強制回航させたチョ・ヒョナ前大韓航空副社長(40・拘束)を7日、航空保安法の航空機航路変更容疑などを適用し起訴した。 また、検察の捜査が始まるとコンピュータを交換し記録削除など証拠隠滅を主導し、関連乗務員に虚偽の陳述を強要した容疑(証拠隠滅など)で大韓航空客室担当ヨ常務(57・拘束)を起訴した。 検察は大韓航空出身で強制回航事件の調査内容をヨ常務に教えた容疑(公務上秘密漏洩)で拘束された国土交通部キム調査官(54)も共に起訴した。
ソウル西部地検刑事5部(部長イ・グンス)は、チョ前副社長に航空保安法の航空機航路変更容疑の他に、乗務員に対する暴行による航空機安全運航阻害暴行容疑、機内で司法警察官の職務を遂行する事務長を強制的に降機させた強要罪を適用した。 航空機航路変更罪は裁判所で有罪判決が下されると懲役1~10年までの刑となる。
検察は特にチョ前副社長が、国土部の調査で虚偽の陳述をし、ヨ常務から事務長とファーストクラスの乗客に対する懐柔とその進行過程の報告を受け、大韓航空社次元で行われた組織的真相隠蔽の全過程をリアルタイムで報告を受け、これらに対する叱責と指示を続けていた事実を確認したと明らかにした。証拠隠滅・隠蔽がなされる状況をすべて知っていながら、自身に不利になる状況に対する叱責を通じて真相隠蔽を指示し続けたということだ。
検察は「チョ前副社長に組織的証拠ねつ造と証拠隠滅行為に対する責任を厳重に問う」と話したが、チョ前副社長には証拠隠滅教唆容疑は適用せず、代わりに偽計業務妨害容疑を適用した。ヨ常務は乗務員を脅迫し懐柔して国土部の調査で虚偽の陳述をさせたが、この公務執行妨害にチョ前副社長が“共謀”したということだ。 ヨ常務には証拠隠滅・隠匿容疑、強要罪、偽計業務妨害容疑が適用された。
検察はヨ常務が乗務員に対して虚偽の始末書作成と虚偽の陳述を強要し、大韓航空本社などに対する押収捜索が進行されている状況でも関連資料の削除やコンピュータすり替えなどを行ったと明らかにした。財閥総帥一家の傍若無人な逸脱行為を覆い隠すために、横領などの犯罪で押収捜索された大企業で行われるような証拠隠滅を図ったことになる。
検察は今回の事件を「私的地位を乱用して航空機の安全関連法秩序を無力化」させた事件と規定した。 検察はチョ前副社長が乗務員のサービス応対にケチをつけ、暴言・暴力・乱行などの犯罪行為を20分間にわたって行い、大韓航空副社長という職位と総帥一家という“威勢”を通じて航空機の安全に責任を負う司法警察官業務を遂行する事務長を強制的に飛行機から降ろしたと結論づけた。それと共に「乗客247人が説明も聞かされずに延着にともなう被害をこうむった。 航空機ランプ リターンの責任を全面的に乗務員などに転嫁する過程で、被害者はもちろん不法な指示を強要された社員たちも2次被害をこうむった。 これによって大韓航空の信頼と国家の威信がすべて失墜した」と説明した。
検察は市民団体が捜査依頼したチョ前副社長の大韓航空無料搭乗疑惑、国土部公務員らの航空機座席昇級特典疑惑などは継続捜査する方針だ。