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誰にも止められない大韓航空の“オーナーリスク”

登録:2014-12-23 08:51 修正:2014-12-23 09:05
“ナッツ リターン”事件と関連してチョ・ヤンホ韓進グループ会長(左)と娘のチョ・ヒョナ大韓航空前副社長が12日午後、記者団の前で謝罪している。キム・ソングァン、キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

韓国企業支配構造院の報告書で指摘
社外理事7人のうち5人が利害関係者
3年間で反対意見は機関投資家1か所
「理事会と株主の限界がある
企業支配構造の危機と考えねば」

 法務法人「広場」のアン・ヨンソク弁護士は今年3月から大韓航空の社外理事を務めている。大韓航空とアン弁護士は社外理事に選任される前の2012年7月にも特殊な関係にあった。大韓航空がモンゴル便の運航を独占しシーズン期の航空運賃を高めに設定した問題で公正取引委員会の全体会議に付された当時、アン弁護士は大韓航空の弁護を引き受けた。社内経営陣を管理監督しなければならない立場の社外理事という職務から考え問題となる行動だ。法務法人の広場は現在“ナッツリターン”騒動を起こしたチョ・ヒョナ前大韓航空副社長の検察調査でも弁護を受け持っている。

 22日、韓国企業支配構造院は報告書を通じ大韓航空の危機を“オーナーリスク”(最大株主による危機)を牽制できない支配構造の危機と考えるべきだと分析した。チョ前副社長問題が起きた時に問題を把握し解決しなければならない理事会が、本来の役割を果たせない状況を指摘したのだ。特に大韓航空の場合、社内理事6人のうち4人がオーナー家だが、独立的な立場で彼らを牽制すべき社外理事さえもほとんどが大韓航空と利害関係にあり“利害に相反する問題”から自由ではなかった。

 アン弁護士を含む大韓航空社外理事7人のうち5人が大韓航空と各種の利害関係にあるものと把握された。イ・ジュソク社外理事はキム&チャン法律事務所の法律顧問として仕事をしているが、キム&チャン法律事務所は2009~2010年の大韓航空の会計と税務諮問サービスを提供した。イ顧問は元ソウル地方国税庁長で、キム&チャン法律事務所でも税務専門家として知られる。ヒョン・ジョンテク社外理事はチョ・ヤンホ大韓航空代表理事が理事長を務める仁荷学院所属の仁荷大学校物流専門大学院教授だ。

 長期間の在職で結託した関係が指摘される場合もある。パク・オス ソウル大学経営大学教授は2000年3月から大韓航空社外理事として在職中だ。来年3月までの任期を満たせば15年間社外理事をすることになる。法務法人トゥレのイ・ソクウ弁護士も2016年までの残った任期を考慮すると9年以上も社外理事を務めることになる。韓国企業支配構造院のソンミンギョン研究委員は「長期間社外理事をする場合は社内経営陣と結託する恐れがあり、国民年金も議決権行使の際の社外理事の最長在職期間は10年を基準としている」と話した。

 独立的な社外理事の構成がされない状況で、実質的に社外理事選任の議決権を持つ機関投資家は沈黙した。資産運用会社の議決権公示を見ると、今までの3年間に大韓航空株主総会で反対意見を出した資産運用会社は外国系のイーストスプリング資産運用が唯一だ。イーストスプリング資産運用は2013年3月にヒョン・ジョンテク教授の社外理事と監査委員会委員の選任で反対票を投じた。当時の保有株式が40万株程度で少なく影響を及ぼすことはできなかった。ソン研究委員は「今回の大韓航空の事態処理過程は単純に財閥家の技術的な危険管理ばかりか、オーナーを牽制できない理事会と株主の限界を見せているだけに、企業支配構造に対するより構造的な再考が必要な時だ」と話した。

パン・ジュノ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.12.22 21:27

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/670252.html 訳Y.B

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