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蔚山北区楊亭洞の現代自動車3工場で非正規雇用と正社員の労働者が一緒に作業している。蔚山/キム・テヒョン記者//ハンギョレ新聞社

　政府は29日に非正規雇用労働者の契約期間を2年から4～5年に延ばす内容を骨格とした「非正規職総合対策」を出す予定だ。 労働界はこうした“非正規職使用制限緩和”が弊害を大きくするだけだと憂慮している。 正社員新規採用の働き口はなくなり、雇用不安と劣悪な処遇に苦しむ非正規職を増やすという理由からだ。このために労働界は「常時・継続業務は正社員として雇用する」という原則に基づき、非正規雇用の規模を減らし正社員との賃金格差を減らすことを非正規雇用問題解決の出発点としなければならないと主張している。

　政府は現行の非正規雇用労働者2年使用制限、および派遣許容対象業種(32業種)を一定の条件さえ充たせば緩和する方針を繰り返し強調してきた。イ・ギクォン雇用労働部長官は今月4日の構造改革関連討論会で「中壮年期間制勤労者は、法の期間制限(2年)と関係なく仕事を続けられることを希望している」として「派遣や期間制使用規制も雇用安定を高める方向で議論する必要がある」と明らかにした。 これは「非正規雇用の規制を緩和してほしい」という財界の主張と相通じる。

　しかし労働界は、これでは非正規雇用労働者が量産されるだろうと考えている。イ・チャングン民主労総政策室長は25日「今でも正社員転換義務を回避するため外注化(下請け)や2年未満の契約を締結している」として「非正規雇用の唯一の安全装置である2年使用制限を解除すれば、企業が正社員を雇用する理由が全くなくなる」と指摘した。特に55歳以上の高齢労働者の派遣業種拡大は、高齢者の働き口の質を下げ、製造業分野の不法派遣を合法化する結果を招くことになる。イ・ナムシン韓国非正規労働センター所長は「派遣業種の拡大は、不法派遣と偽装請負に免罪符を与えようとする信号」として「政府は正社員の雇用を増やす方法を探すより、企業が非正規雇用を気軽に使える方案ばかりを考えている」と批判した。

政府案は期間・派遣業種緩和が骨子
財界の要求事項をそっくり盛り込み
間接雇用労働者対策は今回も抜けて
労働界「非正規職・不法派遣が増えるだろう」

　労働専門家の多くは「常時的で継続的な業務は正社員として雇用する」という原則を勤労基準法に明示することが非正規雇用解決の出発点だと見ている。韓国労働社会研究所の分析結果によれば、賃金労働者全体1824万人のうち837万人(45.4％)が非正規雇用労働者だ。統計から除外された社内下請け労働者まで含めれば、非正規職は50％を越えるものと見られる。チョン・ムンジュ韓国労総政策本部長は「韓国は本人の意志と関係なく非正規で雇用された働き口が過剰に多く、賃金・労働条件についても差別が激しい」として「正社員を原則としつつ、合理的な理由がある場合にのみ制限的に非正規雇用を許容しなければならない」と指摘した。 「常時・継続業務に従事している非正規雇用労働者は、実質的な雇用安定が図られるようにする」というのは朴槿恵大統領の公約でもある。

　正社員の半額水準に止まる非正規雇用の賃金などの差別を正すことも緊急な課題だ。 韓国労働研究院の「2013年非正規職労働統計」によれば、2002年に正社員対比67％だった非正規雇用労働者の月平均賃金が、昨年には56％に下がった。イ・ジャスミン セヌリ党議員が雇用労働部から受け取った300人以上企業賃金現況を分析してみれば、正社員と非正規雇用の賃金格差は4.2倍(2010年)に達している。 このような格差解消のために、財界は正社員の処遇を低くする下方平準化を主張しているが、労働界は「同一労働同一賃金」の原則で解決しようと提案している。

　しかし、ケーブル放送C＆M、SKブロードバンド、LGU＋の協力業者労働者などサービス・請負形態の間接雇用労働者の雇用安定と処遇改善に関連した政府の対策は今回もないようだ。財界と同様に政府は「民法に基づく企業と個人(事業者)間の契約を労働法では規制できない」と見ているためだ。 雇用形態公示によれば、労働者5人に1人の割合で間接雇用労働者がいる。チョ・ドンムン カトリック大学教授は「企業が解雇や賃金など使用者としての法的責任を避けるために間接雇用労働を拡大している」として「元請け業者の使用者性を強化しない限り、現場で起きている労使葛藤を解決する方法はない」と話した。