朴槿恵(パク・クネ)大統領が1日、「正規職と非正規職の賃金格差や労働市場の硬直性、一部の大企業労組の利己主義は労使や労組同士のあつれきを起こして社会統合を妨げる代表的な障害物」と語った。朴大統領の発言はこれまで企画財政部が中心となって世論作りを進めてきた‘正規職過保護論’の延長線上にある。しかし‘正規職過保護論’は問題の本質を見誤ったでたらめな見方だ。そのうえ非正規職の問題の責任を正規職に押し付けるもので、社会的な反発を広げるほかない。
政府と大統領が連日唱えている‘正規職過保護’の論理は実際には‘企業過保護’の論理である。経済協力開発機構(OECD)の統計によると我が国(韓国)の正規職の雇用保護指数は34か国中の23位に留まっている。また正規職の集団解雇はOECDの加盟国のうち最も簡単に行われるグループに属しているうえ、雇用不安は最悪のレベルである。正規職と非正規職の賃金格差が深刻なのは事実だが、原因は正規職の過保護にあるのではなく、企業利益を増やすために非正規職を大量動員した点にある。統計によると、過去5年刊で企業所得が19.1%増えたの対して家計所得は1.6%増にとどまっている。また10大財閥の内部留保金は2009年の288兆ウォンから、2013年は522兆ウォンに急増している。このような事実が語ることは何であろう。非正規職の犠牲で得た利益は、正規職ではなく、財閥の大企業が手にしたという意味だ。このような状況を変えずに正規職に揺さぶりをかけて労働の柔軟性を伸ばすというのは、問題の本質はそのままにして的外れの場所で解決策を見い出そうとするようなものだ。
朴大統領は「ドイツなどの先進国は労働改革を通じて再び飛躍する基盤を整えた」という話もしている。しかしドイツやスウェーデン、オランダなど社会的に大掛かりな協調を成しとげた国は、韓国とは比べものにもならないほど社会のセーフティーネットがしっかりしている。労組の組織率や団体協約の適用率も非常に高い。そのような事情を鑑みずに雇用市場の柔軟性だけを強調するのは、解雇の自由を実質緩めて企業の要求だけを取り入れるのと違わない。
政府は今からでもセーフティーネットの強化と福祉拡充に努め、大企業中心の政策を根本的に変えるべきだ。そのような前提なしの解雇条件の緩和は、正規職を非正規職に作りかえる雇用全般の低レベル化に終わるまでだ。その上このような低レベル化は家計所得の悪化につながり、経済成長の基盤を壊すことになる。我々の経済にすでにそのような現象が広く現れてきているのではなかうか。
原文入力:2014/12/02 18:36