今月中旬に発表される予定である政府の「非正規職総合対策」を巡り、企画財政部を中心に「正社員のために非正規職の保護が難しい」という趣旨の「正社員過保護論」の世論作りが相次ぎ、労働界が牽制に乗り出した。 韓国労総は2日、この問題を強く批判して経済社会発展労使政委員会(労使政委)に参加しないこともあると警告した。
労使政委がこの日に政府ソウル庁舎で開いた労働市場構造改善特別委員会4次会議に勤労者委員として参加したイ・ビョンギュン韓国労総事務総長は、「労使政委で議論が進行中なのに、政府が一方的に政策を発表しており、労使政委は存在感がなくなる」と鋭く批判した。 同席したキム・マンジェ韓国労総金属労連委員長も「労働問題の主務部署は雇用労働部なのに、企画財政部が越権している。 企画財政部の“言論プレイ”が続くなら、労使政委は脇役になるので参加しない」と警告した。 これに対しキム・テファン労使政委委員長は「そんなことがないよう緊密に協議する」と答えた。
キム・ドンマン韓国労総委員長はこの日、昼食を兼ねた記者懇談会で「主務部署でもない企画財政部が正社員解雇要件の緩和などに言及していることは極めて嘆かわしい」として「労使政委にようやく復帰して議論をしているというのに、(このような形で)一方的に踏みにじるならば全面戦争だ」と話した。
民主労総は前日出した論評で「政府の非正規職対策を契機に触発された論議がおかしな方向に向かっている。 非正規職対策は出さずに、逆に正規職の労働条件を下落させて、労働市場全般を下方平準化しようとする意図があるのは明確だ」と批判した。
労使政委傘下の労働市場構造改善特別委は、正社員と非正規職の賃金格差などいわゆる“労働市場の二重構造”の改善と非正規職・通常賃金など労働懸案を議論するために9月にスタートした。 事案の重大さを考慮して、キム・テファン労使政委員長が特別委の委員長を兼任している。 この日は通常賃金・勤労時間短縮・賃金体系改編など5大懸案14細部議題を確定した。
労使政委は年内に合意を引き出す計画だが、核心争点を巡る労働界と財界の意見の差異が大きいうえに、政府の執拗な世論造成攻勢に労働界の不満が広がって、合意に至るのは容易ではなさそうだ。
一方、労使政委の諮問機構である労働分野学界元老諮問団はこの日午前に集会を開いた後、「労働市場の構造的で根本的な改革がないならば、韓国の経済社会は大きな危機に直面せざるをえない。 今が危機克服のための絶体絶命の時期だという点を労使政の皆が深く認識して、問題解決に共に乗り出さなければならない」と促した。