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非正規職800万人固定化に隠された韓国大企業の雇用戦略

登録:2014-11-20 08:51 修正:2014-11-20 16:11
電子業界は23~27%を維持
完成車・造船部門でも14~27%
「企業は均衡点を出して一斉に施行」
非正規職191万人で44%に達し
全体非正規職比率とほとんど類似
「大企業が率先して解決法提示すべき」
主要大企業の非正規職雇用現況。//ハンギョレ新聞社

 非正規職問題とその解決法をめぐり大企業の社会的責任論が浮上するなか、7年間にわたり強化されてきた“非正規職800万人台”の現状の背景に、大企業の非正規職使用形態および戦略があることが明らかになった。

 今年7月、大企業の「先導的な社会的責任と自律的雇用構造の改善」を掲げ施行された雇用形態公示制により、300人以上の大企業(2942社)が初めて雇用安定情報網(ワークネット)に各社の雇用形態を公示した。『ハンギョレ』が19日、この公示内容を業種別で調べた結果、電子、自動車、造船、建設、鉄鋼業種にかけ、財閥大企業がまるで示し合わせかのように派遣や社内下請けなどの間接雇用の使用比率でほとんど似た形態を見せていることが分かった。

 電子業界では、サムスン電子が直接雇用常時勤労者(合計9万7266人)のうち正規職9万6237人、期間制が980人であるのに対し、間接雇用である「所属外勤労者」は2万6304人(常時勤労者対比所属外勤労者比率27%。以下同)だ。LG電子は常時が合計3万8285人のうち期間制が751人に対し所属外は4081人(10%)、SKハイニックスは常時合計2万1011人のうち期間制6人に過ぎなかったが所属外は4905人(23%)だ。

 直接雇用と期間制の数字・比率は小さい一方、派遣・社内下請けの比率が相対的にかなり高い。LG電子を除き、同じ業種ではどの財閥企業も常時対比所属外比率が23~27%でほぼ一定している事実が明確に確認される。

 組み立て完成車業種でも個別大企業の所属外比率はほぼ一定している。現代自動車は常時合計6万3937人・所属外1万1066人(17%)、起亜自動車は常時合計3万3645人・所属外4873人(14%)、韓国GM(富平工場)は常時合計1万6843人・所属外3984人(23%)だ。常時対比所属外比率が14~27%の間となる。造船・鉄鋼業種でもそれぞれの企業別の差がほとんどない“特徴”が見つかるが、所属外が常時勤労者よりはるかに多かったり肉迫する。鉄鋼の場合、ポスコは常時合計1万8036人・所属外1万5723人、現代製鉄は常時合計1万807人・所属外1万1956人だった。

 韓国経営者総協会のイ・グァンホ雇用政策チーム長は「個別企業と業種ごとに企業の成果を考慮すると、非正規人力の比重をどの程度にすれば最適なのか自ら作成した均衡点を把握し、それに基づく雇用戦略を展開している」として「非正規職法などの制度的規制の衝撃は、民間大企業で3~4分期ほど過ぎるとその効果は消えていく」と話した。

 韓国の非正規職規模は2007年7月に非正規職法が施行されてからの7年間、合計818万~865万の間を上下している。増加傾向が止まったように見えるが、非正規職法・制度と労働組合の闘争効果にもかかわらず、これ以上大きく落ちることもないまま“強化’されている傾向が顕著だ。ここには派遣・下請けなど大規模な“所属外勤労者”をベースに非正規職比率を“一定”に維持する、すべての財閥大企業による同じ雇用戦略が大きな要因として作用しているのが今回明らかになったわけだ。

 特に使用者団体は「全体の非正規職のうちに300人以上の大企業は5.6%(2013年8月基準)に過ぎう、残りの大部分は30人以下の中小零細企業に存在するので、解決方法を見出し難い」と主張しているが、雇用形態公示資料の中身を見れば、大企業が非正規職の温床であり主犯と指定される。

 キム・ユソン韓国労働社会研究所先任研究委員は「公示資料を分析した結果、300人以上の大企業の全賃金労働者(435万8千人)のうち非正規職は191万人で43.8%に達する」と明らかにした。今年8月現在の全非正規職比率(全賃金労働者の45.4%・852万人・韓国労働社会研究所推算)と大企業の非正規職比率がほとんど一致するのは、非正規問題の所在地と解決法が“大企業”にあることを示している。

チョ・ケワン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.11.19 21:24 

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/665253.html  訳Y.B

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