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[ニュース分析] 国家綱紀の紊乱を自ら招く朴槿恵大統領

登録:2014-12-08 08:30 修正:2014-12-08 11:50
文化体育観光部の局・課長更迭指示など
事実が明らかになった事案も“チラシ”
3人組とチョン・ユンフェは“小枝”
大統領が公私の区分けをできないため
朴槿恵大統領が7日大統領府で開かれたセヌリ党指導部および予算決算特別委員会昼食で挨拶の言葉をしている。イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は7日、セヌリ党指導部および予算決算特別委員会委員と会い「チラシにでも出されるそんな話にこの国全体が揺れるというのは本当に大韓民国にとり恥ずかしいこと」と言った。事件に対する認識は以前と少しも変わっていなかった。今月1日の大統領府首席秘書官会議で彼女は「市中に飛び交う数多くの噂や嘆願」と語っていた。

 だが、朴槿恵大統領の考えとは異なり、今回の事件には実体がある。先月28日の『世界日報』のチョン・ユンフェ氏国政介入文書報道で始まった今回の事件は、チョ・ウンチョン元公職規律秘書官の『朝鮮日報』インタビュー、朴大統領が直接文化体育観光部の局・課長更迭を求めたという『ハンギョレ』の報道で質的変化を経ている。事件後に現れた「当事者たちの態度」と「動かすことができない事実」の二つを考えれば大よその真実を推し量ることができる。

 チョン・ユンフェ氏の国政介入について、「3人組」はもちろん当事者であるチョン氏や朴大統領が過剰に思えるほど動揺している。チョン・ユンフェ氏の国政介入は現実より誇張された面もあるかもしれない。時間が経てば明らかになることをこのように強く否定するのは難しい。もちろん検察捜査を通じて明らかにされねばならないことだ。

 ところが、朴槿恵大統領とミン・ギョンウク大統領府報道官の強い否定や弁明にもかかわらず、二つのことは事実と確認された。朴大統領が文化体育観光部の局・課長を直接名指して更迭を要求したこと、そして政府と大統領府内部の人事に“誰か”が不当に介入したということだ。チョ・ウンチョン元秘書官は検証が不十分にされた事例があると証言した。

 この二つは表面的には関連ないことのように見える。しかし、人事に介入したその“誰か”が朴大統領自身なら話は違う。チョ・ウンチョン元秘書官は人事介入の主犯として3人組やチョン・ユンフェを名指ししたが、実は朴大統領だった可能性を排除することはできない。金大中(キム・デジュン)政権と盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権の大統領府で重要な役割を担った人たちは「大統領自ら人事請託をする場合もあるが、それを大統領の要請だと表にしたりしない」と話した。

 大統領が指名したり好む人物を庇おうとする大統領および大統領の代理人らと、聴聞会に備えて事前検証を徹底しなければならない大統領府の参謀が衝突するのはどの政権でもあったことだ。特に李明博(イ・ミョンバク)政権でこうした葛藤が激しかった。

 朴大統領と3人組の関係を長く見守ってきたセヌリ党のある議員は、「3人組は朴槿恵大統領の意向と異なる仕事をするような人たちでは決してない。仮に自分らの利益のために嘆願をしたとしても僅かな水準だろう」と話した。

 であるなら今回の事件の本質はどこにあるのか。チョン・ユンフェ氏国政介入疑惑などではなく、ひょっとすると朴大統領が公私を区分けできないため広がった混線なのではなかろうか。この問題を正確に確認するにはチョン・ユンフェ氏の夫人だったチェ・スンシル氏などの“秘線”人脈と3人組に対する調査が必要だ。可能だろうか? 難しいだろう。

 残るは小枝だ。チョン・ユンフェ氏とパク・ジマン氏の権力闘争を背景と考える視角もあるが、時間が経つほど説得力を持たなくなっている。パク・ジマン氏本人や朴槿恵大統領側からも、大統領就任前からパク・ジマン氏の国政介入の可能性を遮断したという証言が相次いでいる。パク・ジマン氏が力を行使したと言われた人事の大部分は当事者自らの力によるものだった今回の問題を機にキム・ギチュン秘書室長が権力実力者でなかったことが伝わってきているのも興味深い。

 今後、事件はどう展開するだろうか。朴槿恵大統領は自身と近い人に対する根拠のない計略を極度に嫌う。1970年代末にファーストレディの役割をしていた頃に受けたチェ・テミン事件による“精神的外傷”なのだという。したがって世論と与党の一部で求める「キム・ギチュン室長および3人組退陣」はされない可能性が高い。朴大統領をよく知る人ほどそう見ている。

 だからといって世論が静まるわけではない。検察が捜査結果を出しても国民は信じられなくなっている。大統領が出した“ガイドライン”のためだ。すべての混乱は朴大統領が自ら招いた。したがって朴大統領自ら変わらない限り、今回の事態の波紋と後遺症は止まないだろう。国民と戦って勝った大統領はいない。政権の凋落とレイムダックはすでに始まっているのかもしれない。

ソン・ハンヨン先任記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2014.12.07 22:09 

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/667908.html?_fr=mt1r h訳Y.B

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