朴槿恵(パク・クネ)大統領がチョン・ユンフェ氏夫妻に関わる文化体育観光部(文体部)の人事に直接関わったとする『ハンギョレ』報道(12月3日、4日付1面)に関連して大統領府が5日、朴大統領の“人事指示”があった事実を認めた。大統領府は、朴大統領が文体部の局・課長の左遷人事を指示したのは民政首席室の報告によるものだと明らかにしたが、当時の状況や大統領府の運営システムを考えると辻褄が合わず、形ばかりの弁明との批判は避けがたいように思える。
ミン・ギョンウク大統領府報道官はこの日午後のブリーフィングで「昨年7月23日の閣僚会議でユ・ジンリョン当時文体部長官が体育団体の運営不正と改善方案を報告したが、内容が不十分であり体育界不正の清算に進展がなかった。朴大統領は民政首席室からその原因が担当幹部の消極的で安易な対処にともなう結果だと報告を受けた」として「その後の8月21日、ユ長官に積極的に弊害解消にスピードを出せと指摘し、それに伴いユ長官が人事措置をしたと承知している」と明らかにした。ユ長官の報告内容が不十分で体育界不正の清算に進捗もないため責任を問い、その結果にともなう人事は長官が独自の判断で処理したという典型的な責任押し付けの説明だ。だが、急ごしらえで用意されたためか大統領府の説明には粗雑な部分が多い。
まず、大統領が“秘線情報”に依存した疑いがでていることを意識したように「民政首席室から担当幹部の安易な対処の報告を受けた」と明らかにした部分だ。民政首席室自ら重要な犯罪や事故でもない一部署の局・課長の“安易さ”を報告したというのは常識的ではない。また、その報告内容を朴大統領が直接手帳にメモして長官に担当局・課長の名前をあげ「悪い人たちだそうだ」と人事措置を指示したというのは一層理解し難い。
大統領府はわずか数日前「チョン・ユンフェ氏の国政介入」という重大事案に関する公職規律秘書官の報告書を、キム・ギチュン秘書室長が口頭で報告を受け“チラシ”のようなものなので無視したと説明していた。民政首席室から報告された文体部の局・課長の安易な態度は大統領へ直に報告されたが、側近と目される者の国政介入疑惑は無視したという話になる。
しかも、該当する局・課長の二人は乗馬協会に対する事前調査の際、どちらか一方の改革でない全面的な“浄化”を指摘するなど、問題となるようなことは特にしていない。また、大統領府の説明通りなら、7月23日に長官が報告した「体育団体運営不正改善方案」に関し朴大統領は1か月も経っていない時点(8月21日)で「体育界不正の清算に進展がない」と判断して人事措置を指示したことになる。
当時は文体部が体育界全般に対する監査計画を作成した後、まだ監査を開始もしていない時期だった。左遷されたノ局長とチン課長は大統領府も承認した「スポーツビジョン2018」を直接企画して記者会見(8月26日)までした後、1週間も経ずに移動させられた。“安易さ”のためとは考えにくい大きな課題で、ユ長官も彼らの人事措置に対し個人的に申し訳ないと思ったという。また、朴大統領はユ長官に二人の公務員の左遷性人事を指示した後、わずか二日後に大統領府の教育文化首席を通じ、彼らの人事が進行されたか確認したという。一国の大統領が一部署の局長・課長人事を二日間隔で確認したのであり、大統領府の説明のように単純に“安易さ”に対する叱責だったとするには、朴大統領はかなり積極的だったという点も疑問だ。
大統領府のこうした粗雑な説明は、当時の朴大統領の指示を直接受けたユ・ジンリョン元文体部長官が報道内容をすべて認めるなど世論の関心が高まると、後になって事態を収拾するために用意されたためと思われる。だが、説明には辻褄の合わない部分が多く、なにより現政権スタート時からの長官だった人が朴大統領の秘線人事方式に“直撃弾”を飛ばしたことになり、朴大統領の政治的打撃も小さくないと見込まれる。
ソク・ジンファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
韓国語原文入力:2014.12.06 00:54