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[コラム] 国民を猿扱いするのですか?

登録:2014-12-01 20:58 修正:2014-12-02 05:18
クァク・ビョンチャン論説委員が朴槿恵大統領に送る手紙(84)
朴槿恵大統領が1日午前、大統領府で首席秘書官会議を主宰している。2014.12.01.ニューシス.

「チョン・ユンフェ文書’」はチラシの類いと言いながら、流出は綱紀紊乱行為?
南北対話録の歪曲流出は国民の知る権利と言っていたのに…

 中学生なら誰もが知っている故事です。中国で秦の始皇帝が死ぬと宦官の趙高は太子の扶蘇を殺し、未熟な胡亥を皇帝に即位させます。 彼は胡亥が歓楽に溺れ、正常な感覚でない間に李斯など元老重臣を粛清し全権を掌握します。 ある日、趙高は御前会議に鹿一頭を引っ張って行きこのように話します。 「陛下のためにようやく求めた名馬です。」 「冗談もたいがいにしなさい。 鹿を馬だとは(指鹿為馬・指鹿為馬)」。「陛下、間違いなく馬です。 皆が見てあれが馬ですか、鹿ですか?」。趙高は重臣たちを見回して尋ねました。彼の前で正しく答えた者はいませんでした。

 大統領府公職規律秘書官室が作成した監察文書を巡ってしていることを見れば、中国の統一帝国、秦の没落期の宦官趙高と皇帝胡亥を思い出します。大統領府の文書は、大統領府の門番権力の横暴に関するものです。 大統領秘書室長の追放を試み、パク・ジマン氏を牽制する目的で尾行を付け、主要な人事と利権に介入したなどの疑惑を監察した内容でした。

大統領府公職規律秘書官室が今年1月6日に作成した‘大統領府秘書室長交替説などVIP側近(チョン・ユンフェ)動向’監察報告書。世界日報提供

 この文書が報道されると、大統領府側近は11月28日『世界日報』を告訴して、文書流出に対する捜査を依頼しました。 国政を壟断したという文書の内容は、証券街で飛び交うゴミ情報を集めたものに過ぎない。このような文書を流出したのには特別な底意がある筈なので、検察で流出経緯を捜査し処罰してほしいということでした。 その3日後、大統領は大統領府首席秘書官会議でこうした主張をほとんどそのまま繰り返しました。 「(文書の外部流出は)決して許されない綱紀紊乱行為だ」。「少しでも確認してみれば、すぐに真偽が分かることを確認すらせずに疑惑があるかのように追い込むのは大きな問題だ」。内容の実体的真実捜査も指示したが、大統領はすでにガイドラインを定めました。‘関連者に尋ねればすぐ確認できること’という言葉の中にその指針は含まれています。 関連者らはすでに‘僅か1%も事実に符合しない’と線を引きました。誰が誰を指揮したのか…。

 問題の文書は、公職規律秘書官と民政首席秘書官を経て秘書室長にまで報告されたものでした。 大統領府がいくらすべき仕事がなく、ぶらぶらしている組織であっても、証券街の風説の類いを拾って集めるはずはありません。民政首席や秘書室長がいくら風説に幻惑されがちな人物だとしても、そんなチラシを耽読するはずはありません。 警察の情報分野最高のエリートが集めてきた情報を、秘書官が濾過し首席が濾過して秘書室長に報告したのがその文書でした。 報道機関でも現場取材記者が風説を集めに通ったりはしません。 そのような風説を担当チーム長やデスク、さらには局長に報告したりするわけがありません。

朴槿恵政権の“秘線実力者”と疑われたチョン・ユンフェ氏が昨年7月19日、京畿道果川市のソウル競馬公園で娘が出場した馬場馬術競技を観戦している。 果川/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 問題の本質は大統領側近の専横と権力闘争、そして不正疑惑です。そのような重大な事件を文書流出事件にしてしまおうとする姿を見ると、1992年のチョウォン河豚料理店事件を思い出します。 キム・ギチュン室長は当時この事件でも主役でした。 彼は安全企画部分室長から教育長まで、釜山の機関長が全員集まったチョウォン河豚料理屋でこのように話し官権介入を促しました。 「今回の選挙で負ければ、皆で影島大橋から飛び降りよう。」しかしこの官権選挙工作事件は、政権と検察と縁戚言論の合作でチョウォン河豚料理屋盗聴事件に性格が変えられました。 検察は機関長を捜査するのではなく、会合の内容を暴露した人々を逮捕しました。

 事実、大統領とその側近たちが断言したことによれば、監察文書の内容はゴミです。 「僅か1%も事実に符合しない」デマです。ところが、そのように言った人々がこのゴミの流出を綱紀紊乱行為だと規定しました。証券街を飛び交うものはたとえ大統領府に流れてこようが、ゴミはゴミです。 大統領府を経たからとゴミが国家秘密になることはできません。 すでに市中に全て飛び交ったことならば、一層秘密ではないのです。

 ところで、あなたはまた誰かが書いた通り、このように読みました。「(文書を)内部からそのまま外部に流出させるならば、国が大きな混乱に陥って、社会に葛藤が起きることになります。 …誰がどんな意図でこのように国を困惑させるのか、早く明らかにしなければならない。」ゴミを捨てただけなのに、どうして国が混乱するのですか。

 機密漏洩、綱紀紊乱を云々すれば、また思い出してしまうことがあります。 猿水準の記憶力でも思い出せることです。 2年前の大統領選挙の時、朴槿恵キャンプが犯した南北首脳会談対話録歪曲流出事件の話です。 あなたの参謀たちはこの前の大統領選挙で1級秘密に規定された南北首脳会談対話録を持ち出して大変に愉快な思いをしました。 そのまま流出したのではなく、内容を悪意的に編集までしましたね。 盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が北朝鮮の金正日国防委員長に北方境界線の放棄を約束したと言って、当時秘書室長だった文在寅(ムン・ジェイン)候補はその時何をしていたのかと問い詰めたのです。突然、盧大統領と文候補は金正日の“子分”になってしまいました。

 対話録歪曲流出事件は現在裁判が進行中です。 検察は張本人であるチョン・ムノン議員に対して罰金500万ウォンの略式起訴で終えようとしましたが、裁判所は正式裁判に付しました。しかし検察は11月25日の結審公判でも罰金500万ウォンを求刑しました。 その理由はあろうことか「全体的な発言内容は虚偽と断定し難く、一部は国民の知る権利に符合する側面もあるため」ということでした。

 検察のこのような基準によれば、今回の文書流出は最初から捜査対象にすらなりえません。 文書の内容は風説に過ぎないので国家機密とは言えません。 国民の知る権利という次元で見るならば、善意の情報提供者による報道は当然のことです。 対話録歪曲流出事件と並行してこの事件を処理しなければならないのですから、検察としては本当に悩ましいことでしょう。 しかし、どうしますか。たとえ常侍たちの考えであっても大統領があれほど厳命したので、また悪魔の計略でも持ってこなければなりませんね。 国民は朝三暮四の故事の中の狙公の猿のような存在なので、ひたすら信じて反抗したりはしないでしょうか。

 指鹿為馬の故事に立ち戻れば、趙高が胡亥を蔑視して専横している間に、全国では反乱が起きます。 友邦の軍隊が咸陽にまで上がってくると、趙高は胡亥を殺して子嬰を新しい皇帝に擁立しますが、帝国の沈没は防げず、結局は趙高も誅殺を避けられませんでした。

クァク・ビョンチャン先任論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/666919.html 韓国語原文入力:2014/12/01 16:55
訳J.S(3180字)

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