朴大統領名誉毀損の疑い
起訴された加藤前支局長が出廷
一部傍聴客「加藤は謝れ」騒乱も
「朴大統領を誹謗する意図はなかった」
朴槿恵(パク・クネ)大統領とチョン・ユンフェ氏に対する名誉毀損の疑いで起訴された加藤達也産経新聞前ソウル支局長が27日午前に開かれた最初の公判準備期日に出席した。この日午前10時頃、加藤前支局長が法廷に出席すると、一部の傍聴客が「加藤を直ちに拘束しろ」と書かれた紙を持ち「加藤は謝れ」とスローガンを叫び騒乱を起こす場面もあった。
ソウル中央地裁刑事30部(裁判長イ・ドングン)審理で開かれた準備期日で検察は、「加藤前支局長は『朝鮮日報』コラムを読み、(朴大統領とチョン氏がセウォル号事故当日に一緒にいたという)うわさの真偽を確認するための努力をせずに、出処不明の消息筋を根拠に朴大統領とチョン氏を誹謗する気持ちでコラムを書いた」と公訴事実を説明した。 また「(セウォル号事故)当時、朴大統領は大統領府構内にいたし、チョン氏は大統領府に出入りした記録がなく、朴大統領はチェ・テミン氏やチョン氏と緊密な男女関係でもない点が明らかなので、被害者の名誉を傷つけた」と主張した。
加藤前支局長の弁護人は「コラムを虚偽だと断定できず、被告人は偽りと認識しなかった」と明らかにした。 また「独身である大統領に男女関係があると報道したことが、なぜ名誉毀損に該当するのかも疑問だ。この事件自体が反意思不罰罪となるのに、被害者の処罰意志が我々が受け取った資料に存在しない」と明らかにした。 検察が「チョン氏の場合、調査の過程で処罰の意思を明らかにしているし、朴大統領の場合には大統領府で強力な法的対応をとるという立場を示している」と反論し、弁護人は「チョン氏については確認できるが、朴大統領の場合は大統領府の職員に意志を代わることはできない。大統領府の職員が機関の立場で朴大統領の意志を代わったのであれば、機関は名誉毀損の対象になりえないというこの間の判例が多くあり、犯罪そのものが成立しない」と対応した。
この日検察は、加藤前支局長を告発したチャン・ギジョン自由青年連合代表など告発人3人とチョン氏など事件関係人3人、言論専門家1人を証人として申請した。 弁護人側は加藤前支局長が参考にしたコラムを書いたチェ・ポシク『朝鮮日報』記者とセウォル号事故当日の朴大統領の動きをよく知る大統領府秘書室長、あるいは随行秘書、別の韓国特派員を証人として申請した。 裁判所は身元が確認された検察側証人6人とチェ記者など合計7人の証人申請を受け入れ、大統領府関係者と言論専門家、別の韓国特派員などは具体的対象を定め改めて証人申請するよう注文した。
準備期日には日本語通訳者が参加し、加藤前支局長に裁判の過程を説明した。加藤前支局長は「言いたいことがあるか」という裁判長の質問を受けると席を立ち、「2010年に赴任して以後、韓国の政治、経済、社会状況を日本の読者たちに伝えることを使命と役割と考えてきた。 (コラムもやはり)セウォル号事故以後に朴大統領の支持率が落ちている韓国社会の状況を伝えるためのものであり、朴大統領を誹謗する意図はなかった」と話した。
加藤前支局長は8月3日付の「朴槿恵大統領が旅客船沈没当日、行方不明に…誰と会っていた?」というコラムを産経新聞のホームページに載せ、セウォル号事故当日の朴大統領の行跡に対する疑惑を扱い、チョン氏などを記事にした。
12月15日の裁判では、加藤前支局長を告発したチャン氏など3人に対する証人審問が行われる予定だ。