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歴史の闇にある独立軍討伐「間島特設隊」の実態を分析

登録:2014-10-27 00:50 修正:2014-10-27 14:41
イム・ジョングク賞学術賞を受けた言論人キム・ヒョスン
第8回イム・ジョングク賞学術部門受賞者に選ばれたキム・ヒョスン氏(61)

「長く記者として生き、現役から退いた後も学者や研究者の経歴が全くないのに学術部門受賞者に選ばれたと聞いて驚いている」

 第8回イム・ジョングク賞学術部門受賞者に選ばれた「フォーラム真実と正義」共同代表のキム・ヒョスン氏(61)はこう語りだした。 民族問題研究所は24日、キム代表が今年2月に発刊した「間島特設隊」で、日帝強制占領期間に抗日武装闘争勢力を抹殺しようとした朝鮮人の「親日討伐部隊」に対する本格的な分析を初めて試みた功労を認定し、彼を受賞者に選定したと明らかにした。 審査委員会はキム代表の本が「探査報道の水準を越える調査・分析を通じて、間島特設隊の設立背景から出身者らが韓国社会の主役として登場するまでの過程を実証的に糾明し、その反民族的反人道的属性を如実に示した」と明らかにした。 イム・ジョングク賞は、親日問題研究に身を投じたイム・ジョングク(林種国,1929~1989)先生の意思を賛え、2005年に制定された。 親日清算、歴史正義の実現、民族史確立という先生の遺志を継承している個人と団体を、学術・文化と社会・言論の二分野に分けて選定し毎年授賞している。

‘独立軍討伐’朝鮮人 間島特設隊
韓国社会の主役として登場するまで
学会ができない研究を足で走って実証
中・日 現地インタビューと資料発掘
ペク・ソンヨプの創氏名・憲兵服務も明らかにした

 1930年代独立運動の聖地であった間島で活動したこの特設部隊は、永らくその存在がベールに覆われていた。 間島特設隊服務者らは、自分たちは‘匪賊’、‘共産軍’を討伐しただけだと弁解してきた。 キム代表はこの部隊が実際には抗日武装勢力の掃討、せん滅のための関東軍の手先を務めた部隊に過ぎなかったことを多様な資料を活用して立体的に明らかにした。 将校の半数程度と下士官以下の兵士は全員が朝鮮人であり、抗日運動家を‘共産軍’に変身させ、執拗に同胞を殺害した‘皇国軍人’だったわけだ。 これらのうち、解放以後に韓国で長官、軍司令官、高位官僚などに出世した人も少なくない。

 一冊の本が、彼に間島特設隊を本格的に暴かせる決定的契機を提供した。 「8年前、Stephen C. Mercado の「The Shadow Warriors of Nakano」という本を読んでいる時、名誉元帥推戴問題で議論になったペク・ソンヨプ氏が日本で出した本の中で間島特設隊に言及した部分があるという事実を初めて知った」。 ペク・ソンヨプ氏の本には、彼が国内で全く話したことのない衝撃的な内容が多くあったという。 キム代表は「我が民族の恥部である間島特設隊を本格的に扱った本が一冊もないという現実が、もどかしく、自分でもその隙間を埋めてみようと考えた」と話した。

 だが、史料が全く足りなかった。 2012年1月、新聞社を退職した直後からそれまでに少しずつ集めてきた文書を分析し、中国と日本を訪問し現地調査を進めた。 韓・中・日の資料を対照しながら事実を確認することは困難だったが、日本と中国側の新たな証言と資料を捜し出したことは大きな成果であった。 隠蔽された事実も続々と明らかになった。

 「当時、満州での抗日武装闘争条件がどれほど厳しく惨めなものだったかを確認できた。 抗日戦士たちを捕虜として捕らえれば、生きたまま肝臓を摘出したという記録も出てきた。 ペク・ソンヨプ氏の創氏名(白川義則、シラカワ・ヨシノリ)や、憲兵兵科での服務事実も学界で明らかになっていない事実だった」。 キム代表は『東洋通信』と『京郷新聞』を経て1988年に『ハンギョレ新聞』創刊に参加し、『ハンギョレ』初代東京特派員、論説委員、編集局長、編集人、先任論説委員を歴任し、韓日の過去史に光を当て続け、韓日関係に精通した専門家として確固たる地位を固めた。 33年に及ぶ記者生活の間に「近い国 知らない国」(1996)。「私は日本軍、人民軍、国軍だった」(2008)、「歴史家に問う」(2011)を出し、近現代史の桎梏の中で排除された人々の話と隠蔽された事実を発掘することに力を注いできた。

 韓日近現代史問題に関心を傾けるようになったのは、1992年に特派員活動を始めた頃からだった。 彼は「日帝強制占領期間の被害者や遺族たちが、日本政府・企業を相手に訴訟を提起し賠償を要求する運動が広がっているのを見て恥ずかしさを感じた」と話した。 当時でもこの分野の国内専門研究者はきわめて珍しかった。 朝鮮人B・C級戦犯、サハリン残留同胞、朝鮮人シベリア抑留などの問題も同じだった。 そのような状況の中で、被害者を献身的に助け研究する日本人活動家・研究者たちがいた。 「彼らを見て大きな衝撃を受けたし、我々自身の問題を他人を通じて知る境遇からは何とかして抜け出したいと考えた」。 彼はインターネットで間島特設隊と関連して確認されていない事実や不正確な話が多いと話した。 「特定人物の間島特設隊服務有無に対する一般の人たちの関心が高いことを知っている。本ではそのような個別的な問題より、当時の時代状況全体を描こうとしたし、読者たちにはなぜこのような類の本が今まで出されなかったのか、その背景を考えて欲しい」と彼は付け加えた。

 イム・ジョングク賞授賞式は来月12日午後7時、ソウル中区のプレスセンター19階記者会見場で開かれる。 社会部門受賞者は日本の市民団体である強制動員真相究明ネットワークが選ばれた。 2005年に結成されたこの団体は、日本社会の右傾化の流れの中でも朝鮮人軍属・徴用者・日本軍‘慰安婦’等の被害者問題を着実に暴いてきた功労を認められた。

イ・ユジン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/culture/religion/661440.html 韓国語原文入力:2014/10/26 22:10
訳J.S(2547字)

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