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“親日”には目をつむり“功績”にだけ目を開いた「ペク・ソンヨプ (白善燁)ドキュメンタリー」

原文入力:2011/06/14 20:29(2260字)
チェ・ソンジン記者

KBS構成案、“戦争英雄”“孤児保護”に焦点
抗日勢力を討伐した間島(カンド)特設隊勤務などはそっくり除く
“歴史欺瞞”との批判に“戦争談”と苦しい弁明

←83市民・言論団体で構成された「親日・独裁称賛放送阻止非常対策委員会」の会員たちが9日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)の<韓国放送>(KBS)前で「ペク・ソンヨプ ドキュメンタリー」等の放映計画撤回を要求している。 イ・ジョンア記者 leej@hani.co.kr

親日要人は消えて戦争英雄だけが残った。
14日<韓国放送>(KBS)の特別企画ドキュメンタリー2部作<戦争と軍人>(ペク・ソンヨプ ドキュメンタリー)のプログラム構成案を見れば、ペク・ソンヨプ ドキュメンタリーは彼の親日行跡には目をつむり、朝鮮戦争での活躍の面に焦点を合わせている。 このまま放送された場合、公営放送KBSの“親日要人美化”論議はより一層強まるものと見られる。 KBSは朝鮮戦争61周年をむかえ、この24日夜10時と25日夜10時30分、ペク・ソンヨプ ドキュメンタリーを放送する。

ペク・ソンヨプ ドキュメンタリーの主要内容を盛ったA4用紙12枚の構成案によれば、ペク・ソンヨプ予備役大将の一代記を扱ったこのドキュメンタリーは「1部:戦争が軍人を作る-私が後退すれば私を撃て」と「2部:軍人の条件-戦いながら学ぶ」(各50分)からなっている。 1部の主要内容は△運命の大回転、多富洞(タブドン)戦闘△戦争勃発と果てしない後退△ペク・ソンヨプとは誰か△新しい概念の6・25戦争などだ。 2部は△敵にも学ぶ△松亭里(ソンジョンニ)孤児院とパルチザン討伐△休戦と韓国軍現代化△将軍の涙 の順に展開される。

この中で大部分は製作スタッフが構成案で“真の将軍”あるいは“戦争英雄”と表現した“立派な指揮官ペク・ソンヨプ”の活躍相に関する内容だ。 “松亭里(ソンジョンニ)孤児院”と“将軍の涙”篇では、戦争中にも光州(クァンジュ)松亭里(ソンジョンニ)に白善保育園を設立したエピソードなど彼の人間的魅力を紹介している。

製作スタッフは企画意図と関連して「ペク・ソンヨプは韓国軍を強固な磐石の上にのせた戦争英雄であり真の将軍だった」として「絶対劣勢の戦力、訓練の不十分な兵士を率いて戦闘を勝利に導いたペク・ソンヨプの姿から、21世紀韓国軍指揮官の真の姿を模索してみたい」と明らかにした。

その一方で、彼の生涯の中で論議がおきている“親日行跡”の内容は12枚分量の構成案のどこにも登場していない。 民族問題研究所が発刊した<親日人名辞典>第2巻によれば、彼は1920年平安南道(ピョンアンナムド)江西(カンソ)で生まれ平壌(ピョンヤン)師範学校を卒業後1940年奉天(ポンチョン)軍官学校に入学した。 1943年には日本がたてた満州国で少尉に任官後、間島(カンド)特設隊勤務を始めた。

パク・ハンヨン民族問題研究所研究室長は「日本軍が初級将校養成のためにたてた奉天軍官学校を自ら選択したのも問題だが、より大きい誤ちは代表的親日組織である間島特設隊勤務の経歴だ」と指摘した。 間島特設隊は日帝崩壊直前まで東北抗日連軍と八路軍に対して全108回の討伐作戦を行ない、抗日武装勢力および民間人172人を殺害した。 彼の韓国軍生活は日帝崩壊直後の1945年からであった。

ペク・ソンヨプ ドキュメンタリーでも1部「ペク・ソンヨプとは誰か」を通して彼の軍に入る契機を扱う。 ところが構成案は、「平壌(ピョンヤン)師範学校を経て奉天軍官学教に入った」から直ちに「解放以後彼はチョ・マンシクの秘書になった」に続く。 軍に入る過程を扱うと言いながら、1940年奉天軍官学校入学から1945年日帝崩壊まで、肝心の軍に入る直前5年間の行跡を省略したのだ。 ペク・ソンヨプ ドキュメンタリーを製作したKBS春川(チュンチョン)総局のチェ・ジェホ編成製作局長は13日、彼の親日行跡が構成案から抜け落ちた理由を尋ねると「このドキュメンタリーは基本的に戦争に関する話だ」として「彼が“親日派か親日派でないか”を扱うプログラムではない」と明らかにした。

これに対してパク・ハンヨン民族問題研究所研究室長は「KBSが抗日勢力討伐の先頭に立った間島(カンド)特設隊将校ペク・ソンヨプを扱いながら親日行跡は除いたまま彼の戦争活躍相だけに言及するならば、これは国民を相手に歴史を欺瞞する行為」として「反共・安保イデオロギーを動員して親日要人の誤ちを覆い隠そうという意図にほかならない」と語った。
一方KBSの「イ・スンマン-ペク・ソンヨプ」ドキュメンタリーと関連して大韓民国臨時政府記念事業会と民族問題研究所、全国言論労働組合など83の市民・言論団体は、6月7日に「親日・独裁称賛放送阻止のための非常対策委員会」を立ち上げ、放映計画撤回を要求して反発している。

非常対策委はこの20日、国会で「イ・スンマン、ペク・ソンヨプを正しく知る」という討論会を開く予定だ。

チェ・ソンジン記者csj@hani.co.kr

原文: https://www.hani.co.kr/arti/culture/entertainment/482731.html 訳A.K