大統領職引継委員会が‘65才以上のすべての老人に月額20万ウォンの基礎年金を支給する’という朴槿恵大統領当選人の公約実行に必要な財源の一部を国民年金保険料から充当する方案を推進していることが分かった。
11日、業務引継委員会とセヌリ党関係者の話を総合すれば、業務引継委員会は普遍的な基礎年金支給に必要な追加財源(年間7兆ウォン)の20~30%程度を国民年金保険料収入から調達する方案を検討中だ。 国民年金分担比率を30%と決める場合、毎年約2兆1000億ウォンの保険料を基礎年金に投じることになる。 国民年金の年間保険料収入の7~8%に該当する金額だ。 ただし今年末で約400兆ウォンに達すると予想される積立金には手をつけない計画と知らされた。
朴当選者は大統領選挙過程で、来年から所得と関係なく65才以上のすべての老人に月額20万ウォンの基礎年金を支給すると約束した。 現在は65才以上の老人の66%に最高9万4600ウォン(1人基準)の基礎老齢年金を支給している。
野党と市民団体はこれまで基礎老齢年金の拡大を要求してきた。 2007年年金改革で国民年金所得代替率(生涯平均月間所得対比年金支給額)が下がった後、国民年金だけでは老後所得保障が難しいという指摘が提起され基礎老齢年金が導入されたためだ。
しかし基礎老齢年金拡大のために国庫ではなく国民年金から財源を引いてきて使うことについては批判の声が強い。 国民年金納付者らに負担を押し付ける処置だということだ。 民主労総全国公共輸送社会サービス労働組合国民年金支部はこの日声明書を出し「2007年当時野党だったハンナラ党(現セヌリ党)が‘基金枯渇論’で怖がらせながら所得代替率が60%から40%に下がったが、今になって租税の代わりに年金基金を使おうというのは論理的矛盾」と批判した。
国民年金は2043年に2465兆ウォンに達した後、急速に減少して2047~2060年に基金が消耗すると予測されてきた。 このような状況で国民年金だけを基礎年金に投じるのは、公務員・私学・軍人年金など特殊職域年金との公平性の面からも問題があるという指摘が出ている。 イ・チャンジン参与連帯社会福祉委員会委員長(弁護士)は「所得代替率を減らし国民年金にだけ負担を与えることは改悪であり国民的抵抗に直面するだろう」と語った。 ユン・ソンミョン韓国保健社会研究院研究委員は 「業務引継委員会の方案は下の石を抜いて上に石をためるようなもので、後世代の負担をさらに大きくする」と話した。
賛成意見もある。 中央(チュンアン)大キム・ヨンミョン社会開発大学院長は 「現在、韓国老人の相対貧困率は経済協力開発機構(OECD)平均の3倍にもなるが、2011年末基準で国民年金積立金は我が国国内総生産の29.2%水準であり世界最高だ。 短期間に老人貧困問題を大きく緩和できる業務引継委員会の改革案に賛成する。 この際、基金運営と年金制度全般に対する再検討が必要だ」と話した。
パク・ウォンソク進歩正義党議員は「400兆ウォンに肉迫する国民年金積立金を積んでおき、老人貧困に知らぬフリをするのは説得力がない。 このような点で業務引継委員会の方案には肯定的な側面がある。 だが、一方的に財源を引いてきて使えば国民年金に対する不信と離脱の可能性を高めかねないだけに、国民的合意が優先されなければならない」と話した。
イ・ユジン記者 frog@hani.co.kr