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‘僅か7000ウォンのために…’市庁花壇で自殺したおばあさん

https://www.hani.co.kr/arti/society/rights/546381.html

原文入力:2012/08/09 09:40(1499字)

独立して暮らしている子供の所得が増えて
‘扶養義務者基準’若干超過
基礎受給対象から脱落すると
巨済(コジェ)市庁花壇で農薬飲んで

 去る7日午前、慶南(キョンナム)、巨済市(コジェシ)、古県洞(コヒョンドン)の巨済市庁入口花壇で農薬を飲み自ら命を絶ったイ・某(78)氏が、わずか7000ウォンのために国民基礎生活受給対象から脱落したことが分かった。 イ氏の遺書には‘人が法を作るのに、これでいいのか’など、保健福祉部の扶養義務者基準に対する願いが記されていた。 警察はイ氏が先月31日、巨済市庁から‘8月1日以降、基礎受給資格を失うことになる’という通知を受け取り悩んだ末に市庁を訪ねて自殺したものと見ている。

 8日福祉部と巨済市庁の説明を総合すれば、イ氏が基礎受給から脱落した理由は福祉部が6月に実施した基礎受給者確認調査で婿の所得増加額が明らかになったためだ。 扶養義務者(1親等直系血族とその配偶者)基準にともなう‘扶養費’が基準を超過したということだ。 大企業の協力業者に通う娘と婿の最近の所得は月額800万ウォン程度であった。 扶養費は扶養義務者が被扶養者に与えるだろうと見なす金額をいう。

 扶養費は扶養義務者の所得から扶養義務者世帯の最低生計費の130%に該当する金額を差し引いた後に一定比率(娘15%、息子30%)をかけて算定する。 イ氏の場合、娘夫婦が与えるものと最終‘見なし’された扶養費は56万ウォンだった。 基礎受給者になるためには所得が最低生計費より少なくなければならない。 亡くなったイ氏に適用される1人世帯最低生計費は55万3354ウォンだった。 7000ウォンにもならない差額のせいで基礎受給資格を失うことになったわけだ。

 イ氏は7月と8月初めに2度にわたり市庁を訪ねて事情を斟酌してほしいと頼んだが、避けられない事情があるという釈明書を別途提出せずに資格が剥奪された。 イ氏は10年間にわたり基礎受給者であり、借金があった娘夫婦と離れて一人で暮らしてきた。 基礎受給資格が剥奪された後、婿が迎え入れようとしたが世話になることはできないと拒否したと伝えられた。 生前、イ氏が国から受け取ったお金は月間生計給付24万ウォンと住居給付5万8000ウォン、基礎老齢年金9万4600ウォンを合わせて39万ウォン程度であった。 資格が剥奪されれば住居給付、生計給付、医療給付が全部打ち切られる。

 扶養義務者基準は国家の責任を家族に押し付ける不合理な制度だと指摘されてきた。 実際に両親を扶養しなくても扶養するものと‘見なし’されるので金銭を授受しない両親・子供関係だとしてもそれを証明しなければならないなど問題が大きいためだ。 昨年も福祉部の基礎受給者確認調査後に受給資格を失った2人の老人が相次いで命を絶った。 福祉部の受給者確認調査は1年に2回行われる。

 8日にスタートした‘障害等級制・扶養義務制 廃止共同行動’パク・ギョンソク代表は「今後、福祉の責任は家族ではなく国家が負わなければならないということに多くの国民が同意している」として「貧しい人々を死に追い詰める時代錯誤的な扶養義務者基準を廃止しなければならない」と話した。

イ・ユジン記者、昌原(チャンウォン)/チェ・サンウォン記者 frog@hani.co.kr

原文: 訳J.S