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韓国SKの「世紀の離婚訴訟」が語らないこと【コラム】

登録:2025-10-16 01:26 修正:2025-10-16 09:47
//ハンギョレ新聞社

 SKグループのチェ・テウォン会長とアートセンターナビのノ・ソヨン館長の離婚訴訟は「世紀の訴訟」と呼ばれる。財閥宗家の長男と軍部政権の大統領の娘が破局を迎えたものであるうえ、1兆3808億1700万ウォン(約1470億円)にのぼる天文学的な規模の財産の分割をめぐる争いだからだ。

 その中心にあるのは、SKグループの支配構造の頂点にある持株会社SK(株)の株の、チェ会長の所有分だ(持ち株比率17.9%)。この株の価値は昨年の二審判決時点で2兆761億ウォン、現在は2兆8806億ウォン(今月13日の終値で計算、約3060億円)に達する。

 二審はチェ会長の所有するSK(株)の株を財産分与の対象から除外した一審判決を覆し、「夫婦共同の財産」だと判決した。二審の判事が投げかけた問いは「この財産は誰のおかげで所有できたのか」だ。それにはチェ会長個人の努力だけでなく、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領から預かったといわれる300億ウォンの秘密資金、当時の政権による後押しなど、盧氏一家がかなり寄与した、というのが二審の結論だ。

 チェ会長は1994年、グループ傘下のユゴン(旧大韓石油公社)が所有していた大韓テレコム株(持ち株比率70%)を2億8000万ウォンで買収した。2億8000万ウォンは、当時の盤浦(パンポ)住公第1団地の32坪のマンションの価格にも満たない金額だ。この株は今のSK(株)の所有株へと化け、その価値は2兆8806億ウォンと、31年間で1万288倍に跳ね上がった。

 マジックのような株価の値上がりは、チェ会長が事業に成功したことが唯一の理由ではないし、盧氏一家が婿を強力に後押ししたというのも同様だ。大韓テレコムは1998年にグループの電算システム業務を担うSKコンピュータ通信を吸収合併し、SK C&Cとなった。同社はSKテレコムなどのグループの系列会社からの仕事の受注、上場、持ち株会社(旧SK(株))の吸収合併などを経て、現在のSK(株)となった。

 旧SK(株)の2大株主の一つだった国民年金は、SK C&Cとの合併に反対していた。株主価値が傷つく恐れがあるとの理由からだ。法の規定を避けた便法によって、SK C&Cの大株主であるチェ会長が、一般株主と年金加入者の持ち株を持っていったということだ。

 チェ会長の2兆ウォン台のSK(株)の株の価値形成の元金を出したのは事実上、国民と一般株主だったわけだ。これはチェ会長とノ館長の元夫婦だけの共同財産ではないということだ。世紀の離婚訴訟の語らない、しかし否定できない事実だ。

パク・チョンオ|経済産業部記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1223309.html韓国語原文入力:2025-10-14 17:25
訳D.K

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