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「財閥家の長男」チェ・テウォンの離婚…SKと盧泰愚一家の複雑な歴史(2)

登録:2024-06-01 02:20 修正:2024-06-01 07:10
SKグループのチェ・テウォン会長が、ソウル広津区のグランドウォーカーヒルソウルで行われた「2022年SK拡大経営会議」で、社会的価値の重要性を強調している=SK提供//ハンギョレ新聞社

(1の続き)

■義父の秘密資金にかかわり検察から出頭要請

 チェ・テウォン会長は必ずしも「義父」の恩恵ばかりを受けてきたわけではない。1993年4月にハンギョレは、米国に居住中のチェ・テウォン、ノ・ソヨン夫妻が20万ドルを米国税関に申告せずに11の銀行に分けて預金し、起訴されたことを単独報道した。

 鮮京グループは、チェ・テウォン会長が当時働いていた会社から受け取った給与と米国内の親戚から受け取った結婚の祝儀だと釈明したが、結局はうそだったことが暴かれた。1995年に検察が大統領の秘密資金を捜査した際、盧泰愚(ノ・テウ)元大統領が米国を訪問し、スイス銀行に隠してあった秘密資金を娘夫婦に渡していたことが明らかになったのだ。これに先立つ1994年、チェ・テウォン会長は外貨を極秘に持ち出していた疑いで検察から出頭を要請されて取り調べを受けているが、嫌疑なしとされていた。典型的な「大目に見る」捜査だった。

 興味深いのは、盧泰愚元大統領は諸企業から「ブラックマネー」を受け取って天文学的な額の秘密資金を造成したが、鮮京グループから受け取っていた金は、娘が結婚する前は30億ウォンに過ぎなかったという点だ。娘を嫁がせた実の父親だから、恐れたのだろうか。盧元大統領は秘密資金造成の疑いで起訴された。彼は2629億ウォンの追徴金を2013年に完納している。

 1994年には運良く処罰を免れたチェ・テウォン会長はその後、2003年と2013年の2度にわたって拘束されている。1兆ウォンの粉飾会計、数百億ウォンの会社の資金の横領の容疑でだ。2度目の拘束の直前にチェ会長が裁判所に提出するために作成したという離婚訴訟の訴状が最近公開されたが、ここからは夫婦だけでなく2つの家同士の根深い感情のわだかまりが垣間見える。

 「事業家一家の出身である私と将軍(盧泰愚元大統領)の娘であるノ・ソヨン館長は、成長の背景、性格、文化、宗教の違いにより、結婚当初から多くの確執を抱えていた」。チェ・テウォン、ノ・ソヨン夫妻の次女は2014年に海軍士官学校に初級将校として任官している。事業家である父親ではなく、将軍だった母方の祖父の職業を継いだわけだ。

 現代史ドラマのようでもあり、昼ドラのようでもあるこの物語は、どのような結末を迎えるのだろうか。チェ・テウォン、ノ・ソヨン夫妻の離婚は簡単ではなさそうだ。離婚に対する2人の立場が違い過ぎるうえ、財産分与と慰謝料支給の問題が絡まっているのだから、なおさらだ。

■昼ドラのようでもあり、現代史ドラマのようでもあり

 先に見た両家の関係から推測すると、ノ・ソヨン館長は財産形成に大きく寄与してきたと強く主張する可能性がある。現在、ノ館長が保有している株は多くはない。SKグループの統合持株会社であるSK(株)の持株比率は0.01%に過ぎないなど、時価総額で計算すると32億ウォンにとどまる。いっぽうチェ・テウォン会長は、SK(株)の持株比率23.4%を含め、4兆1942億ウォン分の系列会社の株を保有している。(2015年時点)

 2人の間に生まれた3人の子は、系列会社の株は持っていない。裁判所は離婚の際、配偶者の取り分として、最大で婚姻期間中に形成した財産の50%を認める。離婚の原因を作った有責配偶者は、慰謝料の支払いも必要になる。SKグループは、1994年の民営化で市場公開された韓国移動通信の株を公開競争入札で買収したのだから問題はないとの立場だが、実際の離婚訴訟の過程では、これまでベールに包まれていた両家の関係、または取引があらわになるかもしれない。たとえ協議離婚で財産分与が実現したとしても、チェ・テウォン会長のグループに対する支配力の弱体化は避けられない。いずれにせよハッピーエンドは難しそうだ。

ファン・イェラン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://h21.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/52993.html韓国語原文入力:2022-12-08 01:46
訳D.K

<2024年5月31日の追加内容>

 二審が1兆3800億ウォン(約1570億円)という過去最大規模の財産分与を認めたのは、先代会長(チェ・ジョンヒョン)から受け継いだ財産だとするチェ・テウォン会長側の主張と、大統領だった父親(盧泰愚)の助力と自分の寄与が作用したとするノ館長側の主張のうち、裁判所がノ館長の主張を認めた結果だ。二審は、盧泰愚元大統領の秘密資金のうち数百億ウォンがSKグループに流れたと判断した。一審はチェ会長側の主張を認め、1億ウォンの慰謝料と現金665億ウォンの財産分与のみを認めていた。

 チェ会長は結婚から27年たった2015年に離婚の意思を明らかにし、2017年7月に離婚調停を申請したが決裂。翌年離婚訴訟を起こした。離婚に応じずにいたノ館長は、2019年12月に離婚の意思を明らかにした際に、チェ会長を相手取って3億ウォンの慰謝料、およびSK株の分与を求めて反訴していた。

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